« 「コンピューター・ブルー」と、プリンスの父の歌 〜 『パープル・レイン』拡大盤二枚目 | トップページ | 1969年前後にファンキーだったマイルズ »

2017/12/07

ダン・ペンは最高の白人ソウル・シンガーだ(&データ一覧)

ダン・ペンといえば、1973年以後は自分で歌う作品も発表するようになって、それが人気の渋い歌手みたいな印象かもしれないが、この人の1960年代はソウル界で最もすぐれた白人ソングライターだったのだ。これはもちろんみなさんご存知の事実。たくさんの人が歌ったあの「ザ・ダーク・エンド・オヴ・ザ・ストリート」や、アリーサ・フランクリンの「ドゥー・ライト・ウーマン、ドゥー・ライト・マン」などなど、ダン・ペンが(ほかの人と組んで)書いたソウル名曲がたくさんあるよね。

それらを聴くと、曲を書いたダン・ペンが白人だなんて信じられないくらいなのだが、この事実をもっとシンジランナ〜イものにする一枚の CD を2012年に英 ace がリリースしたのだ。ダン・ペン名義の『ザ・フェイム・レコーディングズ』だ。全24曲、すべてがダン・ペンの自作自演なのだ。アルバム題どおり、アラバマはマスル・ショールズにあるフェイムのスタジオでの録音で、1964〜66年(と CD パッケージには記載だが?) のもの。そう、この60年代半ばにしてすでにダン・ペンは歌っていた。それも黒人顔負けのソウルフルなヴォーカルでね。

それらはソングライターとしてのダン・ペンが、だれか黒人歌手に歌ってもらうためのガイドとして録音したデモみたいなものではない。ちょっとだけデモや、デモに毛が生えたようなものも混じっているが、24曲のほぼすべてが、ダン・ペンのシングル盤として発売するために録音した完成品なんだよね。しかしこれら24曲で、当時レコード・リリースされたのは21曲目の「テイク・ミー(ジャスト・アズ・アイ・アム)」だけ。残りの23曲ぜんぶが未発表のままだった。ええ〜っ、なんてこった!

そういえばずいぶん前の話だが、『スウィート・ソウル・ミュージック』のなかでピーター・ギュラルニックが、「ダン・ペンで聴くべきものはデモである」と言っていた。えぇ〜、でもデモって、そんなの知らないよなあ〜、だいたい聴けないんだろうし、どんなのだろう?っていうかマジでリリースされていなかったわけだから、聴くべきなんて言われたって僕ら一般のファンには無理な話だぜと、僕だけじゃなくみんなが思っていたはず。

ところが2012年になってエイス・レーベルがやってくれたんだ。しかもそれらは書いたように大半がデモではない完成品で、シングル盤となるべくレコード・カットを待つばかり…、という状態だったのかどうなのか分らないが、しかしどうしてこれほどのものがレコード発売されなかったのか?これはフェイム史における最大の謎の一つだ。と言えるほど『ザ・フェイム・レコーディングズ』で聴けるダン・ペンのヴォーカルは素晴らしい。渋くもない。フレッシュで情熱に満ちていた若きダン・ペンのみずみずしいソウル・ヴォーカルが満載なのだ。曲がいいのは、いまさら僕が言う必要なんてぜんぜんない。

なかには22曲目「アイム・リヴィング・グッド」でサム・クックへのオマージュ的な模倣をやっていたりするものがある。これは本当にマジでそのまんまのサム節ミミックでウォウウォウとやりまくっているので、笑えてくるほどなんだけど。まるで歌真似芸人が本家の特徴を誇張して大げさにやってそれでウケを狙うような感じで、「アイム・リヴィング・グッド」でのダン・ペンはサム・クックの真似をやる。YouTube にはないみたいだが、上でリンクを貼った Spotify にあるアルバムでお聴きいただきたい。

『ザ・フェイム・レコーディングズ』24曲のほぼすべてが、ダン・ペンが完成させていたにもかかわらずそれは発売されず、その後、フェイム・スタジオで黒人歌手が歌ったものが<オリジナル>として、当時発売されていた。『ザ・フェイム・レコーディングズ』でのダン・ペンのヴォーカルを聴くと、それじたいが素晴らしいばかりか、黒人歌手たちも間違いなくそれをガイドのようなものとして聴いて参考にしただろうと思える出来なんだよね。

