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2017/08/04

マイルズの中流音楽

Unknown

Milesdavis








(いま耳が聴こえにくいので音楽の細かいことが分らないシリーズ 13)

今日(7/31)は文章を書く気がしない。耳の聴こえがかなりダメだからだ。ぜんぜん聴こえないわけじゃなく、ちょっとは聴こえるのだが、しかしどんどん悪化する一方だなあ、この僕の右耳。どうなってんの?そこそこ聴こえるというところまでアンプで音量を上げると、今度はスピーカーからの音が割れてビリビリ鳴って、しかもベースやバスドラなどの低音で床があまりにもズンズン振動しすぎてしまい、テーブルも鳴り、こりゃまるで低級ディスコだ。

しかし発症からちょうど二週間。マジでどんどん悪くなっているのだけれど、治る見込あるのか、この耳?いまちょうど夏休み中で、今日も午後は耳鼻科に行くけれど、医者に思いのたけをぶちまけて泣かないとダメだなあ、こりゃ。最終的には手術しないといけないかもしれませんと、土曜日(7/29)に言われている。こんな状態が続くようであれば、音楽愛好家としてはちょっとどうなの?じゃあとっとと手術してもらおうかな?それで聴こえが改善されるかどうか分らないが、どっちみち聴こえなくなるのであれば、なにかトライしなくちゃ。

そんなわけでいま午前中はなにも書く気がしないけれど、それでもちょっとだけなにか書いておこう。マイルズ・デイヴィス関連で。そんな必死こいて毎日書かなくたって休めばいいじゃないか、アンタのブログ更新なんか、そんな誰も期待してないぞ、休め休め、うるさくなくなってこっちはせいせいするぞと言われるかもしれないが、ゴメンナサイ、そうはいかんのだ。まったくなにも音楽を(聴こえないなりに)鳴らさず、文章も一行も書かないとなると、そっちのほうが僕のメンタルはずっとひどく落ち込んでしまうんだよね。

こんなようなことも、吐き出す愚痴もなにもかも、耳の聴こえが改善しさえすれば、消えてしまうはず。100%戻ることはもう期待していない。70%か、せめて50%でも戻ってくれば、ぜんぶ吹っ飛んで消えてなくなってしまうのは分っている。ケロッとなにごともなかったかのように僕はふるまうだろう。それまで(って、いつまで?いつ治る?)お目障りであれば、どうぞ僕のブログは無視してくださって結構。

だから本当に少しだけマイルズについて書いておこう。具体的音源の話は耳が聴こえないんだから無理。したがってマイルズ関連で、前から僕がちょっと気になっていることにかんし、少し触れておきたい。

なにかというと、マイルズは、マイルズ・ミュージックは、決して貧乏労働者や低層の味方なんかじゃないってことだ。どっちかというとマイルズの音楽は、どの時代でも常に、白人インテリ層中流向けのものであり続けている。むかしから、その後も、そしていまもそうだ。まったく変わっていない。

その最大の原因は、ひょっとしたらマイルズの生い立ちにあるのかもしれない。生誕の地はイリノイ州アルトンだが、ここはセント・ルイスとほぼ同じといっていいほどの近隣で、マイルズ一歳のときに家族で同州イースト・セント・ルイスに引っ越して、その後マイルズもニュー・ヨークに出てくるまで同地で育った。

そのマイルズの両親というのが、父は歯科医、母は学校教師で、息子は1926年生まれという世代のことと、黒人であることを考えたら、かなりいいほうの階層じゃないかなあ。低く見ても裕福中流に違いない。実際、マイルズ本人も食べるに困ったりなどはぜんぜんなく、なに不自由しない子供時代を過ごしていた。

それに第一にだ、ニュー・ヨークに来てからも、長いあいだマイルズには父(も同名のマイルズ)からまあまあな額の仕送りがあったのだ。チャーリー・パーカー・コンボを卒業して独立しソロ活動するようになって以後も、父マイルズからの仕送りはずっと続いていた。あの仕送りはいったい何年ごろなくなったんだろう?ひょっとして1955年に大手コロンビアと秘密契約し、アドヴァンス・マニーみたいなものをもらうまで続いていたんだろうか?

