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2017/06/22

サッチモ 1926〜28(補注)

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とりあえずこの四日間シリーズはこれでお終いです。

同じレガシー盤のルイ・アームストロングだけど、2012年リリースの CD十枚組『ジ・オーケー・コロンビア&RCA ヴィクター・レコーディングズ 1925-1933』に収録されていないものが、2000年リリースの四枚組『ザ・コンプリート・ホット・ファイヴ・アンド・ホット・セヴン・レコーディングズ』にはある。逆に後者四枚組になく前者十枚組にだけ収録されているものだってあるから厄介だ。今週月曜日のブログ記事アップロードのあと、その深夜に同内容をツイートしていたら、どうもこのあたりに誤解があると判明したので、書いておかなくちゃいけないと分った。

まずこれは書かなくてもいいだろうが、四枚組『ザ・コンプリート・ホット・ファイヴ・アンド・ホット・セヴン・レコーディングズ』はこの名の通りなので、1925〜28年(29年録音がちょっとだけある)のサッチモ・コンボ録音を中心にしたもの。十枚組『ジ・オーケー・コロンビア&RCA ヴィクター・レコーディングズ 1925-1933』に収録されている29〜33年録音分は当然収録なしだ。十枚組の方にはヒルビリー歌手ジミー・ロジャーズとやったものなどもあるのだとは昨日書いたので省略。

最も肝心なことは、1926〜28年のサッチモがかかわったコンボ録音で、十枚組の方に収録されていないものが四枚組の方に少しあることだ。ちょっと数えてみたら全部で21トラック(同じ曲の別テイク多し)。21は「少し」っていう数字じゃないなあ。こういうことがあるので、熱心なサッチモ愛好家は、2000年の四枚組と2012年の十枚組のレガシー盤の両方を持っておかないといけないんだよね。レガシーさん、どうして全部ひっくるめて一つのボックスに収録しないんだろう?ここだけは理解に苦しむ部分だ。一曲を除き、全部サッチモ名義のレコードじゃないからなんだろうけれどさぁ。どうせなら2012年の十枚組リリース時に、十一枚組にでもして、「全部」を一つにまとめてくれたらよかったんじゃないかなあ。

十枚組『ジ・オーケー・コロンビア&RCA ヴィクター・レコーディングズ 1925-1933』に未収録で、四枚組『ザ・コンプリート・ホット・ファイヴ・アンド・ホット・セヴン・レコーディングズ』に収録されているものは以下の通り。CD だと二枚目と三枚目に入っているものを収録順に記す。名義と録音年月日も付記しておこう。

1. He Likes It Slow - Butterbeans & Susie With Louis Armstrong & His Hot Five (26/6/18)
2. Gambler's Dream - Hociel Thomas & Louis Armstrong Jazz Four (25/ 11/11)
3. Sunshine Baby - Hociel Thomas & Louis Armstrong Jazz Four (ibid.)
4. Adam And Eve Had The Blues - Hociel Thomas & Louis Armstrong Jazz Four (ibid.)
5. Put It Where I Can Get It - Hociel Thomas & Louis Armstrong Jazz Four (ibid.)
6. Washwoman Blues - Hociel Thomas & Louis Armstrong Jazz Four (ibid.)
7. I've Stopped My Man - Hociel Thomas & Louis Armstrong Jazz Four (ibid.)
8. Georgia Bo Bo - Lil´s Hot Shots (26/5/28)
9. Drop That Sack [Common Take] - Lil´s Hot Shots (ibid.)
10. Drop That Sack [Rare Take] - Lil´s Hot Shots (ibid.)
11. Cornet Chop Suey - Louis Armstrong Hot Five (26/2/26)
12. Weary Blues - Johnny Dodd´s Black Bottom Stompers (27/4/22)
13. New Orleans Stomp - Johnny Dodds’ Black Bottom Stompers (ibid.)
14. Wild Man Blues [Common Take] - Johnny Dodds’ Black Bottom Stompers (ibid.)
15. Wild Man Blues [Rare Take] - Johnny Dodds’ Black Bottom Stompers (ibid.)
16. Melancholy [Common Take] - Johnny Dodds’ Black Bottom Stompers (ibid.)
17. Melancholy [Rare Take] - Johnny Dodds’ Black Bottom Stompers (ibid.)
18. You're A Real Sweetheart - Lillie Delk Christian & Louis Armstrong Hot Four (28/6/26)
19. Too Busy! - Lillie Delk Christian Accompanied by Louis Armstrong Hot Four (ibd.)
20. Was It A Dream? - Lillie Delk Christian & Louis Armstrong Hot Four (ibid.)
21. Last Night I Dreamed You Kissed Me - Lillie Delk Christian Accompanied by Louis Armstrong Hot Four (ibid.)

