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2017/10/02

ザッパの人気作はブルーズ感覚横溢、しかも颯爽

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『ワン・サイズ・フィッツ・オール』っていうこのタイトルは、アメリカで T シャツでもなんでも衣料を買うと付いているタグによく書いてある言葉で、日本でいえばフリー・サイズってやつになるのかな?この一着の1サイズでどんな体格の人でも着られますよっていう意味なんだよね。つまりいわば万能薬みたいなもんで、だからフランク・ザッパがこのアルバム題にしたのは、一家に一枚、必須の常備品ですよってことだったのだろうか?

そこは分らないからいいや。『ホット・ラッツ』とならび、フランク・ザッパの全アルバム中僕のモスト・フェイヴァリットである1975年の『ワン・サイズ・フィッツ・オール』。なんたって一曲目の「インカ・ローズ」がとんでもなくカッコイイもんねえ。あのダンダダン、ダダダダダンダダン、っていうイントロ部だけ気持よすぎてでイってしまいそうになっちゃうぞ…、と思いながら聴いていると、いつもどおり途中でおかしなことをやりはじめるので、やっぱりイキきれないというもどかしさが、また愛おしい。

「インカ・ローズ」のどこがそんなにカッコよくて気持イイのか、どこがヘンなのか、その他いろんなことは別途この一曲だけをとりあげたかたちで単独記事にしたいと思って準備中なので、今日は遠慮しておこう。「インカ・ローズ」のことを書かない『ワン・サイズ・フィッツ・オール』関連なんて面白くないかもしれないが、この曲以外もかなり楽しいよ。そしてそのほうが、実はこのアルバムの本質をとらえやすいかもしれないとも思うのだ。

『ワン・サイズ・フィッツ・オール』で「インカ・ローズ」を外すと、僕にとってのこのアルバムはブルージーの一言に尽きる、ばあいが多い。順番に聴き進んでまず最初にそれを感じるのは、四曲目の「ポ・ジャマ・ピープル」だ。まずジョージ・デュークがちょろっと弾くアクースティック・ピアノ・イントロが、かなり都会的でジャジー。しかも夜の雰囲気だよね。すぐにザッパがギターで華麗に弾きはじめるのだが、それがめちゃめちゃブルージーだ。ってかこれはブルーズ・ナンバーみたいなもんだろう。ささやくようなヴォーカルもザッパらしい。ジョージ・デュークがずっとピアノで背後を支えている。ザッパは歌い終わると再び上手すぎるギター・ソロを弾く。そこなんか、どう聴いたってブルーズ・ギターだもんね。そのソロが相当いいよなあ。
ありゃ〜、『ワン・サイズ・フィッツ・オール』もこれまたフル・アルバムで YouTube に上がっているぞ。そんなことしちゃっていいのか(笑)。まあせっかくだから、LP や CD などをお持ちでない方は、ぜひちょっと聴いてみてほしい。おっ、こりゃなかなかいいぞと思ったら、ぜひ CD を買ってくださいませんか?僕がどんどん YouTube にアップロードするのも、最終目標はそこにある。CD 買ってほしいから、どんなものか試聴できるようにするんだよね。
『ワン・サイズ・フィツ・オール』CD だと七曲目の「サン・バーディノ」もかなりブルージーだよね。これも12小節定型ブルーズのヴァリエイションの一つみたいに僕には聴こえる。やはりザッパのギター・プレイにそんなフィーリングがかなり強い(部分的にスライドも聴かせる)けれど、この曲ではそれ以上に強烈にブルージーなハーモニカ(変名参加のキャプテン・ビーフハート)が入っている。後半に出てくるヴォーカルがジョニー・ギター・ワトスンなんだろう。フランベ・ヴォーカルとか(どういう意味?)クレジットされているやつ。その部分では、あ、いや、ほぼ一曲全体かな?、ブギ・ウギのパターンに近いものをリズム・セクションが演奏する。
続く八曲目「アンディ」にもジョニー・ギター・ワトスンがフランベ・ヴォーカルとかいうもので参加。中間部のサビ以後で明らかにギター・ワトスンだという声がする。ギター・ワトスンはザッパのアイドルの一人だったブルーズ・マンだけど、参加させておいてギターは弾かせないっていうのは、ザッパさん、どういうことなんでしょうか?曲の真ん中あたりでパッと雰囲気とパターンが変化して、ブルージーさよりも颯爽感が強くなったなあと思って聴いていると、最後のほうでまたブルージーになったり、やっぱり颯爽としたりする。ジョージ・デュークのピアノとトム・ファウラーのベースがカッコイイ。最終盤でやはりザッパが難しいギター・ソロを簡単そうに弾く。
『ワン・サイズ・フィッツ・オール』には「ソファ」という曲題のものが、三曲目の「No. 1」とラスト九曲目の「No. 2」と二つある。「No. 1」はヴォーカルなしのインストルメンタル・ナンバーで、「No. 2」のほうはヴォーカル入りだけど、関連があるんだろうか?どっちもかなりカッコよくて、しかも現代音楽風だよなと思うと、ジャズっぽい部分や黒人ゴスペルふうな部分も僕は感じる面白い二曲。曲想と調子がほぼ同じなので、やはり同一曲の2ヴァリエイションってことなんだろうか?
また、アルバム二曲目の「キャント・アフォード・ノー・シューズ」はかなりポップなロックンロール・チューンで聴きやすいものだけど、ザッパが弾くギターはやはりかなりブルージーだ。というかほぼブルーズ・スケールを使って弾いているよね。聴いた感触としても黒人ブルーズ臭がある。しかもここでもまたスライド・バーを使ってあるようなサウンドがするが、使ってあるんだよな、これ?
さてこれで、『ワン・サイズ・フィッツ・オール』にあるもので触れていないものは、(「インカ・ローズ」を除くと)五曲目の「フロレンティン・ポーゲン」と六曲目の「イヴリン、ア・モディファイド・ドッグ」だけになった。この二曲に直接的なブルーズ感覚は薄いように僕は感じる。颯爽感は前者では強い。そもそもザッパ・ミュージックって、だいたいどれも颯爽としていてカッコイイよね。キリッとしてるっていうかさ。そこも僕は大好きなんだよね。後者はちょっとヴォードヴィル・ショウ・ミュージックっぽいようなホンキー・トンクを僕は感じとるんだけど、僕だけ?あっ、ってことはやっぱりブルーズと関係あるのかなあ?どうなの?

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