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2017/04/21

ありえないマイルズ・ライヴが夢に出てくる

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今日もまた音楽内容には触れず、みなさんにとってはどうでもいいような僕の個人的な夢の話をしようと思う。というのは、最近なんだかどうも頻繁に見る夢なので気になって仕方がないのだ。目が覚めても夢の内容をわりと鮮明に憶えていることの多い僕としては、ちょっと書いておかないと気持の整理がつかない。

 

 

それはマイルズ・デイヴィスのライヴ・コンサートに行くという夢で、場合によって会場に到着する前までの道程の風景だったり、またある場合はステージ上で繰広げられるコンサートの模様だったり、あるいはその両方だったりと様々なのだが、全ての夢に共通しているのは、どれも1981年復帰後のマイルズ来日公演だということ。

 

 

な〜んだ、それだけのことか、君はマイルズ・マニアで、1981年復帰後の来日公演にはかなり足繁く通ったみたいじゃないか、だったら夢に出てくるのは当たり前じゃないか、しかもその眼で生のマイルズを観たのはその復帰後だけで、マイルズをリアルタイムで経験した唯一の時期なんだから思い入れがあるはずだし、そんな81年復帰後のマイルズ来日公演が夢に出てくるのは当然だよ…、と思われるだろう。

 

 

ところが、ここ半年か一年近くかな、僕の夢のなかに出てくるマイルズ・ライヴは、全て「行ったことのない」マイルズ・ライヴなのだ。1984年に東京に出てきて以後、85年の来日公演からあとは、東京公演分には「文字通り全て」行って生演奏を経験した僕なので、もちろん東京以外の場所でのものは知らないが、「行ったことのない」マイルズ来日公演が夢に出てくるとは、やはりちょっと妙だという気がする。

 

 

しかもですね、場合によっては亡くなった1991年以後のものだとしか思えない(ってどこで判断してんだ?)マイルズ・ライヴの夢であることすらある。みなさんご存知の通りマイルズは91年9月28日に亡くなっている。それなのにそれ以後の来日公演みたいなものが夢に出ることがあるって、これ、いったいどういうことなんだろう?

 

 

その1991年マイルズ死去後のライヴだろうと思われるものが僕の夢に出てきたのは一度だけ。半年くらい前だったか、もうちょっと前だったかそのあたりで、中身はやはりかなりおかしなものだった。残っている記憶で記すと、マイルズは亡くなった(とされている)が、実は生きていて、いわば<幻の>来日公演が今回実現します!とかなんとか、そんな PR を目にして狂喜乱舞した僕。

 

 

それでいざ会場に足を運ぶと、そこは、僕が松山での大学生時代にたまに行くことがあった場末のポルノ映画館で、しかしながらそこへ行く道すがらは、二度ほど観光旅行で行ったことがあるイタリアはローマの風景に間違いなく、なんだったんだありゃ?現場会場に到着したら立派な外装で、マイルズのライヴが行われることが賑々しく掲げてあったのに、なかに入ると、そこは松山のしょぼくれた場末のポルノ映画館。

 

 

その夢の時は、マイルズが出てくる前にステージに幕が降りていて(そんなコンサートはマイルズで体験したことはない)、開演ブザーが鳴って幕が上がると、しかしやっぱりなんだか半透明か薄い白のヴェールみたいなものが垂れ込めていて、そこにマイルズだと思しき人物がトランペットを構えた姿で映し出されている。まるで3D 技術で、亡くなった人をスクリーンに映して、そこに生演唱をかぶせるという、最近なら時々あるパターンのようにも思えた。

 

 

それを観ながら僕は「あぁ、そりゃそうだ、マイルズはもう死んだんだぞ、こんなやり方しかできないだろうな」と納得しつつ、しかしそれでもやっぱりオカシイ部分もある。正式名称をなんというのか知らないその3D 技術でスクリーンに死んだ人が(生前に撮影した)歌ったりする姿と音と、現場での演唱と合体させるっていう例のやつ 〜 それだとするとヘンなのだ。

 

 

どこがかというと、その技術を用いた場合、亡くなっている音楽家の(歌や)演奏だってフル展開できているはずなのに、僕がその松山の場末のポルノ映画館みたいな会場で体験した夢のマイルズ(死去後)ライヴでは、肝心のボスはほとんどトランペットを吹かない。しかもスクリーンに映し出されているようでもなく、幕の後ろ側に立ってぼんやりとおぼろげな姿を見せているだけ。ほとんどいるのかどうかすらも分らない程度。

 

