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2018/05/09

カナダからのアフロ・ブラジル

 

 

今日の文章は、だからどうした?と言われるとなにもないっていう、どこにでもありそうなふつうの音楽の話だから、楽な気分でちょっとだけ書いとこう。

 

 

ジョニ・ミッチェルのアルバム『ドンファンのじゃじゃ馬娘』(Don Juan's Reckless Daughter)。リリースが1977年12月で、録音も同じ年に行われたもの。アナログ・レコードだと二枚組だったらしいこの CD の6曲目「ザ・テンス・ワールド」、7曲目「ドリームランド」がなかなかすごいんじゃないだろうか。

 

 

どうすごいのかって、カナダ人であるジョニがアフロ・ブラジル方向へ大きく傾いたような音楽じゃないか。ジョニのなかにほかにこういうのって、僕は聴いたことがないけれど、あるのならご指摘ください。激しいリズムが、も〜う、こりゃイイネ。

 

 

『ドンファンのじゃじゃ馬娘』のなかでは、その前の5曲目「オーティス・アンド・マーリーナ」終盤から三つ続けてのメドレー状態になっている。だから「ザ・テンス・ワールド」でも、冒頭部ではアンビエントふうにフワッと漂うようなエレキ・ギターとヴォーカルが残っているがすぐに消えて、大勢のパーカッション乱打になるよね。

 

 

そのパーカッション群のメンツは、以下のようだ。

 

 

ドン・アライアス(コンガ、クラベス)

 

マノロ・バドレーナ(コンガ、コーヒー缶)

 

アレハンドロ・アクーニャ(コンガ、カウベル)

 

アイアート・モレイラ(スルド)

 

ジャコ・パストリアス(ボンゴ)

 

 

アレハンドロ・アクーニャは、北米合衆国での芸名ならアレックス・アクーニャで知られているペルー人。声も聴こえるがチャントのようなもので、ヴォーカル群のリーダーはマノロ(プエルト・リコ)。彼にくわえ、ジョニ、ドン、チャカ・カーン、アレックスも声を出しているとクレジットされている。

 

 

「ザ・テンス・ワールド」のこのリズムをなんと形容したらいいのか?僕の知っているどの具体的なアフロ・ブラジル音楽と比べたらいいのか?わからない。それに北米白人でもこういう感じのものは一時期よくやっていたような気がするので、珍しいものじゃないようには思う。

 

 

だけど、ほかにはこんなに強くアフリカン・リズム方向へ振れたものがないジョニの音楽だもんなあ。「ザ・テンス・ワールド」にブラジル音楽要素があるかどうかは、正直なんとも言えないが、アフリカとそれがルーツの南米系のものから来ているとは思う。

 

 

続く7曲目「ドリームランド」は、歌詞のあるふつうの歌入りで、そのなかでも示唆されているし、サンバっぽいリズム・パターンからしても、わりとはっきりブラジルのほうを向いていそう。だから、ジョニの歌う夢の国とはブラジルのことなのかなあ。「ドリームランド」の打楽器群メンツは以下のとおり。

 

 

アイアート(スルド)

 

ジャコ(カウベル)

 

マノロ(コンガ)

 

アレックス(シェイカー)

 

ドン(スネア、サンドペーパー・ブロック)

 

 

ヴォーカルはジョニとチャカのようだ。とにかく、この「ザ・テンス・ワールド」「ドリームランド」のメドレーでは、声と打楽器しか使われていない。その打楽器がかなり激しくリズムを刻み、カナダから合衆国経由で南米へ行き、そしてアフリカを眺望しているような感じだね。

 

 

「ドリームランド」はライヴ・アルバム『シャドウズ・アンド・ライト』でも演じられているのでプレイリストに入れておいた。クレジットはないが、コンガがたぶんドンで、カウベルがジャコかな。クラベスをだれが叩いているのかは DVD を観なおさないとわからない。

 

 

『シャドウズ・アンド・ライト』ヴァージョンの「ドリームランド」はブラジルからすこし離れ、カリブ海音楽、特にアフロ・キューバンなリズムに接近しているかのようだ。オリジナルにあったサンバっぽさは聴きとれない。リズムのニュアンスやアフリカ示唆も、やや薄くなっているんじゃないかな。でも上出来だ。

 

 

プレイリストのラストに、ウェザー・リポートの『ヘヴィ・ウェザー』B 面1曲目「ルンバ・ママ」を入れておいた。このアルバムのリリースは1977年だけど、このライヴ音源は1976年のモントルー・ジャズ・フェスティヴァルでの演奏。マノロとアレックスの打楽器デュオ演奏で、ヴォーカルはマノロ。

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