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2017/10/14

アンゴラがすごいことになっている 〜 周回遅れの僕がヨラ・セメードを聴く(1)

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ヨラ・セメードというアンゴラの女性歌手。僕は2010年作『ミーニャ・アルマ』と2014年作『フィーリョ・メウ』の二枚しか持っていないのだが、その前にデビュー・アルバムがあるらしい。それから今年新作が出そうだとのエル・スール原田さん情報があるのだが、それを得てネット検索すると、英語でも確かにそんなことが書いてあるページが出る。がそれは四月付けの記事で、今年もすでに十月。本当に今年出るのでしょうか?むろん今年じゃなくてもいいわけですから、デビュー作とあわせ、それも原田さん、よろしくお願いします。

さて “Yola Semedo” で検索してもあまりこれというパッとした内容の文章が出てこないんだから、「ヨラ・セメード」なんかでネット検索したってダメだろう?と思われるかもしれないよね。でも逆みたいだ。日本語のネット記事がこのアンゴラの女性歌手についてはいちばん充実しているような気がする。といってもヒットするのはエル・スールさんと荻原和也さんだけなんだけど(笑)。このお二方が、僕の、いや、みんなの、強い味方だ。助かります。いつも本当に感謝しています。

ヨラのアルバムが日本で買えるようになったのは、今2017年に2014年作の『フーリョ・メウ』がエル・スールに入荷したときが初らしい。その後、2010年作の『ミーニャ・アルマ』もやはり今年入荷。僕はこの二枚を同時に買った。自宅に届いたときに、グランド・ピアノの前で座って鍵盤に手を置いているジャケット・デザインの『フーリョ・メウ』は買ったのを憶えていたが(どうしてかというと、こっちだけを荻原和也さんがブログでとりあげていらしたからだ)、『ミーニャ・アルマ』のほうは、これだれのなんだろう?こんなのオーダーしたっけ?って、ジャケットにちゃんと Yola Semedo とあるのに…、最近物忘れが激しい僕です。30年前のことは克明に憶えているのに3秒前のことはどんどん忘れるのは、どうもそういうもんだそうで…。華麗なる加齢現象ですよね。

しょーもないダジャレを飛ばしたところで、今日はヨラの2010年作『ミーニャ・アルマ』のほうについてだけ書きたい。明日は2014年作『フーリョ・メウ』についてと、二日連続のヨラ・セメードとアンゴラン・ポップ祭。この順序にする理由は三つ。一つは発売順。一つは2014年作は bunboni さんのブログ記事があるので僕が書くことはあまりない。一つはそれにもかかわらず僕はあんがい2010年作が好みだ。内容的に2014年作のほうが上だというのは聴いて分るけれど、趣味嗜好だけはしょうがないよなあ。

ヨラ・セメードの2010年作『ミーニャ・アルマ』。ホントかなりポップだし、ヨラのヴォーカルには妙な癖がなく、しかもかなり上手いので、幅広い層にアピールできる歌手だよなあ。さらに曲の歌詞もかなりたくさん書いていて、ばあいによってはメロディも彼女自身が書いているものがある。ピアノを弾いているのはどうもヨラではない模様。アルバム一曲目の「エス・オ・ポデール」がヨラ自身の作詞作曲で、(まるで弾き語りみたいな)アクースティック・ピアノ一台だけの伴奏ではじまる泣きの美メロ・バラード。こ〜りゃ美しい、素晴らしいと聴き惚れていると、中盤でチェロが入ってきて、それで涙腺崩壊(はホントはしなかったが)にいたってしまうような展開で、僕はこの一曲目だけでノック・アウトされてしまった。
そういえば2014年作『フーリョ・メウ』の一曲目も似たような感じだけど、アルバムをこういう感じで幕開けにするのは、ヨラのアルバムではお決まりだってことなんだろうか?どっちにしても二枚とも、どっちから聴いても、オープニングだけで心を鷲掴みされることは間違いない。完璧に計算されたつかみだよなあ。

