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2018/04/15

むかし、レコードをたくさん持っている男子はモテた?

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今2018年2月2日に渋谷エル・スールを訪問し、原田尊志さんと二時間ほど楽しく(僕だけ?)お話させていただいたときに、当然いろんな音楽の話題になったわけだけど、なかでも二人で笑ったのが原田さんがおっしゃっていた「レコードをたくさん持っている男子は、むかしモテましたよね、いまはそんなのキモチワルイ〜ってことになってるみたいですけど〜」っていうくだり。

そう、そうだったんだよね。レコード、それもロックのレコードをたくさん持っていたり、ギターを弾いたり歌ったりする男子は、モテた。それなのにモテなかった僕は数少ない例外というか、まあ要はむかしから気持ち悪いだけの男なんだろうなあ。レコードの貸し借りを、男子だけでなく女子とのあいだでもさかんにやっていたにもかかわらず。

僕がどんどんレコードを買いまくるようになったのは高校三年のときからなので(遅すぎ?)、主にそれから、しかもだいたいジャズのレコードだけど、でもそれ以前から、レッド・ツェッペリン(ぜんぶ持っていた)などのブルーズ・ベースなハード・ロックや、当時の僕としては例外的なシティ・ポップスのビリー・ジョエルとか、あとこっちは45回転のドーナツ盤だけど歌謡曲や演歌などのレコードもすこし持っていて、貸したりテープにダビングしていた。

あと、前から言うように高校生のときのスクール・バンドでツッェペリンのコピーをやって(いるアマチュア・バンドって、多かったんですよ)、僕はヴォーカル担当だったけれど、そっちでもモテたという憶えがないなあ。僕が高校生当時、ツェッペリンはかなり人気があったんだけど、聴くのは男子ばかりだったのかなあ?そんなことないよ。たんに僕の歌が下手でカッコ悪かったってことだ。

以前も書いたけれど、友人間でレコードや CD の貸し借りなどのたぐいの経験がない音楽ファンって、ある一定年齢以上のなかにはいないんじゃないかと思うよねえ。情報も紙媒体か口コミか(ジャズ喫茶その他のような阿片窟様の場所含む)しかなかったわけだし、いまはネットに音楽情報もあふれかえっているけれど、あの当時、情報を持っていて、さらに音源もあるよという人物は、やっぱりかなり重宝されたんだよね。

ジャズきちがいになってからは主にジャズ喫茶へ行けば、情報もレコードもあって、そのどっちも同時に享受できた。あとは本とか雑誌だなあ。それもジャズ喫茶にあったし。それだけあれば、というかそれらだけしかなかったけれど、だからレコードその他がものすごくたくさん置いてあるジャズ喫茶は、まさにこれ以上の場所はない天国だったね。

レコード・ショップ(やある時期以後は CD ショップだが、今日は便宜上レコ屋、レコードと呼ぶ)には、もちろんレコードがものすごくたくさんあるわけだから、でもあんまりひっくり返しつつ長居しすぎるのもどうなのか、一枚も買わないというとき(なんてなかったけれど)は…、とか遠慮する気分も僕にはあった。ジャズ喫茶だと珈琲一杯で何時間座っていてもオーケーという暗黙の了解があったもん。

あっ、そうだそういえばちょっと触れたが、これもエル・スール原田さんとのお話を思い出したぞ。僕はむかしからレコ屋に入って一枚も買わずに出てきたことがないのだった。さらに一枚だけ買うってこともできない性分で、今日はこれがお目当てだという頭のなかのウィッシュ・リストに一枚しかないばあいでも、必ず絶対に、もう一枚、二枚、三枚と添えて買う。100%そう。これを原田さんに言うと「へぇ〜、そ〜なんですかぁ?」と言われたけれど、ずっとそうなんだよね、僕は。

2月2日のエル・スール実店舗訪問時も、なにも買わずに延々と話だけして帰ることは不躾だなと思うのと、そもそもレコ屋へ行くんだから、最大の目的は原田さんに久々に再会してジックリお話しさせていただきたいということだったけれど(買うだけなら郵送してもらっているわけだから、いつも)、それでもレコ屋なんだから買うのがあたりまえだろうという気分があった。

それで僕はやはり二枚買ったのだった。量のある取り置き分からたったの二枚にしたのは、旅行で行っているんだから帰りの荷物でかさばったらちょっとあれだなと思っただけ。仏 Buda の『在りし日のアルメニア』と、もう一枚はアンゴラの、だれかだったかを買った。荷物になったらいやだという気持ちもあったんだから一枚にすればよかったかもしれないが、それができない。その支払いのときに財布からお金を出しながら、僕は原田さんに、僕は必ず複数枚買うんです、と言ったのだ。

