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2018/04/03

僕のエイモスとロニー in『ベター・デイズ』

これまたベアズヴィル盤の『ポール・バタフィールズ・ベター・デイズ』。だからもちろんウッドストックゆかりのバンド、ゆかりのアルバム。ウッドストック・サウンドというと、真っ先に名前があがるのは間違いなくザ・バンドだけど、もちろんザ・バンドにベアズヴィル盤はない。

だからこないだ書いた『ボビー・チャールズ』とか、この『ベター・デイズ』あたりが、 ベアズヴィル・レーベルの代表作品ってことになるのかな。日本で<ベアズヴィル K2HD オリジナル・ジャケット・コレクション>と題し紙ジャケットでリイシューされたものを僕は買って、いままで愛聴している。そもそもベアズヴィル盤って、アナログ・レコードは買いにくかったんじゃなかったっけ?あまり知りませんが。

ボビー・チャールズは『ベター・デイズ』にも関係している。ボビーの曲が一つとりあげられているし、ヴォーカルでも参加しているものがあるんだよね。『ボビー・チャールズ』はザ・バンドの面々が伴奏したようなもんだし、エイモス・ギャレットもジェフ・マルダーも参加しているし、要はベアズヴィル/ウッドストック・コネクションってことだよねえ。

エイモス・ギャレットといえば、『ベター・デイズ』二曲目の「プリーズ・センド・ミー・サムワン・トゥ・ラヴ」でのギター・ソロがあまりにも絶品すぎていけません。パーシー・メイフィールドの書いた曲で、パーシーはルイジアナ出身の黒人ソングタイター。レイ・チャールズのお抱えで曲を提供し、自分でも歌った。

いやあ、ホントこの「プリーズ・センド・ミー・サムワン・トゥ・ラヴ」でのエイモスのギター・ソロ。星屑ギターと命名したのは長門芳郎さんだっけ?も〜う、たまりません。この曲の歌詞や曲調を、リード・ヴォーカルのジェフ・マルダー以上によく表現できている。こんなギター・ソロ、滅多に聴けるもんじゃありゃしません。

この「プリーズ・センド・ミー・サムワン・トゥ・ラヴ」のエイモスを知っていると、昨2017年暮れリリースの坂本冬美『ENKA II ~哀歌~』七曲目の「アカシアの雨がやむとき」で聴けるギターで、あぁ、エイモスじゃないか最高だとなってしまうわけだよ。エイモスを彷彿させるなんて、今剛さん、いい仕事だなあ。
ところで、書いたように「プリーズ・センド・ミー・サムワン・トゥ・ラヴ」はパーシー・メイフィールドが書いた曲だけど、ベター・デイズにはロニー・バロンがいるでしょ。ヴォーカルをとる曲もあるけれど、ピアノやオルガンなど鍵盤楽器で大貢献。ロニーが自分のソロ・アルバムでパーシー・メイフィールドの「リヴァーズ・インヴィテイション」をやっているのは、関係あるのか?ないのか?パーシーとロニーは同郷だからというだけか?

正直に告白するが、ベター・デイズのバンド・メンバーで僕がいちばん思い入れがあるのがロニー・バロンなんだよね。こんなやつ、あんまりいないだろう。ふつうはポール・バタフィールドかエイモス・ギャレットか、そのへんだよねえ。ま、大学生のときに、まだロック・ミュージックもそんなに聴いていないからベター・デイズも知らなかったころ、レコード・ショップで偶然ロニーの『ブルー・デリカシーズ Vol. 1』(1981年ヴィヴィド盤)に出会って好きになってしまったせいだ。
だから、プロフェッサー・ロングヘアやドクター・ジョンそっくりにピアノやオルガンを弾くひとなんだというのが(といっても僕のばあい、フェスのことはもっとあとで好きになった)僕のロニー・バロン観。だから『ベター・デイズ』では、いまでこそ要所要所でツボをおさえているとわかるものの、最初はどこでロニーらしさが聴けるんだろう?と、ちょっぴり不満もあったわけなのだ。

そんな不満は二曲目の「プリーズ・センド・ミー・サムワン・トゥ・ラヴ」でのエイモス・ギャレットで吹き飛んでしまったけれど。プリティ・バッドことエイモスの星屑ギター(by 長門芳郎さん?)が聴けるものとして、四曲目の「ダン・ア・ラット・オヴ・ロング・シングズ」もある。これがボビー・チャールズの曲だよね。

しっかしこんな感じの内容の曲が多いなあ、このアルバム。だからエイモスがハマっていい感じに聴こえるのか?「ダン・ア・ラット・オヴ・ロング・シングズ」では、エイモスに続くポール・バタフィールドのハーモニカ・ソロも星屑だし、それが終わるとスッと入ってくるストリングスも泣ける。弦アレンジはジェフ・マルダー。

ロニー・バロンのことをもうちょっと書いておく。ロニーが歌うのはアルバム三曲目の「ブローク・マイ・ベイビーズ・ハート」だけで、オルガンも弾いている(ピアノはジェフ・マルダー)けれど、この曲だと、上で書いたような濃厚なロニー・バロン風味、すなわちニュー・オーリンズ R&B っぽいところがあまりわからないように思う。もっとこう、粘っこく転がるようなプロフェッサー・ロングヘアみたいにやる人なんだよね。

ロニーが歌うのはこの曲だけで、ほかではバック・コーラスにまわっているだけなんで、やっぱり結局『ベター・デイズ』ではこの人のヴォーカルの味はわからないのだが、鍵盤のほう。六曲目の「ベアリード・アライヴ・イン・ザ・ブルーズ」で、いかにもロニー・バロンだというニュー・オーリンズ・スタイルのピアノが聴ける。この曲、ジャニス・ジョップリンの『パール』にバンド演奏ヴァージョンが収録されているあれだよね。多言無用だ。

もう一個はアルバム・ラストの「ハイウェイ 28」(ロッド・ヒックス)でも、ロニーのそんな、転がりながら粘りつくようなピアノ(プロフェッサー・ロングヘア特許品)が聴けるけれど、もっといいと思うのは、僕の持つ CD にボーナスで収録されれている末尾の三曲のうちの一つ「ルイーズ」だ。だれの曲だか知らないが、1972年8月、ベアズヴィル・スタジオで録音された未発表曲とのこと。まさにニュー・オーリンズ!ネットで探しても音源が出てこない。

アルバム『ベター・デイズ』におけるほかの曲は、僕が特に言う必要などないはずだ。五曲目「ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー」、七曲目の「ルール・ザ・ロード」はほぼ同趣向のサウンドにアレンジしてある。土ほこり舞うような、つまりいかにもウッドストック・サウンドだというようなアクースティックなものだよなあ。

続く八曲目の伝承ゴスペル「ノーバディズ・フォールト・バット・マイン」(あれっ、やっぱこんな曲ばっかりだなあ、このアルバム、なにがあるんだろう?)。ギター・エヴァンジェリスト、ブラインド・ウィリー・ジョンスンの初演からしてほぼブルーズ化していて、その後の各種ヴァージョンも泥臭いばあいが多い。『ベター・デイズ』でも強烈にブルージーで、さらにマス・クワイアをフィーチャーしたようになっていて、楽器はエレピとアクースティック・ギターとハーモニカだけ。クワイアはやや後ろ気味で、遠景にあるような聴こえかた。それもいい雰囲気。

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