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2018/03/29

ベアズヴィルのボビー・チャールズ

2011年リリースの日本盤紙ジャケ CD で持っているボビー・チャールズのベアズヴィル盤『ボビー・チャールズ』(1972)。ザ・バンドのサウンドにあまりにも似ているよなあ思って聴いていたら、これ、ロビー・ロバートスンを除くザ・バンドの全員が参加しているのか。いまはじめて知った(^_^;)。だれがどこで演奏しているのか、まったく記載がないもんなあ。

『ボビー・チャールズ』では、実際、パーソネルの詳細が判明していないようだ。ギタリストを除くザ・バンドの面々が参加していると知りネットを漁ってみたものの、やはり正確な情報は見つからない。諸々突き合わせると、ヴォーカルはもちろんボビーで、いっしょにプロデュースもやっているリック・ダンコがベースも弾いているはず。プロデュースにはジョン・サイモンも参加しているので、このピアノもそうかなあ。

でもドクター・ジョンが参加しているらしいよ。リチャード・マニュエルも。どこまでがジョン・サイモンでどれがドクター・ジョンでどこがリチャードなのか、僕には聴解できない。ドラムスはやっぱりリヴォン・ヘルムか。オルガンとアコーディオンもガース・ハドスンだね。ガースは間違いなく彼のサウンドだと僕でもわかる。でもオルガンはドクター・ジョンも弾いているのかなあ?

ベン・キース、エイモス・ギャレット、ジェフ・マルダーらも参加しているとのことで、まあエイモスはスタイルが判別しやすいギタリストなので、これもわかる。ソロらしきソロはないものの、ボビーのヴォーカルにからむオブリガートでいかにもエイモス節だというのが聴ける。三曲目「アイ・マスト・イン・ア・グッド・プレイス・ナウ」とか十曲目「テネシー・ブルーズ」とか。

またアルト・サックスが八曲目「グロウ・トゥー・オールド」で聴こえるが、どうやらデイヴッド・サンボーンらしい。本当に彼だとしたら、まだぜんぜん無名時代だよなあ。でもそう言われて聴きなおすと、たしかにアルト・フレイジングのすすりあげかたがサンボーンっぽいスタイルだね。

ドクター・ジョンやデイヴィッド・サンボーンの参加がどう関係あるのか、僕は無知にしてわからないが、アルバム『ボビー・チャールズ』は、ご存知ないかたもここまで書いてきたことでおわかりのように、いわゆるウッドストック・サウンドど真ん中みたいな音楽で、実際、ボビーがアルバート・グロスマンと出会ったことで誕生した作品みたい。グロスマンはベアズヴィル・レコードのオーナーで、ウッドストック・ムーヴメントの元締めのような存在。

1971年末にアルバム『ボビー・チャールズ』を録音し、翌72年に発売したあと、アルバート・グロスマンとボビーは別れてしまい、またベアズヴィルの配給元だったワーナーもそれをやめてしまったので、結局ボビーにとっては『ボビー・チャールズ』一枚だけが(ほんのいっときの)奇跡の宝石のような、はかない輝きを放つ結果となっている。

とはいえ、ボビー自身はもちろんそのずっと前から音楽活動をやっていて、この人はそもそもルイジアナ州の出身で、自ら歌うだけでなく、ルイジアナや同州ニュー・オーリンズの黒人歌手に曲を提供したりもして、白人にして(それなのにチェスと契約したりもした)重要なニュー・オーリンズ R&B の俊英みたいな存在だった。

だからニュー・ヨーク州ウッドストックに来て、1960年代末〜70年代初頭のウッドストック・サウンド、すなわち(米南部を中心とする)カントリー、ブルーズ、リズム&ブルーズ、ゴスペルなど、アメリカン・ミュージックの根幹を見直して再評価し、ふたたび取り込んでかみくだき、白人ロッカーたちの滋養とする動きに、ボビー・チャールズがピッタリはまったのは納得だ。

アルバム『ボビー・チャールズ』では、三曲目「アイ・マスト・イン・ア・グッド・プレイス・ナウ」、六曲目「スモール・タウン・トーク」、十曲目「テネシー・ブルーズ」の三つが特に素晴らしいなあと僕は思うんだ。特に「テネシー・ブルーズ」はルイジアナ・サウンドそのもの。ガース・ハドスンだろう、アコーディオンの音が、まさにケイジャン・スワンピー。テネシーなどと言いながら、曲も湿地帯の香りプンプンで、大好き。

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コメント

クレジットはこちらです。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2011-09-16

あ、そっか、Spotifyにあるやつは、なんでこんなジャケットなんだろう?って思ってて、曲数も多いし、どういうことかなあ?って思ってましたが、デラックス・エディションのことだったんですね。買わなくちゃ!ありがとうございます。

アマゾンで見たら、いちばん安価なのでも1万5千円以上しますね…。

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