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2017/12/06

「コンピューター・ブルー」と、プリンスの父の歌 〜 『パープル・レイン』拡大盤二枚目

YouTube にプリンスがない!YouTube にプリンスを!ちょこっと試聴できるようにしてくれ!と、 そればっかり言い続けてまいりましたが、プリンスの公式音源はすでに Spotify で聴けるようになっておりますので、プリンスの素晴らしい音楽をみなさんとシェアできないという悩みは解消しております。また YouTiube のほうにもプリンス公式チャンネルができておりまして、そちらにもどんどん音源、というかミュージック・ヴィデオがアップロードされております。これで僕のかねてよりの苦悶は解消されております。プリンス(の遺族のかたがた)さん、ワーナーさんはじめレコード会社関係者のみなさん、そして Spotify や YouTube 運営者のかたがた、本当にありがとうございます。

そんなわけで、上でリンクを貼ったように『パープルレイン』拡大盤四枚組のうち、CD は三枚であるその全35曲、Spotify で問題なくぜんぶ聴けるので、CD で買っていないみなさんもぜひ聴いてほしい。ただ、この Spotify のアルバムでは三枚分がズルズルぜんぶひっついている。CD だと一枚ずつテーマがあって分割されているので、そこだけがちょっとあれだから、書いておこうっと。

一枚目は『パープル・レイン』1984年のオリジナル・アルバムなので(いちおうプリンス本人がやった2015年リマスター・ヴァージョン)、どこまでがそれかは言う必要がないはず。問題は、CD では「From The Vault & Previously Unreleased」と銘打たれた二枚目と「Single Edits & B-Sides」と銘打たれた三枚目の境目だなあ。Spotify で見る20曲目の「ファーザーズ・ソング」までが CD では二枚目となっている。ってこれも、その次21曲目が「ウェン・ダヴズ・クライ」の7インチ・シングル・エディットと明記があるので、不要な情報だったな。

そんでもってオリジナル・アルバム分については、もはや僕が言葉をつけくわえる必要などまったくないし、三枚目のシングル集も、アルバムにある曲のシングル・エディットはイマイチだし、B 面曲とかその他少ししか聴きどころがないように思うから、それも省略して、今日は未発表蔵出し音源集の二枚目「フロム・ザ・ヴォールト&プリーヴィアスリー・アンリリースト」についてだけ、感じることを少し書いておこう。

二枚目を通して聴いた僕の最大の印象は二つ。記事題にもしてあるが、一つはこのころからすでにプリンスはファンかーだったこと。もう一つはこの二枚目の隠しテーマは「コンピューター・ブルー」なのか?ってことだ。いや、隠してもないのか、わりとはっきり出ているよなあ。二枚目のぜんぶで11曲のうち2曲が「コンピューター・ブルー」だもんね。といっても一個は「ファーザーズ・ソング」という曲名だけど。

この「父の歌」ってのがどういう意味なのか、最初、僕には分からず。たしかにプリンスの父ジョン・L ・ネルスンはミュージシャンだったけれど(ジャズ・マンだっけ?たしか)、それとどう関係があるんだろう?オリジナル・アルバムの「コンピューター・ブルー」で聴ける、後半部のギター・ソロをそのままピアノで弾いているけれど、これってどういうこと〜?って思ってたんだよね。

ところで僕はそのオリジナル・アルバム A 面四曲目の「コンピューター・ブルー」後半部のインストルメンタル部分がむかしからかなり好きだ。全体でも約四分しかない曲なんだけど、出だしいきなりのウェンディとリサのエロ・トークはどうってことなくて、本編がはじまってプリンスが歌いはじめてからもイマイチなんだけど、2:16 でそれが終わってパッとチェンジしてギター・ソロになってからのパートが、本当に大好き!ギターで弾かれるあの旋律がね。もっともそのまま切れ目なく、次のこっちはマジで正真正銘のエロ・ソングである「ダーリン・ニッキ」がはじまってしまうけれど。あの曲がきっかけで、アメリカでレコードや CD パッケージに貼る “Parental Advisory” シールができちゃったんだそうだ。

