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2017/08/02

レコード・リリースの年月日もかなり重要

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(いま耳が聴こえにくいので音楽の細かいことが分らないシリーズ 11)

ディスコグラフィ(はもともと録音物目録の意ではなく、録音物研究の意)など各種情報源の類には記載されない場合もあるレコード(CD、配信)の発売年月日。音楽の日付で最も重要視されるのは、むかしもいまも、あくまでパフォーマンスが行われた当日の年月日だ。録音しないライヴ・コンサートであれば、もちろんそれだけでいい。そもそも聴衆を前にして行うライヴは、それがリリース= お披露目、発売なわけだから、その日付さえあればいい。それが録音・録画されパッケージ商品となるのは副次的なことだ。

ところが、スタジオ(やフィールドなど)での録音となると、それじたいは聴衆を面前にしない(場合が多い、例外はある)もので、スタジオには音楽家とプロデューサーと、エンジニアその他の録音技師などレコード会社関係の人たち。演唱される音楽をその場でそのまま同時に耳にできるのは、本人たちを除くとそれらの人たちだけ。

スタジオ録音物が公にお披露目されるのは、もちろんレコード商品となってリリースされたとき。演唱時がそのまま同時に公開時となるライヴ・パフォーマンスとは、この点で非常に大きく異なっている。言うまでもなく録音技術発明・普及以前の長い長い時代には、やはりこの二つは同時だった。生演奏しか存在しないわけだから。あ、いや、西洋クラシック音楽その他の譜面出版があるか。あれも確かに「音楽作品の発売」だったよなあ。う〜ん…、譜面出版のことは今日は無視するしかない。あくまで録音に限定しよう。

となると、僕たち一般聴衆が音楽作品に触れるのは、演唱が行われるまさにその瞬間に同時体験できるライヴ・コンサートか、そうでなければレコードなどの録音物を、なにかの店か自宅かどこかにおいて再生装置で聴くか、この二つしかありえないはずだ。それでライヴ・コンサートの場合は演唱/聴取の時間ギャップがないわけだから、今日の僕の話題では問題が小さい。問題はスタジオ録音され、レコード商品となって発売されるものの場合だ。

何年何月何日に録音が行われたのか?ということは、もちろんものすごく重要なことだ。みんなそう考えて疑っていないからこそ、それが記載されないディスコグラフィなど存在しえない。そんなものは無価値だ。何年何月何日に録音が行われたのか?というデータは、当の音楽家がその録音時においてどんな状態・過程にあったのか?録音時に、音楽の背後にどのような社会状況があって、どんな影響を受けたのか?また録音前にどんな音楽作品が既に存在していて、それらからどのような影響を受けたのか?そもそもどれを聴いていたのかどうか?などなど、諸々を判断できる最大の根拠だ。

しかしいま直前で示唆したように、その音楽家のその作品録音時にどんな音楽作品が世に出ていたのか?をちゃんと知るためには、レコード(CD)がいつ発売されていたのかが分らないと判断できないよね。これが僕の言うリリース年月日重視説の根拠だ。もちろん重視する方はむかしからたくさんいて、発売年月日をちゃんと記してあるディスコグラフィも多い。というか、全体から(って「全体」を僕は知らないが)すれば、そっちの方が多いように見えている。

レコードのリリース年月日が記されない場合もしばしばあるのは、一つには、録音年月日よりは重視しなくていいという認識がまだまだある?のと、もう一つは、調べてもちゃんとした日付が判明しない場合もたくさんあるからなんじゃないかという気がする。まあこれは録音年月日でも同じだけれどね。ディスコグラフィのたぐいに録音日付の記載がない音源だってかなりある。分らないものは記しようがないんだから。この調べても判明しないというケースが、リリース日付の場合はもっとグンと増えるんじゃないかなあ。

調べても分らない最大の原因を推測するに、レーベルやレコード会社側も、録音日付は記録してあっても発売日付は記録しないケースがあるらしいんだよね。というのは、録音は一回こっきりだから日付も一個だけ。これを記録するのはたやすい(はず)だし、記録する意味も大きい。ところが発売は一回だけじゃないもんね。複数回発売されるケースが多いじゃないか。