さて、ダン・ペンの『ザ・フェイム・レコーディングズ』。僕が持っているのはオリジナルの英エイス盤だけど、パッケージやブックレットのどこにも、以下の情報が一覧になっていないので、僕は自分でつくっておいた。愛好家のみなさんの一助となれば幸いに思う。

Dan Penn - The Fame Recordings

曲名(作者)
ダン・ペンの録音年月日、版権登録年月日、当時発売の”オリジナル”歌手

1. Keep On Talking  (Dan Penn & Spooner Oldam)
1965/8、1965/10/11、James Barnett

2. Feed The Flame (Dan Penn & Spooner Oldam)
late 1965、1966/4/19、Billy Young(も未発売)で、Ted Taylor

3. Far From The Maddening CrowdWD (Dan Penn & Marline Greene)
1965/7、1965/7/5、The Drifters

4. Uptight Good Woman (Dan Penn & Spooner Oldam)
1965、1966./2/5、Spencer Wiggins

5. Come Into My Heart (Dan Penn & Spooner Oldam)
1965/7、1967/11/22、none

6. Don't Lose Your Good Thing (Dan Penn & Spooner Oldam)
summer 1966、unknown、Jimmy Hughes

7. Come On Over (Dan Penn & Spooner Oldam)
late 1965、1967/4/5、Ben Atkins & The Nomads

8. Rainbow Road(Dan Penn & Donnie Fritts)
1964/2、1964/2/7、Bill Brandon

9. Unfair(Dan Penn)
1964/2、1964/2/11、Barbara Lynn

10. The Thin Line (Dan Penn & Spooner Oldam)
1965/7、1989/5/31、none

11. I Need A Lot Of Loving (Dan Penn & Spooner Oldam)
1965/1、1965/10/11、Ovations

12. Take A Good Look (Dan Penn & Spooner Oldam)
1965/1、1965/10/11、James Barnett

13. Strangest Feeling (Dan Penn & Spooner Oldam)
spring 1963、1969/1/16、Bill Brandon

14. Power Of Love (Dan Penn & Spooner Oldam)
1965/4、1967/3/28、Double Image

15. It Tears Me Up (Dan Penn & Spooner Oldam)
1965/1、1966/5/21、Percy Sledge

16. I Do (Dan Penn & Spooner Oldam)
1965/7、unknown、Vel Tones

17. Everytime (Dan Penn & Spooner Oldam)
summer 1966、unknown、Linda Carr

18. Do Something (Even If It's Wrong) (Dan Penn & Spooner Oldam)
1965/7、196/.5/29、Swingin' Yo Yo's

19. You Left The Water RunningNG (Dan Penn, Rick Hall, & Oscar Frank)
late 1964、1965/4/8、Otis Redding

20. Slippin' Around With You (Dan Penn & Spooner Oldam)
1965/4、1965/2/5、Art Freeman

21. Take Me (Just As I Am) (Dan Penn & Spooner Oldam)
1965/5、1965/5/4、(Dan Penn as) “Lonnie Ray”

22. I'm Living Good (Dan Penn & Spooner Oldam)
1965/4、1965/7/20、Ovations

23. Long Ago (Dan Penn & Buddy Killen)
summer 1966、unknown、Bobby Patterson

24. The Puppet AKA I'm Your Puppet (Dan Penn & Spooner Oldam)
1965/8、1965/11/1、Dan Penn (MGM)

« 「コンピューター・ブルー」と、プリンスの父の歌 〜 『パープル・レイン』拡大盤二枚目 | トップページ | 1969年前後にファンキーだったマイルズ »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ダン・ペンは最高の白人ソウル・シンガーだ(&データ一覧):

« 「コンピューター・ブルー」と、プリンスの父の歌 〜 『パープル・レイン』拡大盤二枚目 | トップページ | 1969年前後にファンキーだったマイルズ »

フォト
2019年11月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
無料ブログはココログ