お分りのように、11個目の「コルネット・チョップ・スーイ」だけはサッチモ名義のもので、月曜日にも触れたものだ。これがどうして上記リストに入っているかというと、同じ録音であるにもかかわらずテンポが少しだけ遅くなって、したがってピッチがやや下がりキーが E♭になっているように聴こえる。お馴染のものは E。どっちもレコード発売されたってことなんだろうなあ。別にサッチモに限らずよくあるケースではあるし、同じ演奏だからこれについては触れる必要はない。

一番興味深いのは、上記リストだと12〜16個目のジョニー・ドッズ名義の録音だろうなあ。13個目の「ニュー・オーリンズ・ストンプ」以外は、全てサッチモの名義でも録音・発売されているが、このジョニー・ドッズ名義のものは、録音がそれより早い。その違いはたったの二週間ほどだとはいえ、そのたった二週間のあいだにサッチモ含めホット・セヴンの面々の演奏能力がグッと向上しているのが分る。特にサッチモがそう。それが一番クッキリしているのが「ワイルド・マン・ブルーズ」だ。

まずその「ワイルド・マン・ブルーズ」両方の音源をご紹介しておこう。

ジョニー・ドッズ(27/4/22)→ https://www.youtube.com/watch?v=vYtK34h4aT0 (スマホ聴取不可)
この二つを聴くと、1927年4〜5月あたりのサッチモが日々グングン上達していたのが誰にでも分るだろう。四月のジョニー・ドッズのバンドでの「ワイルド・マン・ブルーズ」では美しく感動的ではあるものの、まだかなりシンプルなジャズ・ブルーズ表現だった。それがたった二週間後のサッチモ自己名義録音では、驚くほど手の込んだ複雑なソロを展開している。だから月曜日にも書いたように、既にこの27年5月でサッチモのコルネット・スタイルは完成を見ていると判断できるほど。でも、それは一足飛びに成し遂げられたものではなかったのだ(ってあたり前の話だが)。

また「ウェアリー・ブルーズ」でも、1927年4月のジョニー・ドッズ・バンドでの演奏はテンポも早めで、ドッズのクラリネットもサッチモのコルネットも楽しいものではあるが、まだ深みは十分ではないような部分がある。それが5月11日のサッチモ・ホット・ファイヴ・ヴァージョンではややテンポを落とし落ち着いたフィーリングになって、基本的にはさほどの変化はないものの、ブルーズ表現のディープさは増している。チューバの効果も大きい。

「ウェアリー・ブルーズ」
ジョニー・ドッズ(27/4/22)→ https://www.youtube.com/watch?v=SPDhNHJSRk4 (スマホ聴取不可)
サッチモ(27/5/11)→ https://www.youtube.com/watch?v=oDW6CV4FENs

やはり両方での録音がある「メランコリー」も同様に表現が深まっているが、この曲にかんしてだけは、上記二曲ほどの差は聴きとれないように僕は思う。四月録音のジョニー・ドッズ・ヴァージョンも負けないくらいかなりいい。特にクラリネット演奏部分については四月のドッズ名義の方がいいかも。サッチモのコルネットもやはり同等くらいの出来だ。

上記曲目リストの8〜10曲目は、当時のサッチモの妻リルのリーダー名義録音。でもヴォーカルは旦那のサッチモがとったりしているよね。また、1曲目のバタービーンズ&スージーは黒人コメディ・デュオ。この1926年にサッチモとやった「ヒー・ライクス・イット・スロー」が、この男女二人組の録音では、当然のように最も有名。2〜7曲目のヒシエル・トーマスは、例によっての1920年代都会派女性ブルーズ歌手の一人。

18〜21曲目のリリー・デルク・クリスチャンのことは僕はほとんど知らない。聴いた感じ女性ブルーズ歌手というよりジャズ歌手だなあ。スウィンギーなフィーリングはある。特にどうってことないスウィートな感じの歌い口だけど(特に19曲目の「ユア・ア・リアル・スウィートハート」、21曲目の「ラスト・ナイト・アイ・ドリームド・ユー・キスト・ミー」とか)、19曲目の「トゥー・ビジー!」はちょっと面白い。後半部の彼女の歌にサッチモがスキャットで絡んでいるからだ。サッチモの声が入りはじめた途端にサウンドがキラキラするので、不思議なような当然のような…。

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