マイルスの「ムーヴィー・スター」
予定より少し遅れて今日午後12時40分頃、ヤマト運輸の方が愛機 MacBook Pro を引取りに来た。それで現在僕の手許にはネット接続機器はない…だったのだが、実は一台かなり古い MacBook があって、それがなんとか起動できてネットにも接続できたのだ。それは白い筐体の2007年型モデルで、インストールされている OS は OS X 10.6.8。
しかし10.6.8ではいろんなことが不可能なのだが、これより上のヴァージョンの OS X にアップグレイドできないことを、Appleサポートの上級スペシャリストの方と散々やり取りして確認した。
Twitterの方は、普段愛用しているアプリの対応 OS が最旧でも10.7なので全く使えないが、ブラウザだと Safari(以外のもので使用可能といえるものはインストールできなかった)で Twitterの Mobile サイトにアクセスできる。パソコン用のサイトは Safari のヴァージョンが古すぎてアクセス不可だが、なにもできないわけではないという点で Facebook よりもはるかにマシだ。ハード、ソフト両面ともに10年前に放棄したような環境でもいちおうの発言の読み書きができる。
だがまあ本格的には無理なので、愛機が戻ってくるまで、一日に少しだけは Twitter Mobile にアクセスし読み書きしよう。ブログの更新もできる。だが15個ほどあるはずの書上げてある文章をバックアップしてある外付 HDD をいま手許にある MacBook は認識しない。
だから、本格的な文章は無理だから、なにか短めの日々の雑感みたいなものを、愛機 MacBook Pro が戻ってくるまで書続けていくことにする。ブログ更新のお知らせは Facebook にはアクセス不可だから書けないが、Twitterには書く予定。
というわけで今日はマイルス・デイヴィスがやる「ムーヴィー・スター」という曲のお話。こんな状況で書く話ではないちょっと面白いネタかもしれないが、まあパッと思いついたので。
この曲名でピンと来る人は、よほどのマイルス・ファンか、そうでなければ間違いなくプリンス・ファン。そう、「ムーヴィー・スター」はプリンスの書いたオリジナル曲なのだ。1988年リリースの四枚組『クリスタル・ボール』の一枚目に収録されている。このボックスは今日夕方自宅に届いたばかりなので、このネタを思いついたという次第。
あれっ、君は以前『クリスタル・ボール』の話をしたじゃないかと思われそうだが、フィジカル現物を入手したのは今日なのだ。リアルタイムでは買っておらず、気付いたら中古価格が三万円、四万円というものになっているので買えず、松山市在住の熱狂的プリンス・マニアの女性(数日前にも話をしたね)に音源データだけコピーしてもらって聴いていた。
『クリスタル・ボール』、内容がかなりいいんだけど買えない価格だなあと思っていたら、最近アマゾンにブックオフがこれを出品し、一万円程度だったのでなんとか買えたのが今日届いたんだよね。その一枚目九曲目に「ムーヴィー・スター」がある。
マイルスはこの曲を1988年のライヴ・ツアーでだけレパートリーにしてやっていた。公式盤収録も一つだけある。20枚組の『ザ・コンプリート・マイルス・デイヴィス・アット・モントルー 1973-1991』の88年分を収録した14枚目。
1988年のモントルーのマイルスは、演奏時間がかなり長いので、13枚目と14枚目に分割収録されている。これは同年八月に三軒茶屋の人見記念講堂で僕が体験した際のマイルス・ライヴも同じだった。一度も休憩を挟まず、二時間半程度のノン・ストップ演奏が続き、そうなると知らなかった僕は、開演前にコーラを飲過ぎてしまい、途中でオシッコしたくなったが、演奏が止らないので大いに困って、誰だったかサイド・マンの長いソロの間に慌ててトイレに駆込んだ。
その東京でもやった「ムーヴィー・スター」。だが1988年当時の僕はこれがなんの曲だか全く知らず、自動車がキキ〜ッと止るブレーキ音なんかがサウンド・エフェクト的に入っているし、曲調もかな〜りポップというか、まあ軽薄だとすら感じるようなもので、なんだこりゃ?マイルスはヘンな曲書くようになったんだなとか、客席で思っていたわけだった。
モントルー・ボックス14枚目(にしかマイルスの「ムーヴィー・スター」は公式収録がない)でいま聴き返すと、なかなか楽しいじゃないかと思うんだが、こういう軽くて他愛のないポップ・ソングがいいなあと思えるようになったのは、僕の場合、ここ数年のことだからなあ。