インプロヴィゼイションで話がどんどん違う方向へ流れているが、いつものことだ。でもちょっとテーマに戻そう、ジャズなら戦前もののほうが好きな僕だから。レコードをたくさん持っている男子はモテたんですよ、という原田さんのお話。これは、たぶん、原田さんがモテたという自慢話なのかなあ。僕はそんな実感がゼロに等しいので、よくわからんもん。あんなにたくさんレコード持っていたのに。

ジャズ・レコードばっかりだったのがモテなかった原因なのか。ロックだろうがなんだろうが、所有レコード枚数の多寡に関係なく僕はモテない人間なのか、どうなんだろう?上で書いたように、レコードをたくさん持っているというのは、これすなわち情報源だから、そんでもってフィジカル・オンリーの時代にはレコード情報と音源を豊富に持っている人間は、音楽リスナーのあいだではいわば神ですがゆえ、だからモテるか、モテないまでも注目を集めるというか、なんだか新興宗教の教祖みたいにはなるよね。

それだからジャズ喫茶のオヤジとか、マニアックなラインナップのレコ屋のオヤジとかが、やっぱり教祖化するんだよ(笑)。そういった商売抜きの素人リスナーでレコードをたくさん持っている人間も、やっぱり大なり小なり似た感じになる。僕は異性にはモテたことがないけれど、恋愛感情抜きでのおつきあいの音楽ファンの女性とか、同種の音楽愛好趣味の男性とかのあいだでは、ちょっとだけ、音楽面でだけ、人気があったかもしれないと、うぬぼれておこう。

エル・スール原田さんがあのとき僕におっしゃった「レコードをたくさん持っているとモテましたよね!」というのは、こんな意味だったかもしれないなあ。あるいは、うちの店でもっともっとたくさん CD を買ってください、そうすれば、戸嶋さん、モテるようになりますよ、だからもっとどんどんうちで買って!というプロモート文句だったかもしれませんが(笑)。

原田さんのおっしゃるには、でもそういう傾向はもはや過去の話で、いちばん上でも書いたけれど、いまやレコードでも CD でも(本でも?)物体をたくさん自分で持っていると、若いみなさんにはキモチワルイ〜って言われるようになってしまっていますよねとのことで、原田さんいわく。物体を売ることで生計を立てている原田さんとしてはたそがれているというか、現況と未来を冷静に見据えているってことかなぁ、って気分に、あのエル・スール実店舗のカウンター前のストゥールに座っていた僕はそう感じたのだった。

うん、そう、いまは自分のライブラリになくたって、ストリーミングでどんどん聴けるから、物体もいらないばあいもあるし、ダウンロード(は結局自分のライブラリに所有するということだから)の必要すらなく、Spotify でも Apple Music でも YouTube でもアクセスできるディヴァイスさえ一個持っていれば、それで事足りる。ブロードバンドのネット回線常時接続時代になって以後、ネットでのコミュニケーションなどもアクセス型になっていて、Twitter も Instagram もFacebook も写真だってテキストだってなんだって、あっち側のサーヴァーにあるわけで、僕らはアクセスして読み書きするだけ。

あっ、そういえば写真にかんしては僕も(主に Instagram だけど)アップしたら削除しているなあ。僕のばあい、写真アプリにあるファイルと全テキスト・ファイルはぜんぶ iCloud にあるので、最近はもとから自分のローカル・ディスク内には存在しない。できうればオーディオ・ファイルもそうできたら複数のディヴァイスでシェアできるのになぁと思うけれど、サイズがデカすぎて、どんなサーヴィスをもってしても不可能だ。

今日は、結局、なんの話をしたんだろう?