そんなこともあってか、まあ育ちのいい、言ってみれば「いいとこのボンボン」だったマイルズ。それがいくら憧れだったからといっても、いきなりニュー・ヨークの、あんな苛烈で生き馬の目を抜かんばかりのビ・バップ・ムーヴメントの渦中に飛び込んでいったわけだから、じゃあさんざん苦労して、世間の底を舐めているかのような人たちの気持が分るようになって、そんな人たち向けの音楽を志向するようになったのかといえば、まったくならず。

チャーリー・パーカー・コンボ時代からあんなお上品なトランペットを吹いていたマイルズだが、初リーダー作品が例の『クールの誕生』だもんね。面白くて僕は好き(この際はっきり言うが、ムード・ミュージックとしてだよ)なんだが、一般的見方としては、西洋白人音楽寄りの、難解で、とっつきにくい、実験的室内楽じゃないか。だからいま JTNC 系のみなさんにとりあげられるんだよね。ああいった最近のジャズ(周辺)は、要はクラシック音楽に寄っていっているわけだから。

ジャズ(・ファン、専門家含め)関係者のクラシック音楽コンプレックスって、いったいいつまで続くんだろう?「早くクラシックになりた〜い!」っていう、むかし『妖怪人間ベム』っていうテレビ・アニメ番組があったんだけど、みなさんご記憶でしょうか?

マイルズの『クールの誕生』だって、結果的に(僕にはムード・ミュージックに聴こえる)あのソフトでフワフワしたサウンドに仕上がって悪くないと思うけれど、あんなもの、貧乏マイノリティは聴かないね。ましてやいまから30年以上前に寺島某が、なんだっけ、学究的に聴けとか学問的に聴けだっけ?なんだかそんなようなことをこのアルバムについて書いていたんだけど、あれが某靖国と僕との出会いだったので、その後現在まで、無視していい存在だと分ってしまった。

まあしかし『クールの誕生』にはじまり、 その後もマイルズ・ミュージックの基本線はずっとこれだった。裕福中流のリスニング・ルームで聴くための音楽。これをぜんぜん踏み外したことがない。1970年代にファンク・ミュージックをやっていた時期のものだって、以前僕は、汗臭さ(=ファンク)をまったく感じない「知的ファンク」だと書いたことがあるが、体の芯から思わず滲み出てくるかのようなクッサ〜イものは、マイルズ・ファンクにはないよね。
だから、あの1970年代にファンキーだった(ように僕は思う)時代のマイルズの音楽も、購買層のメインは欧州系白人だった。コンサート会場の客層も、実際、白人が多かったようだ。マイルズ本人はこのことを嘆いていて、「どうしてオレのコンサートにはブラック・ピーピルが少ないんだ?オレはオレの音楽に彼らを取り戻したい」と発言していた。がしかし、マイルズ、本気でそんなこと思って発言していたのか?本気だったとしたら、音楽家としての自己認識・分析能力がなさすぎるんじゃないの?

つまり、今日、僕が言いたいことは要はこれ 〜 自分は中流インテリであるくせに、低層貧乏労働者の味方であるようなことを言って、音楽もそんなものが好きであるかのような格好をし、強く愛好するかのようなフリをしている、いや、フリではなく本人はマジでそういうものが好きだと心底思い込んでいる 〜  こんな僕のこれは、まさしくマイルズ・デイヴィスのありようそのまんまだ。

だから僕はマイルズが好きなんだろうか?う〜ん…、どうなんでしょう?

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コメント

毎日の更新本当に楽しみにしてますよ!
とはいえ最近忙しくて毎日読む事が出来ずに時間がある時のまとめ読みの為今更のコメントになってしまいましたが…
としまさんの文章はいつも興味深いですけど、やはりマイルス関連のものは特に面白いですね


上流白人にも下層黒人にもなれなかった(これもニッチって事ですかね?)ところにマイルスの魅力の秘密がありそうですね
まあ、だからあんなにめんどくさい人だったんでしょうけど…

タメさん、ご愛読ありがとうございます。僕のほうは溜めてのまとめ読みでもすごく嬉しいので、ぜんぜん問題ありません。

マイルズはおっしゃるとおり、どっちつかずのニッチでチョ〜メンドクセエ〜奴ですよね(笑)、

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