これがプリンスの曲だというのを知ったのは、僕の場合、21世紀に入ってからだ。のはずだが、モントルー・ボックスの附属ブックレットには作曲者クレジットとしてはっきり「Prince Rogers Nelson」と書いてあるじゃないか…。全く気付いていなかったぞ、今日の夕刻まで。まあしっかり見ていなかったんだよね。
マイルスのやる「ムーヴィー・スター」は、しかしやはりジャズ・マンだというようなアレンジではある。マイルスもハーマン・ミュートを付けて吹くのだが、メインはあくまで後半部でアルト・サックス・ソロを吹きまくるケニー・ギャレットだもんね。だから『クリスタル・ボール』で聴けるようなプリンスの持つポップさが、やや失われてはいるんだよね。
プリンスの『クリスタル・ボール』は1988年1月にリリースされているので、マイルスもそれで聴いてレパートリーにしたんだろう。プリンス・ヴァージョンは例によって音源を共有できないが、マイルスのは以前 YouTube で見た。僕がいま使っているブラウザでは YouTube にアクセスできないので、みなさん「Miles Movie Star」で検索して聴いてみて。
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プリンスが「ムーヴィー・スター」をやってたなんて今の今まで知りませんでした。かっこいいじゃないですか!マイルスの音数少ないプレイの傍らでウネウネするベースは誰でしょう?なぜかディアンジェロの「Sugah Daddy」を思い出しまた。
投稿: Astral | 2017/01/20 23:43
Astralさん、あのエレベはベニー・リートヴェルド(Benny Rietveld)です。1987〜89年バンドのレギュラーでしたねえ。音を聴いてもお分りの通り、彼はピックでエレベを弾きます。なんだかディアンジェロと関係あるらしいんですが、詳しいことは僕にはよく分らないんですよね。
投稿: としま | 2017/01/21 00:14
最終段落の記述は誤認かと思います。マイルスの "Movie Star" は1987.11.3の欧州ツアー・ベルリンの公演記録 [Full Nelson In Berlin’87/Cool Jazz] に聴くことができます。最初期の演奏と思われます。
投稿: iwaomasa | 2018/06/03 01:28
チェック漏れが有りましたので、前投稿を修正します。最初期と思しき演奏は1987.5.23 シカゴ公演 [Chicago 1987/Cool Jazz] であり、その後翌6月にイスラエル、エルサレムに始まる欧州楽旅で "Movie Star" をレパートリーに含め1988年末頃まで演奏されています。その後思い出したかのように ’89.6.15 Sau Juan (Live At Coach House, San Juan, Capistrano CA) 公演のメドレー中 "Crash Bump Funk" という別名で 5:10 の演奏を聴く事ができます。これ以外今のところ1989年の演奏は認められません。この曲は86,7年頃に接触のあったプリンスへのリスペクトであったのかもしれません。
投稿: iwaomasa | 2018/06/03 02:13
チェック漏れが有りましたので、前投稿を修正します。最初期と思しき演奏は1987.5.23 シカゴ公演 [Chicago 1987/Cool Jazz] であり、その後翌6月にイスラエル、エルサレムに始まる欧州楽旅で "Movie Star" をレパートリーに含め1988年末頃まで演奏されています。その後思い出したかのように ’89.6.15 Sau Juan (Live At Coach House, San Juan, Capistrano CA) 公演のメドレー中 "Crash Bump Funk" という別名で 5:10 の演奏を聴く事ができます。これ以外今のところ1989年の演奏は認められません。この曲は86,7年頃に接触のあったプリンスへのリスペクトであったのかもしれません。
投稿: iwaomasa | 2018/06/03 02:16
あっ、ってことは「ムーヴィ・スター」という曲はそもそもプリンスの書いた曲ではない可能性があるってことですか?プリンスの曲だとしても、『クリスタル・ボール』に収録されて公式発売されたので知ったわけでじゃないのは間違いないですね。
マイルズとプリンスの接触は、1986,7年頃だけではなくて、その後も続いていたと僕は思っているんですが、それも違いますか?
投稿: 戸嶋 久 | 2018/06/03 07:23