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2018/02/15

僕のプリンス歴

Prince

以前ちょろっと予告したが、今日は個人的プリンス履歴を書いておきたい。なんだかそんな気分なんだ。ここのところ、プリンスをどんどん聴きなおしどんどん書いているでしょ。そうするとつぎつぎ思い出すことがあって、懐かしく感じたり悔しかったりおもしろかったりで、一度整理してまとめておこうと思ったんだよね。黄昏どきが近づいているからといって、懐古モードに入っているんじゃない。

僕が生まれてはじめて聴いたプリンスは、1984年のメガ・ヒット作『パープル・レイン』のアナログ・レコード。リアルタイムで発売されてまもなく買って聴いた…、というと不正確で、買ってきたのは弟だ。前からなんども言及しているが、僕は長男で、弟が二人いて、そのうち下の弟が大のロック好き。アマチュア・ギタリストでもあって、彼の高校〜大学時代にバンドを組んでやっていた。

この下の弟とはいろんな思い出があって、自宅の部屋で二人でギター弾きながら僕が歌って、日本語のではなく英語ロックの曲をやってよく遊んだ。いちばんたくさんやったのがレッド・ツェッペリンだけど、たんに僕がツェッペリン好きで、弟と遊ぶようになる前に僕も高校のスクール・バンドでコピーして歌っていたからというのもある。がしかしそれとは関係なく、弟は弟でツェッペリン好きだったのだ。

弟がギター・ロックに夢中になったころには、僕はすでにジャズ狂へとシフトしていたのだが、もちろん好きなロックは聴いていた。でもジャズ以外のレコードをあまり買わなくなっていたので、この下の弟がどんどん買ってくるようになったロック(ギターものばかり)のレコードを僕はよく借りて聴いていた。借りなくても同じ部屋で並んで座りいっしょに聴いたりなどもした。

この五歳下の弟が『パープル・レイン』のレコードを買ってくるまで、ひょっとしたら僕はプリンスを知らなかったかもな。そのちょっと前あたりから MTV なんかに露出があったはずだと思うんだけど、う〜ん、後年になって観なおしたけれど、リアルタイムでの自覚がないんだよね。マイケル・ジャクスンやマドンナの MV ははっきり憶えているのにヘンだなあ。でも憶えていないというのが事実だ。

弟の買ってきたレコード『パープル・レイン』を、なんの気なしにちょっとひとりで聴いてみた僕。そのときは B 面ラストのアルバム・タイトル曲が本当にいいなあと感じたものの、それ以外の曲はさほど印象に残らなかった。いまでは A 面の「テイク・ミー・ウィズ・U」「コンピューター・ブルー」こそが大好きな僕だけどね。たしかその日本盤レコードは、いまは亡き今野雄二さんが解説文を書いていらしたような、まことにおぼろげな頼りにならない記憶がある(間違っているかも)。

『パープル・レイン』。当時はタイトル曲のほかはあまりハマらず、だからそれ以前のアルバムをディグしようという気にもならなかったので、プリンスのことはそのまま放ったらかし。弟が次の『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』を買ってきたかどうかは憶えていない。なぜかって、その1985年には僕はすでに東京にいたから。

しっかし不思議なことに、その次の1986年『パレード』は弟の買ってきたアナログ・レコードで聴いたというのが間違いない記憶なんだよね。そんでもって、プリンスという人は映画もやっているんだ、『パレード』も、そしてそもそも『パープル・レイン』だって、本人主演の映画のサウンドトラック盤だというのを、『パレード』のときに僕ははじめて知ったのだ。

だからそれで、映画『パープル・レイン』『アンダー・ザ・チェリー・ムーン』をちょっと観たんだけど…、まあ省略するしかない。でもアナログ・レコードで聴く音楽作品『パレード』が僕にとっては素晴らしかった。素直に告白すると、スライ&ザ・ファミリー・ストーンを僕が聴いたのは、プリンスの『パレード』を聴いたあとだったんだ。

1985年だと、僕は東京都立大学の大学院修士課程二年目だけど、あのころはお金もなかったし、住んでいた寮の施設や居心地もイマイチだったので、夏や冬や春のまとまったお休み期間中には、松山の実家によく帰省していた。だからレコード『パレード』を弟のレコードで聴いたというのも、帰省期間中のことだったかもしれない。あるいは、時効だから書くが、弟のレコードを何枚か無断で東京へと運んでいた。借りパクというか、いや、借りもせずにそのまま黙って、つまり盗んで、東京行きの段ボールに入れていた。

どうでもいい話で音楽とは関係ないのだが、思い出したのでついでに書く。よく帰省していた僕がちっとも帰らなくなったのは、博士課程一年のときに出会った女性との結婚を親に猛反対され、それもただたんに東京の女性だからというなんの根拠もない理不尽な理由によって、どんな女性だか会ってもいなければ知りもしないのに、両親とも激昂して反対するので、じゃあ僕はもう帰らない、東京で自分の好きなことをして好きな女性といっしょになると決心したんだった。結果、僕は東京で職を得て、その女性と結婚した。

プリンスにはなんの関係もない話だった。帰省時に(か、あるいはパクっての東京で)弟のレコードで聴いた1986年の『パレード』が本当によかったので、その次の二枚組『サイン・オ・ザ・タイムズ』は自分で買った。しかしこれも僕はまだアナログ・レコードだ。この二枚組で完全にプリンスにやられてしまった。もう、惚れちゃったね。だから僕にとってのプリンスは『サイン・オ・ザ・タイムズ』みたいな音楽の人なんだ。

