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2017/12/24

レイディ・サンタからのプレゼント 〜 ハッピー・クリスマス 2017

 

 



サンタ・クロースはきっといるんだと僕は思う。正確には、いるのかいないのか科学的に証明できない。実証できないことについては、どうだか分らないとして判断を保留するのが理性的な態度というものだろう。サンタ・クロースなんてガキのものじゃないかと大人は笑ってバカにするかもしれないが、それは冷静でロジカルな姿勢じゃないのかも。

 

 

少なくとも僕にとっては音楽の贈り物があるるんだもんね。毎年毎年楽しいプレゼントがある(ってか自室にて自分で掘り起こして聴くわけだけど)。今2017年のクリスマスは、いちばん上でご紹介した Spotify のプレイリストが僕へのクリスマス・プレゼントだ。届けてくださったのはしぎょういつみさん。もちろんこれは公開されてあるプレイリストなので、しぎょうさんはみんなにこのクリスマス・プレゼントを配ってくださっている。立派なレイディ・サンタ・クロースじゃないか。みなさん、ちょっと聴いてみて、このクリスマス・ポップ・ソング集を。

 

 

 


これはポップ・フィールドにある曲ばかりなので、純宗教的な分野にある賛美歌などはない。クリスマスをテーマにしたもののなかから、あくまでポップ・ソングに限定し全30曲をチョイスしてある。ふつうの(ジャズっぽい)ポップス、ロック、ソウル、カントリー、ラテン、アイリッシュ、ポルカまで、彩り鮮やかで、本当に楽しい。色彩感の豊かさはまるでオーナメントがたくさん付いたクリスマス・トゥリーを眺めているような気分じゃないか。

 

 

もちろんいろんな曲があって、たった一人ぼっちのクリスマスに、だれかを、 なにかを思い出しているようにシンミリしていたり、社会的なメッセージを投げかけたり(サンタ、貧民街へ行け)、バック・ドア・サンタ(意味は調べてね)になったり、刑務所で過ごすクリスマスや、最悪のクリスマスだと嘆いたり、クリスマスにその誕生を祝福される人物は社会的反逆者だったんだからと言って、資本社会の深い問題を突いたり、などなど。

 

 

それでもまずは賑やかで楽しいキンクスの「ファーザー・クリスマス」で幕開け。ダンサブルでいいね。まるでクリスマス・パーティで騒いでいるような気分だ。ファズの効いたエレキ・ギターが派手に鳴って、僕、こういうの大好きだ。次がビーチ・ボーイズだが、三つ目のジョニ・ミッチェル「リヴァー」で僕はシンミリ。これはたぶんロスト・ラヴ、ロスト・ホームのクリスマス・ソングだよね。ピアノだけで弾き語るジョニの声は陰影に富み、シットリしてていいなあ。寂しい曲だということはちょっとおいておこう。音楽美の話だ。

 

 

ジョニの「リヴァー」が収録された『ブルー』のことを僕もどれほど好きかってことは今日の話題に関係ないので、また来年にでも。しかしこのプレイリストで三つ目にこれが流れてきたとき、僕は本当に聴き入っちゃって、う〜ん、このころこうやって歌うジョニってマジで素晴らしかった、美しかったと、いまさらながら惚れなおしたんだよね。ジャコ・パストリアス時代もいいけれど、『ブルー』はマジで美しい。

 

 

こんな調子で全曲書いていくわけにはいかないので、かいつまんで。6曲目のパティ・ペイジ「ブギ・ウギ・サンタ・クロース」と14曲目のドリス・デイ「シルヴァー・ベルズ」が、僕の個人的音楽趣味からすればいちばんの好物。パティ・ペイジのやつは中村とうようさん編纂のクリスマス・ソング・アンソロジーにも入っているので、みなさんご存知のはず。もともとアメリカでは「テネシー・ワルツ」SP の B 面だった。

 

 

ジェイムズ・ブラウンのやダニー・ハサウェイのやつも楽しいが飛ばして、9曲目、盲目の歌手ホセ・フェリシアーノが歌う「フェリス・ナビダード」。スペイン語で「メリー・クリスマス」の意だが、ホセは英語もまぜて歌っている。軽いラテン調があって、ホーン・アンサンブルも楽しいオール・アクースティック編成での演奏。

 

 

個人的にもっとよかった、というかこんなにチャーミングな歌手だっけ?と新鮮な発見だったのが、続く10曲目のオリヴィア・ニュートン・ジョン「クリスマス・オン・マイ・レイディオ」。声がさぁ、ほっんと〜っにカワイイんだよ〜。いままでルックスばかりチャーミングだとか見ててごめんなさい。三連のダダダ、ダダダというリズム・パターンに乗ってオリヴィアが可愛く、そしてちょっとセクシーに、さらにソウルフルなフィーリングすら持って歌うクリスマス・ソングだ。曲終わりでの “turn up the radio” に続く「ンン〜」でやられてしまいました。好きです、オリヴィアさん(って、だれのことでも好きなんやな、戸嶋くんは)。

 

 

ポルカでやる11曲目ジム・リーヴズ「ザ・メリー・クリスマス・ポルカ」も楽しい。間奏で左チャンネルからアコーディオンが聴こえる。ジム・リーブズはナッシュヴィル・サウンドでやるカントリー畑のアメリカ人歌手だけど、北米だけでなく中南米でも、ヨーロッパ大陸から入ってきたポルカは非常に重要な役割を果たしていた。ロックだってショーロだってそうなんだよ。

 

 

「毎日がクリスマスだったらいいのに」と歌うウィザードのグラム・ロック(っぽくなくて、オールド・ロックンロールみたいだが、この曲は)な13曲目もいいし、15曲目のイーグルズもイイ。イーグルズの「プリーズ・カム・ホーム・フォー・クリスマス」は、これまた三連パターンのリズムに乗って、歌っているのはたぶんグレン・フライかなあ?そんな声に聴こえるけれど、違っているかもしれない。

 

 

16曲目のポーグズはアイルランドとイギリス合体のケルト・ロック・バンド。でもここでカースティ・マッコール(でいいの?Kirsty の読みは?)を迎えてやる「フェアリーテイル・オヴ・ニュー・ヨーク」は、カースティが出る直前からトラディショナルな6/8拍子のアイリッシュ・ジグになる。このリズムはアメリカのゴスペルやリズム&ブルーズやソウル・ミュージック、さらにアフリカ音楽にも多い。

 

 

18曲目ジェスロ・タルのクリスマス・ソングのことは、僕も昨年、一昨年とクリスマス記事で書いたので省略。とにかく大好きです、僕は、あのタルの『クリスマス・アルバム』がね。ラテンな20曲目のことにもちょっとは触れておこう。グラン・コンボのクリスマス・ソング集から一曲目の「ノ・アイ・カーマ・パ・タンタ・ヘンテ」。エネルギッシュなサルサで賑やかなクリスマスになっていいね。みんな来ちゃって寝る場所ないよって歌だ。

 

 

あぁ、大好きなジャクスン5のや、いままでそれほどでもなかったが聴いてみたら好きになったゾンビーズのや、ザ・バンドのや、また上のほうでも触れたがシリアスに社会問題を突くジャクスン・ブラウンの「ザ・レベル・ジーザス」や、そんなこんな、書いている余裕がないよ。

 

 

とにかく楽しい音楽クリスマスになりました。しぎょういつみという名のレイディ・サンタさん、本当にありがとう。

 

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