ヘッドフォンで聴く 〜 原田知世と伊藤ゴローの世界(2)
(ヘッドフォンだとまあまあマトモに聴こえるシリーズ 一回限り)
以前も触れたが、スピーカーから出るものなど空中の音を捉えるのが、耳の病気のせいでまだちょっと苦手な僕だけど、不思議なことに全く同一音源でもヘッドフォンで聴くとそこそこマトモに聴こえてくる。ホントどうしてだろうと思って耳鼻科医にこのことを告げてみたら、「音圧が上がるからです」と即答された。ふ〜ん、そうなのか。
じゃああれか、スピーカーでも、いま僕は部屋のなかで左右二台で聴いているだけなのを、もっと増やして四台とか六台とかにして同時に鳴らすと音圧は上がるはずなので、少しいい感じに聴こえるのかなあ?しかし僕がいま使っているプリメイン・アンプのスピーカーへの出力端子は二系統しかないから、このままだと同時に四台までしか鳴らせない。スピーカー本体も、いま使っているもののほかに、もうワン・ペア持ってはいるが、そっちはかなりショボいものだからなあ。でも物は試しだ、今夜あたり、ちょっとやってみようっと。
そんなわけでヘッドフォンだと音楽が少しマシに聴こえるので、いろんな音源をヘッドフォンで聴いているのだが、ものによっては聴こえ方、印象が違い、場合によっては違う音楽に聴こえたりすらするのでちょっとビックリ。それもごく最近の録音作品でこれが多い。2010年代以後の音楽作品で、特にこういった違いがあるように思う。
それを、僕がふだん聴きのもののなかでいちばんハッキリと感じるのが、原田知世だ。昨日、岩佐美咲はマジで「文字どおり」毎日聴いているのだと書いたが、原田知世も同じなんだよね。本当に毎日聴いている。といっても僕が買って持っている原田知世は六枚だけ。ぜんぶ伊藤ゴローのプロデュース作品で、一番上のリンク先の過去記事で書いてあるように、ラヴ・ソング・カヴァー集『恋愛小説』『恋愛小説 2 - 若葉のころ』があまりに素晴らしかったので、原田知世+伊藤ゴローのコンビ作品を探してぜんぶ買ったのだ。
いまのところの最新作『音楽と私』にくわえ、過去作の2007年『music & me』、2009年の『eyja』、2014年の『noon moon』。これに2015年『恋愛小説』、2016年『恋愛小説 2 - 若葉のころ』〜 これで伊藤ゴローのプロデュースする原田知世はぜんぶのはず(だよね?)。まあホ〜ント!どれもこれも素晴らしいが、僕はまだこれら六枚しか聴いていないし、今月23日に過去の代表ヒット作のオリジナル・ヴァージョンを収録した二枚組ベスト盤がリリースされるので、それを聴いたら、それらをリメイクした最新作『音楽と私』と聴き比べ、なにか書けることがあるかもしれない。
とにかく今日は、特にやっぱりこの二枚が本当にいいと思って、文字どおり聴かない日はない『恋愛小説』『恋愛小説 2 - 若葉のころ』の二枚だけについて、ヘッドフォンで聴くと、耳がマトモだったころにスピーカーで聴いていたのとはずいぶんと感じ方が変わるもんだなということについてだけ、かなり短い文章で記しておきたい。今日はマジで短いですから^^;;;。だってあまり書くことないもんね。
そこそこ上質なヘッドフォンで聴くと、まだ右耳の聴力がイマイチ回復していない僕でもこれが一番違うと思うのが、歌手、原田知世の声の表情だ。スピーカーで聴くのとはずいぶん表情が違う。ヘッドフォンで聴いたら声の表情がずいぶん豊かだ。また、細やかで、実に微細な部分にまで神経を配って歌っているのが非常によく分る。えっ?スピーカーでそれが分らないアンタの耳がヘボいんだって?まあそりゃそうなんですけれど。
ヘッドフォンで聴くと『恋愛小説』『恋愛小説 2 - 若葉のころ』で歌う原田知世の声は、若干ハスキーにも聴こえる。ややかすれ気味の、というとちょっと違うのか、なんだか吐き出す息のシューという音と歌声が混じっているかのような、しかも優しくささやくかのようにそっと置くように言葉をかけてきてくれる。耳が悪いので弱っている僕のメンタルをそっと優しく撫でてくれているかのようにね。
そんな原田知世のウィスパリング・ヴォイス&シンギングは、伊藤ゴローのアレンジ&プロデュース・ワークが見事なせいで、より一層際立っているんだよね。『恋愛小説』『恋愛小説 2 - 若葉のころ』二枚での伊藤ゴローの仕事ぶりについては、最初に貼った過去記事リンクをお読みいただきたい。それに付け加えることは、現時点の僕にはまだない。ため息をつきながら、うっとりと聴き惚れ続けているだけだ。
曲によっては、原田知世の歌い廻しの細かい部分が、スピーカーで聴くのとヘッドフォンで聴くのでは違っているかのように聴こえるので不思議だ。だってフレイジングそのものが違っているみたいに聴こえ、実際にはそんなはずはないわけだから、じゃあ原田知世の歌声を存分に味わうには、ヘッドフォンじゃないとダメってこと?う〜ん、僕はスピーカー派なんだけど…。使い分けりゃいいのか…、う〜ん…。
一つだけ具体例をあげておこうっと。日本の歌謡曲のラヴ・ソング・カヴァー集『恋愛小説 2 - 若葉のころ』にある、アルバム・ラストの「SWEET MEMORIES」(松田聖子)。原田知世が歌いはじめて、2リフレイン目の「幸せ?と聞かないで / 嘘つくのは上手じゃない」(歌詞は松本隆)部分の「上手じゃない」。これの「じょうず」の「じょ〜(ず)」での原田知世の声の出し方と歌い方の表情のつくり方が、こりゃも〜う、あまりにも絶妙すぎる。なんて上手いんだろう。
最後に付記。リンクを貼った過去記事では『恋愛小説 2 - 若葉のころ』の「September」(竹内まりや)が個人的モスト・フェイヴァリットだという意味の書き方をした。あの時点では間違いなくそうだったが、いま8月10日時点で僕にとっていちばんグッと来ているのは、六曲目の「年下の男の子」(キャンディーズ)だ。毎日こればっかリピート再生している。
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