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2017/12/25

2017年私的音楽ベスト・テン

毎年恒例、僕のばあい1995年からいままで一年も欠かさず書きつづけている音楽作品の年間ベスト・テン。今年もここ数年の慣例どおり、本日12月25日に発表する。これも毎年書いているが、僕の年間ベスト・テンはその年のリリース作品とは限らない。対象は今年「入手できて聴いた」というものだ。あまり何年も前の作品だと選びにくいけれど。

 

 

ではまず最初に、以下で書くベスト・テンの新作篇、リイシュー・発掘篇をあわせ、Spotify で聴けるものはぜんぶいっしょにして並べた自作プレイリストを作ったので、それからご紹介しておこう。今年の僕の趣味、音楽ライフがどんなものだったか、ご存知ないかたがたにも手っ取り早く理解していただけるんじゃないだろうか。いちばん聴いた岩佐美咲がここにないのがちょっとあれだけど。

 

 

 

どうですか?

 

 

さあ、新作篇とリイシュー・発掘篇に分けて、それぞれ10個ずつ書いておこう。


 

 

 

【新作篇】

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(1)岩佐美咲 / 3rd.コンサート〜笑顔・心・感謝で繋ぐ…至福の2日間〜(DVD)

 

 

岩佐美咲と、二位で書く原田知世との出会いが、今年の僕の音楽ライフ最大の事件。人生でも最大級のものというに近い。岩佐も本当に素晴らしい歌手。もうすでに完成に近づいているけれど、もっともっと磨きをかけていって成長すればいったいどれほどの歌手になるのか想像もできない。おそろしい存在だ。そんな、現下でも実力ナンバー・ワンと言える岩佐の最新作品を選んでおいた。この DVD ならオリジナル楽曲も絶品カヴァーもすべてあるので。

 

 

 

(2)原田知世 / 音楽と私

 

 

 


上で書いたように原田知世との出会いも、2017年に、いや僕の人生55年間で、とても大きな意味を持つものだった。もっとも知世のばあいは、僕も1980年代前半の角川期から耳に、目に、していたはずだ。けれど、伊藤ゴローという大きな力を得て、ここまで成熟したヴォーカリストになっていたのを知らなかったのは、僕の完全なる不覚。いやあ、参りました。完璧脱帽の美しさ。この世にこんなにも美しい世界があるのか…。

 

 

 

(3)Paulo Flores / O País Que Nasceu Meu Pai

 

 

 

アンゴラのセンバも今年初めて意識して聴いて、ぞっこん惚れてしまった。僕にとってはセンバ = パウロ・フローレスみたいな感覚すらある(のはちょっとおかしいのかもしれないが)。このアルバム以後二枚をリリースしていて、両方ともすでに聴いているが、衝撃だった出会いの一枚をチョイスしておいた。音楽作品としての完成度を考えたら、最新作がいちばんいいとは思う。

 

 

 

(4)Vijay Iyer/ Far From Over

 

 

 

ジャズ系の作品ではこれが今年ナンバー・ワンかな。ジャズに耳が寄っている人間ならこれを選ぶと思う。インド系のヴィジェイ・アイヤーがインド古典音楽と西アフリカ音楽の両方のリズムを、まるでミルフィーユみたいに重ねた多層ポリ・グルーヴは、本当にすごい。ヴィジェイの作編曲のペンの冴えも、各人のソロも、パッショネイトで素晴らしい。それにしても ECM 盤って音量小さいな(笑)。

 

 

 

(5)Yola Semedo  / Filho Meu

 

 

 


これもアンゴラ音楽のアルバムで、こっちは女性歌手。こんなジャケット写真だけど、ピアノは弾いていないヴォーカリストだ。キゾンバかセンバか、そのへんはよく分らないんだけど、キューバン〜ラテンな(特にサルサふうの)音楽要素もあって、ノリのいいカッコよさは格別の味わいだ。さらにシットリ系バラードでもうまい。

 

 

 

(6)Hiba Tawaji 30

 

 

 


レバノン人女性歌手が30歳記念で30曲ぴったりを歌った充実の二作目。一作目『ヤ・ハビビ』よりもグンと一段よくなったし、サイード・ダルウィーシュみたいなアラブ古典にも目配せしながら、同時に西洋クラシカルだったりジャジーだったりボサ・ノーヴァふうだったりするウサマ・ラハバーニのアレンジとプロデュースに一歩も引けを取らないヒバのヴォーカル。本当に素晴らしい。

 

 

 

(7)Meddy Gerville / Tropical Rain

 

 

 


ジャズ・アルバムを二枚入れるのはどうかとも思ったんだけど、これもなんとか入れておきたい。ほかは泣く泣く外したんだから。トニー・シャスールもトニー・アレンも入れられなかったけれど、レユニオンのメディ・ジェルヴィルだけは、もうちょっとみなさん騒いでくれてもいいんじゃないかと思うので。

 

 

 

(8)Sheila Majid / Boneka

 

 

 


日本でも知名度の高いマレイシアの女性ベテラン・ポップ・シンガー。今年の新作は軽くソフトで、快活なリズムに乗りながらサラリと舞っているのが素晴らしい。いっぽうバラードで聴けるシーラの味わい深さも聴きごたえがあって、繰返し楽しめる充実作。