「コンピューター・ブルー」は、同じ曲題で、内容が大きく拡充された「ホールウェイ・スピーチ・ヴァージョン」が、『パープル・レイン』拡大盤二枚目にも収録されている。オリジナル・アルバムにあるのと同じ曲はこれだけ、曲題もそのままで、また書いたように後半部でパッとチェンジして、あのギター・ソロが出てくるパターンも同じ、ギターで弾かれる旋律も同じで、まあそれ以外では違っている部分も大きいものの、一枚目と二枚目で同じ曲はこれ一個だけなんだよなあ。

しかもですよ、その後半のギター・ソロ部と同じものが二枚目ラストの「ファーザーズ・ソング」でもあって、というか約五分のその「ファーザーズ・ソング」は、その旋律だけで成り立っていて、アクースティック・ピアノで弾くその同じ旋律は、「コンピューター・ブルー」後半部のなかで聴くとそうでもないが、「ファーザーズ・ソング」ではなんだか相当つらく哀しそうだ。さめざめと泣いているように僕には聴こえる。リズム伴奏が一切ない、ピアノとシンセサイザーだけの演奏だから、そう感じるんだろうか?

それで、これはいったいなんだろう?と思って、カラー・デザインとサイズが小さすぎるフォントのせいで(ふだん常用している老眼鏡ではダメで、ルーペを使わないと読めなかった)メチャメチャ読みにくいブックレットのそこだけ読むと、この「ファーザーズ・ソング」は作者クレジットが父ジョン・L ・ネルスンとなっていた。あわててずっと前に買った一枚ものの『パープル・レイン』オリジナル・アルバムのリイシュー CD を見てみたら、しっかりジョン・L ・ネルスンの名前が書いてあるじゃないか。いまのいままででぜんぜん気が付いていなかった(^_^;)。

映画ではどうだったのか僕はもう完全に忘れているのだが、父ジョン・L ・ネルスンの書いたこのフラグメントを息子プリンスは、「コンピューター・ブルー」後半部のギター・ソロとしてたぶんそのまま転用したってことだろうなあ。今日上で書いたことだけど、僕はあのギター・ソロ部の旋律が本当に美しいなあと思って、好きで好きで、本当に。そこだけが。それは拡大盤二枚目にあるホールウェイ・スピーチ・ヴァージョンでもまったく変えずに出てくるから、息子のプリンス本人だってやっぱり好きだったんだろうね、「父の歌」が。

父ジョン・L ・ネルスンは2001年に亡くなっているので、シンセサイザー伴奏も入るピアノ・ソロで83年11月に録音した(と記載がある)息子プリンスは、これをまるでオードみたいなものとして、みたいなものっていうか本当に追悼の頌歌として捧げたんだろうなあ。しかしその息子さえも、もはやこの世にいなくなってから、その「ファーザーズ・ソング」が公式リリースされるなんて…。

ありゃりゃ〜、いかんいかん、ファンカー・サイドについてもごくごく手短に触れておこう。二枚目の一曲目「ザ・ダンス・エレクトリック」、七曲目の「ワンダフル・アス」(ひどい曲名だよね)は、正真正銘のファンク・チューンだ。前者は、ずっと以前に触れたように、1986年のアルバム『パレード』の B 面一曲目にある(スライ&ザ・ファミリー・ストーンの「スタンド!」みたいな)「マウンテンズ」のグルーヴにそっくりだ。しかも「マウンテンズ」にはないトーキング・ドラムが入っていて、それがまるでナイジェリアのキング・サニー・アデの音楽で聴けるみたいに、ヒュンヒュンって飛ぶんだよね。面白いなあ。しかもこの曲では、ぜんぶの楽器と声がプリンスひとりの密室作業で重ねられている。

七曲目の「ワンダフル・アス」はミディアム・グルーヴのファンク・チューンで、こんな感じのものが数年後からプリンスのなかでもどんどん増えてきて、アルバムにも収録されるようになる。エレキ・ギターのカッティングがチョ〜気持イイ。この曲ではウェンディとリサも参加しているみたい。そういえばそのカッコいいギター・カッティングはウェンディが弾いてんの?「KISS」のパターンに似ているじゃん。

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