1988年の『ラヴセクシー』まではアナログ・レコードを買った僕。このナルシズム全開のジャケット・デザインのレコードは、まだ宇田川町にあった時期のタワー・レコード渋谷店で買ったという間違いない記憶がある。それを見つけた棚やレジの様子まで憶えているんだけど、実を言うと、この『ラヴセクシー』が当時の僕にはイマイチだった。

いまでは最高に好きな『ラヴセクシー』だけど、どうして当時おもしろくないと感じたんだろうなあ?いま聴きかえすと、自分で自分の気持ちを思い出すことすらできない。ジャケット・デザインのせいではないと思う。僕だって似たようなナルシストなんだから。あるいは同族嫌悪?いやあ、違うと思うなあ。レコードでも片面ずつひとつながりのワン・トラックになっていたからじゃないかと思う。

CD だとぜんぶがまるごとワン・トラックの『ラヴセクシー』。僕は自分のためにオーディオ・エディター Audacity を使って勝手にトラックを切ってあるのを持っているので不自由しないが、ぜんぶがワン・トラックだなんて、嫌われるだけじゃないの?プリンス?たぶん、音楽家としては、つまみ食い、飛ばし聴きされたくないってことだろうけれどさ。

このあたり、プリンスの考えかたって、僕から見たらちょっとおかしいなと感じる部分もある。たんに音楽ビジネスとして、おかしい。死んでしばらく経ってようやく最近公式に可能となったけれど、ついこないだまで、CD で聴ける音源がインターネットに存在しなかった。つまみ食いされたくないからワン・トラックだというんだって、それじゃあそもそもつまんですらもらえないと思う。CD が売れなかったら困るのでネットで聴けるようにしないって、それじゃあそもそも購買意欲すらわかない。逆効果だ。

そんなこともあるし、いや完璧にそのせいで聴きにくかっただけの『ラヴセクシー』でイヤなやつだとプリンスのことを感じるようになって、その後は商品を買わなくなった(ほら〜、逆効果じゃんね)。僕は1992年の『ラヴ・シンボル・アルバム』まではずっと買わずにシカトを決め込んでいた。

1993年のベスト盤を除くと、久々に買ったのが1994年の『カム』。ここからは CD で買うようになっている。これは渋谷東急プラザ内の新星堂で見て、モノクロのジャケット・デザインが気に入ったからレジに持っていっただけなんだけど、帰って聴いたら中身も僕好みのジャズ・ファンク(あのころ、アシッド・ジャズだとか、呼ばれていたよね)で、これは気に入った。昨日書いた。

けれどもあのころから僕がプリンスを買うのは飛ばし飛ばしになってしまっていたのは、どうしてだったんだろう?記憶では『カム』の次に1996年の CD 三枚組『イマンシペイション』を買い、たいへん気に入ったにもかかわらず次の『クリスタル・ボール』は買わず。次に買ったのが2001年の『ザ・レインボウ・チルドレン』と2002年のライヴ・アルバム『ワン・ナイト・アローン...ライヴ!』三枚組。

その後、2006年の『3121』を発売と同時に買った。以上ここまでが、弟のレコードで『パープル・レイン』を聴いて以後、プリンスのオリジナル・アルバムをリアルタイムで(買って)聴いた <ぜんぶ> なんだ。記憶ではね。でも2016年4月21日に亡くなったときに CD ラックを確認すると、どうしてだか2003年の『N.E.W.S.』、2004年の『ミュージコロジー』、2007年の『プラネット・アース』があった。これもなぜだかわからない。

でもホント、ここまで書いたもの以外は、ぜんぶプリンスが亡くなった2016年4月21日以後に買って聴いたんだ。ワァ〜、ごめんなさい、こんな僕を許してください。ここまで書いたものはアナログ時代の作品の CD リイシューも、出たらすぐに買ったんだけど、それら以外は買ってからまだ二年も経っていない。

実はトータル作品数はさほど多くもないプリンスだから、これでもなんとか間に合った。フィジカルだと中古価格が高騰しているものもあって、最たるものが『クリスタル・ボール』と『ワン・ナイト・アローン...ライヴ!』。後者は発売時に正規価格で買った僕だけど、前者はちょっとしんどかった。高額だからビビって相談して、最初、あるプリンス・マニアの女性からファイルだけをコピーしてもらってネット経由でいただいていましたが、中身が素晴らしかったので自分の財布で買いましたから〜。

それら廃盤商品も含め、プリンスみたいな音楽家の作品は、すべていつでも、正規価格で買えるようにしておいてほしんだけどね。あれだけフィジカルにこだわった音楽家なのに、アウト・オヴ・プリント状態のままっていうのは、やっぱりちょっとマズイんじゃないの〜?

もう一つ。1990年代半ば以後あたりからの作品はそのままでいいと思うんだけど、それ以前の過去の作品はリマスターして出しなおしてほしいんだ。昨2017年に『パープル・レイン』の拡大版が出たでしょ。あれにあるオリジナル・アルバム分もリマスタリングされて音が刷新されていて、前後の作品と続けて聴くと、前後があまりにもショボく聴こえてしかたがないんだよね。音量も小さい。

以上二点、プリンスのアルバムは廃盤にするな、古いものは音をリマスターしてくれっていうのをよろしくお願いします。

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