 

 

 

(9)Nancy Vieira / No Ama

 

 

これは2011年の作品だから、六年も前のアルバムはちょっと入れたらいけないのかもな…、って思ったんだけど、僕がこのカーボ・ヴェルデの女性歌手があまりにも素晴らしいことに気がついたのがようやく今年のことで、だからこのアルバムもほんの二ヶ月ほど前に買って聴いたばかりだから、なんとか許してほしい。聴いてみたら、最高にチャーミングだったもんね。

 

 

 

(10)坂本冬美 / ENKA II ~哀歌~

 

 

 


坂本冬美のことは前から好きだったけれど、今年10月末リリースのこれを聴いたら、冬美さん、とうとうこんな境地にまで達してしまったんですね、とため息しか出ない素晴らしさ。フィーリンみたいにソフトで軽いアレンジでエイモス・ギャレットが弾いていたりするっていうサウンドもいいけれど、なんたって冬美のヴォーカルのさりげなさがすごい。こんなさりげなさ、落ち着きっぷりこそ円熟の歌と呼びたい。

 

 

 

 

【リイシュー、発掘篇】

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(1)原田知世 / 私の音楽 2007-2016

 

 

伊藤ゴローのプロデュースした原田知世のうち、昨年までのもののなかから選ばれたベスト盤。だからやっぱりリイシューみたいなもんだ。一曲目の2007年版「時をかける少女」(『music & me』から)で、一瞬にして、僕はこの女性に骨抜きにされてしまったのだった(「骨抜き」ってすごい言葉だよなあ)。もちろん知世がいいんだけど、アルバム全体では伊藤ゴローの仕事っぷりにも注目してほしい。

 

 

 

(2)とうようズ・チョイス・スペシャル

 

 

僕が特になにも言う必要のないものだ。中身の音源じたいに物珍しいリイシューはない。だけど、こうやって CD 二枚組にまとまっていると、田中勝則さんの『中村とうよう 音楽評論家の時代』を読む際の格好のお供になる。

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(3)Palmwine Music Of Ghana, From Palmwine Music To Guitar Band Highlife

 

 

これについてちゃんと僕が書けるのは来年のことになりそうだ。深沢美樹さんの個人コレクションで実現したパームワイン・ミュージックのヴィンテージものアンソロジー。世界的な大事件に違いない。

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(4)Benny More Con Perez Prado / El Gran Encuentro

 

 

このアルバムに収録されているのはベニー・モレー名義のレコード音源なんだし、実際ベニーが主役なんだし、だからそれをちゃんと書かないといけないのに、幼少期のマンボ、というかペレス・プラード楽団刷り込み体験のせいでそれが抜きがたい僕には、こんな文章しか書けなかった。

 

 

 

(5)Zaire 74: The African Artists

 

 

 


ボクシング好きなら全員知っているあのキンシャサの奇跡。もともとあれの前夜祭という位置づけで開催された音楽フェスティヴァルは、いわばブラック・ウッドストック。アフリカ音楽新世代もいいんだけど、こういったものを聴くと感動のレベルが違うような気がするなあ。

 

 

 

(6)Bob Marley & The Wailers  / Exodus: Fortieth Anniversary Edition

 

 

 


『エキシダス』オリジナル・アルバムから40年ということで、息子のジギーが手がけたニュー・ヴァージョンの『エキシダス』。これはもちろん意義深い面白いものだった。レゲエ音楽作品としては、その『エキシダス 40』に軍配が上がると心から納得する。けれどもやっぱり僕は一曲目が「ナチュラル・ミスティック」で、それがクレッシェンドで入ってくるっていう、あのアルバム・オープニングが忘れられないんだよね。

 

 

 

(7)Chansons d'Exiles d'Afrique du Nord

 

 

北アフリカのマグレブ地域から、なんらかの理由で脱出したり、あるいは追放、放逐されてフランスに渡ったアラブ音楽の歌手たちは多い。故郷を出て(出ざるをえず)異国で暮らす人間の歌う望郷、つらさ、哀しみの表現に、そんな経験などないのに僕が激しく共感してしまうのはどうしてなんだろう?ひょっとしてスアド・マシに漂う強いメランコリーもこれ?

 

 

 

(8)The Rough Guide to Hillbilly Blues

 

 

1920年代にアメリカで商業録音がはじまったころ、レイス(race)・レコードとして販売されていた黒人ブルーズと、それとははっきり分けて売られていた白人のヒルビリー・ミュージックは、実は本質的に同じものを共有していた。21世紀にあっても、それらが「違うもの」だと考えている人たちは、あのころの商慣習にいまだに惑わされているだけ。

 

 

 

(9)渡辺貞夫 / ムバリ・アフリカ

 

 

傑作ライヴ。いまでこそ分りやすいソフト・フュージョンの人か、そうじゃなかったらチャーリー・パーカー直系のビ・バップ・アルト・サックス奏者だと思われている貞夫さんだけど、1974年に、しかもオール日本人メンツで、こんなすごいアフリカン・ジャズをやっていた。こういうのがあったからこそ、貞夫フュージョンはあんな感じになっているんだよね。

 

 

 

(10)Canciones de Amor Desde Cuba (キューバ恋歌集)

 

 

ma chérie amour

 

 

 

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