計算されたといえば、『フーリョ・メウ』でも二曲目がテンポのいいビートの効いた曲なんだけど、『ミーニャ・アルマ』でもすでにそれは同じだ。後者の二曲目「マリード・インフィエル」はセンバっぽいよなあと僕は思うのだがセンバではなく、キゾンバらしい。しかし『フーリョ・メウ』のほうにはセンバもあるし、キゾンバ → センバみたいな流れがあるってこと?しかし例えばこのヨラの二枚で聴き比べても、アンゴラ音痴の僕には明確な違いが分らない。どなたか、どこがどう違うのか、一度じっくり教えてください!これはマジ本心です!本当にどなたか、お願いします!
この「マリード・インフィエル」でエレキ・ギターを弾いているのはパウロ・フローレスだとクレジットがある。いいよねえ、このギター・カッティング。センバっぽいんじゃないの?パウロのギター・カッティングがこの(キゾンバだかセンバだか僕には分んない)グルーヴ・チューンの肝になっているよね。リズム・フィールのグルーヴィさとタイトさや、バック・コーラスの女性陣や、これにホーン・セクションとストリングス・セクションのリフさえ入れば完璧なものに仕上がるはず。だがこの曲のこの時点ですでに十分チャーミングで、しなやかで、しかもノリよくカッコイイ。

ノリのいいグルーヴ・チューン主体のヨラ『ミーニャ・アルマ』で、3曲目「ペルドア」とか、6曲目「マール・アズール」とか、7曲目「ア・ウニカ」とか、英語で歌う8曲目「セイ・オー!」とか、同じものの別ヴァージョンである13曲目「セイ・オー!(バウンス)」とか、ぜんぶノリの感じは2曲目と、そしてパウロ・フローレスのあのアルバムの多くの曲と、完璧に同であるように僕には聴こえるのだが。キゾンバでもセンバでもいいから、とにかく楽しい〜っ!そんでもって聴きやすくポップでノリがいい。

ヨラのアルバム『ミーニャ・アルマ』のなかにはサルサっぽいキューバン・ミュージックみたいなものもある。11曲目の「キエロ・ヴィヴィール」がそれ。アルバム全体で僕はこの11曲目がいちばんのお気に入りなんだけど、まずハード・ロックふうにファズの効いたエレキ・ギターではじまるなと思うとそれは一瞬だけで、すぐにサルサっぽいノリになる。ピアノの叩き方とか、ティンバレスのカンカラカンっていう入り方とか、まさにキューバン・ミュージック・スタイル。特に中盤でブレイク部があって、ダンダンダン!とブレイク・リフを反復するあいだ、そこでティンバレスが入れるパターンはサルサ・マナーだ。
どうだこれ?最高じゃないか。しかも後半部ではラップ・ヴォーカルも出るもんね。サルサにヒップ・ホップ R&B が合体したみたいなこの路線は、そのまま次作2014年の『フーリョ・メウ』で大きく開花している。しかもアルバム全体をとおし、ただ快活に激しくグルーヴィであるだけでなく、ポップでメロウなフィーリング、つまりアンゴラを植民地にしていたポルトガル由来なのかどうか分らないが、ブラジル音楽で特に言うサウダージが横溢している。

アルバム『ミーニャ・アルマ』では、上記二つの「セイ・オー!」のほかに、4曲目「アイ・ワナ・ビー」と、ラスト14曲目「イッツ・オーヴァー」も英語で歌われている。最後の「もうおしまいになったのよ」という別れの歌は、しかし曲調はトーチ・ソングふうではなく、完璧なるハード・ロックだ。ファズの効いたエレキ・ギターが大活躍するばかりか、ドラマー(は打ち込みか?)の叩くパターンも1970年代英米ハード・ロック・マナー(特にハーフ・オープン・ハイハットの使いかた)。派手派手に盛り上がり、ハード・ロック好き人間の僕には楽しいが、アルバム中この曲だけはアンゴラン・ポップ好きのみなさんにはイマイチかも?

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