 

そしてバンドの音が鳴りはじめてしばらくすると、マイルズと思しき影は、ちょろっと一音・二音吹いたかと思うとクルッと回転し客席に背中を向けてしまい、その後はまったくなにもやらない。トランペットを吹かずキーボードも弾かず、ただぼんやりと幻の影のような姿が見えて、しかし格好だけはつけている。

 

 

念のために付記しておくが、実体験したものでも音源だけでも聴いても、1991年に亡くなる直前でもマイルズの現実のライヴではそんなことはなかった。まあはっきり言ってしまうと、トランペットの方は不意に音を外すことも多く、ソロだって満足のいく出来のものは少なくなっていた。88年あたりを最後にどんどんとそんな悪化を続けていて、最後らあたりは聴くに耐えない様子だったが、それでも一生懸命に吹いていたもんね。

 

 

松山の場末のポルノ映画館みたいな会場で体験した(死去後の?)マイルズ・ライヴは、そんな現実の姿とは全く違って、とにかく薄い幕が降りているせいで姿だってよく見えないし、演奏に至ってはほとんどなにもせず立ち姿のポーズだけカッコよく決めているというような具合で、なんだこりゃ?と思いつつ席に座っていると、ほんの15分か20分程度で終演になってしまった。

 

 

こりゃ詐欺じゃないかと腹が立ったのかというとそうでもなく、なんだかワケの分らないモノを観た・聴いたという非常に不思議な感慨だけが残り、目が覚めてその憶えている夢を思い出して、あぁ、そうかマイルズはもうこの世にいないんだよなあ、あんな感じのライヴ・ステージって、それでも、あんなかたちの詐欺みたいなものであっても、やっぱりまだ僕は高額を払っても体験したいという気持があるのかと、半日くらい我ながら呆れてしまった。

 

 

その呆然とした気持はどこにも持っていきようがないものだから、それで忘れられずいまでもそこそこ鮮明に憶えている夢なのだ。ところで、ライヴ・コンサートで主役がほとんどなにもせず、バンドの演奏開始後ちょろっと楽器を触ったかと思うとクルリと回転し客席に背を向け、そのまま一曲終わってしまうというのは、僕の場合現実生活でも、東京国際フォーラムでのヒューバート・サムリンで実体験した。

 

 

だからひょっとして夢に出てきたあのマイルズ・ライヴは、ハウリン・ウルフ(黒人ブルーズ・マン)の右腕として長年活躍したヒューバート・サムリンの来日公演で体験した、そんな姿がマイルズに重なっていたんだろうか?しかもそのマイルズの幻のライヴがほんの15〜20分程度というのは、往時のビートルズのライヴみたいなものか?みなさんご存知のはずだけど、爆発的スーパー・スターになってからのビートルズのライヴは、ステージに出ていってその程度で終ることもあったらしいね(と解散後のジョージ・ハリスンがかつて言っていた)。

 

 

また、マイルズ・ライヴが僕の夢に出てくる場合、会場到着前までで終るものもなんどかあって、記憶では全て特にマイルズ・ファンではない女性音楽リスナー(その時々によって変わる複数人)を誘ってのもので、会場に到着するまでの道すがらで起きるいろんなことや会話を楽しんでいるというようなものが多い。そのなかで一つ、最も鮮明に憶えている約一ヶ月半ほど前の夢があるんだが、なにが起きていたのかを記すのは面倒くさいような風景だった。ちょっとだけ書くと、当時僕が住んでいたマンションから最寄駅である京王線のつつじヶ丘の駅舎まで歩いていく道中での出来事だった。

 

 

その他僕の夢にはマイルズ・ライヴ関連がかなりたくさん出てきているが、しかしそうなったのは、時期的に早くても一年前くらいからのことで、それ以前は全くそんな夢は見なかったのはなぜだ?1991年に亡くなったマイルズで、その前89年の来日公演までは、81年の復帰後実に頻繁すぎるほど通った彼のライヴ・コンサート。それが非常に妙ちくりんなかたちになっているとはいえ、僕の夢のなかに登場するようになるまで20年以上かかっている。そんなものなのかなあ?

 

 

ちなみに映像なしで音だけのマイルズの夢であれば、大学生の頃からよく見ている。大学三年生の時には『ビッチズ・ブルー』のアルバム・タイトル曲にあわせ、僕が(どうしてだか)アクースティック・ギターを弾く音がしていた。この手の音だけの夢ならマイルズに限らずいろいろと、それもかなり前からよく見るんだよね、僕は。

 

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