〜 言うまでもないが、一回だけしかリリーされず、売れず、まったく売れないので再発もされず、そのまま埋もれて、世の多くの人々の記憶に残ってすらもいないという音楽レコードが全体の大部分を占めているはず。アメリカ合衆国音楽だと、特にこれがひどい。アメリカほどクズ音楽レコードを、それも膨大な数を、一世紀半以上もどんどん発売し続けている国は、世界にほかにない。〜

そんなわけで、記録しやすく、記録する意味も大きい録音日付と違って、リリース日付は記録されなかったり、同一内容の音楽作品が(パッケージングなどを少しずつ変えて)なんども繰返し再発されている場合には、そもそも会社側もワケが分らなくなってしまうのかもしれないよなあ…、なんてことはないか、まあでも全部を記録することは難しいんだろう。それにかなりの音楽愛好家を除き、多くの人はなんども再発されるような、そんな人気音楽商品を買って耳にしているんだろう。僕もそうだ。

とは思うものの、「初回」リリースの日付はやはり一個しかないわけだから、これは記録しておいてくれてもいいんじゃないかなあ。なんども再発される場合でも、できうればぜんぶ記録しておいてほしいのだ。なぜならば、優れた音楽作品であればあるほど、発売されるたびに毎回再評価され、毎回の発売時に初めて耳にしたという世の人たち、特に音楽家に再び影響を及ぼすからだ。その影響具合を詳しく考えようとしたら、(毎回の)リリース日付が分らないと難しいんだよね。会社によっては、また同じ会社でも重視している大物音楽家の場合は、それらをぜんぶしっかり記録してあって、だからいま僕の手許でも参照できることも多い。そう、つまりマイルズ・デイヴィスの場合がこれだ。だいたいぜんぶ分っている。考える際には助かるんだよね。

一つの音楽作品が発売されたことで、それが世のなかにもたらしたインパクトや、その後のいろんな人たちの音楽展開に与えた影響など、それらを考える際には、やっぱりリリース年月日こそが重要なんだよね。ある意味、録音年月日以上に重要かもしれないと僕は考えている。

例えばボブ・ディランの『ブロンド・オン・ブロンド』とフランク・ザッパの『フリーク・アウト』の関係とか、ザッパの『アブソルートリー・フリー』とビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の関係とかさ、かなり面白く興味深いものがあると思うよ。これらの関係を考えるためには、やはり発売年月日の正確なところを知りたいよね。本人たちもそうだし、リスナーたち、社会との関係も。

また、「その後のいろんな人たちの音楽展開に」と書いたが、録音技術が普及してレコード商品が一般流通するようになると、外国にもたらされることが容易になった。最初は本国盤の輸出入だったかもしれないが、ある時期以後は発売当国でプレス作業をやることも一般化した。

ある国のある音楽作品が、他国にいつ入ってきたのか?当国プレス盤はその国でいつ発売されたのか?など、情報がどんどん交錯して複雑化することになる。僕の言うリリース年月日重視説は、こんな事情も当然含んでいる。当たり前だ、そりゃそうだろう、僕が今日強調しているのは、音楽レコード商品(やそのラジオ放送などその他いろいろ)が、世のなかに、人々に、特に音楽家に、リアルタイムでどのようなインパクト、影響をもたらしたかを考える際には、ということなんだから、同じ作品でも国によって発売年月日が異なるものは、そのデータがすべてほしい。そもそも「世界同時発売」などという謳い文句が当たり前になったような現在より以前は、すなわちほんのちょっと前までは、すべての音楽商品は国によって発売年月日が異なっている。直接の輸入だって、当然本国での発売よりは後だ。

そうなると、一つの音楽作品が発売されて、それを聴いたその国の人たちがそれをどう聴いて、どう捉え、どう考えて、その国の社会にどんなものをもたらして、また特にその国の音楽家にどれくらいの影響を及ぼしたのか?そもそも彼らはいつそのレコード(CD)を買って聴いたのか?〜 これを考えるには、やはり各国別のリリース日付が重要になってくるはず。最低でもいつ(なんらかの意味で)輸入されたのか、知りたい。

しかしこんなことになると、今日ここまで僕が書いてきたことをぜんぶ克明に記録して、ディスコグラフィカルな一覧にして(紙でも電子データでも)出版するのは、やっぱりかなり難しい、というか、まあ不可能なんだろう。う〜ん…。すべてのリリース年月日が判明すれば、もっともっと録音音楽作品の研究、だけじゃなく楽しみ・面白さも拡大すると思うんだけどなあ。

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