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コメント

お久しぶりです。昨年は大変失礼しましたことを深くお詫び申し上げます。
先程、アクセスできなかったので、禁止IPに設定されてしまったのかと思いました。

> エル・スール実店舗
一度も行ったことがありませんが、Spotify で配信されていないアルバム(CD)も取り揃えてあるなら、行ってみたいかも。
今は、アルバニア、タジキスタン、アフガニスタンとかマイナーな国の流行歌手のアルバムまでもが Spotify で配信されている御時世だから、CD は別に要らないです…CD の枚数が増えてくると、収納にも困りますし。

わたしはレコード世代じゃないですし、レコードが落としたら割れるものだと言うことを韓国ドラマで初めて知りました。押入れに入れておくと、カビが生えるって…これは、日本のバラエティのVTRで紹介されていました。45回転なんて知らないです。

> テープにダビング
高校時代に同級生から、宇多田ヒカル『First Love』をカセットテープにダビングしてもらったことがありました。
今思うと、イオンのワゴンセールで普通に売られてた、宇多田光『First Love』(マレーシア盤か香港盤)とか、高速道路のサービスエリアで普通に売られていた、勝利六人組(V6)のカセットテープ(海賊版かもしれないですが)を買っていたら、今頃はレア・グッズだったかもしれない…と思いました。ヤフオクに無かったですよ。

> 物体をたくさん自分で持っていると、若いみなさんにはキモチワルイ〜って言われるようになってしまっていますよね
女性アイドルのCDばかり大量に収集しているオジサン、グラビアアイドルの写真集やAVを大量に収集しているオジサン、美少女アニメキャラのグッズばかり大量に収集しているオタクは、確かに、キモチワルイ〜です。

が、販売する方は大変ですね。アイドルの曲もAVも配信になりましたし、写真集は漫画と同じく、今は電子書籍ですよね?美少女フィギュアだけはまだ物体ですが。

今は、物が多過ぎる時代だから、要らない物は断捨離の御時世、「巨大な村で物をシェアする時代」だと勝間和代氏がNHKの番組で仰ってました。
ミニマム生活に憧れます、余計な金が掛からなくて済みますし、部屋もスッキリするだろうし。

以前に知人からもらったCD(70枚ぐらいあります)をそろそろ処分したいのですが、プラケースに封入されているバックインレイの紙が全部抜き取られているので、ブックオフでは一枚も買い取ってくれなさそうだなと思いました。

> 『在りし日のアルメニア』
戦前の音楽ですか?

> 写真
自分が写っている写真なんか絶対にネット上にはアップしたくないです。
幼少期に「自分で自分の顔を見てみい!お前のせいで周りが不快になる!」と父親から毎日のように大声で怒鳴り散らされて、暴力を振るわれ続けました。「整形して顔を変えて別人になりたい」と何度も思いました。それ以来、自分が写真に写ること自体が嫌です。

まだまだ物体がないと、なにかこう、実感がないというひとは多いと思います。僕は実生活で実感のあるなにかこうリアリティみたいなものがなにもない人間だから、せめてこの世での最愛好対象である音楽では、フィジカル・リアリティがほしいです。

『在りし日のアルメニア』は、まだ聴いてないんですが、「1942-1952」と副題にあります。

どのIPアドレスがどなたなのかの特定のしかたが僕にはわかりません。わかりたい気持ちも、まったくありません。

返信していただいて、ありがとうございます。

若い女性では、昔から、グッズ・雑貨と言うくだらない物体を大量に収集している人がたくさんいますよね。

> Twitter も Instagram も Facebook も
3つとも、やりたいと思ったことが無いですが、最近は若い人たちの間では Instagram が流行っていて、Facebook を止めた人が多いそうです。親や教師と言う、現実の世界の身近な中高年とネット上でまで繋がりたくも無いのは納得です。(笑)
Facebook では、若手社員に上司が”友達申請”とかよく聞きましたが、それで Facebook を止めたのも納得ですね。

あと、大変失礼ですが、歌が下手なら下手なりに、「キミに決定!」をバンド演奏で歌ったら、面白かったかも・・・と思いました。いや、こんなバカな歌は絶対にやらないですよね、レコードの時代なら!
今だったら、笑いのネタになるけどね。

戸嶋さんのお好きな「岩佐美咲」、NHK-BSの歌謡番組に常連で出てますね。新曲「佐渡の鬼太鼓」も歌ってましたよ。
地上波のJ-POP番組が本当につまらないから、最近は歌謡番組の方をよく見るようになりました。演歌も平成生まれの若い歌手が多数登場してますね。歌の世界は昭和のままなのに。(笑)

わたしのことは、音楽ファンとも女性とも思われていないだろうけど、それでも構いません。

まあでも、ひとによってはまずInstagramをやってて、その後それをやめてTwitterやFacebookに移行するばあいもあるようなので、なんとも言えないのかもしれません。

岩佐美咲は、そうです、BSの番組には出ているんですが、僕は地上波しか見られないし、そもそも部屋にテレビがありません。

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