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2018/06/24

いまのぼくにとっての『ザ・ワイト・アルバム』

 

 

最近は『アビイ・ロード』のほうが…、とかって思うこともあるけれど、やっぱりまだまだぼくのなかでの No.1ビートルズである(俗称)『ザ・ワイト・アルバム』(正式には『ザ・ビートルズ』)。諸情報など書いておく必要はまったくない音楽家だから、自分の好みだけちょちょっと記しておこう。二枚組だから好きっていうのは、すでになんども繰り返している。

 

 

いまのぼくにとっての『ザ・ワイト・アルバム』最大の魅力はアクースティック・サイドとジャジーなオールド・ポップスにある。「バック・イン・ジ USSR」「バースデイ」みたいなロックンロールや、ギター・ピース「ワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」、あるいはムジーク・コンクレート「レヴォルーション 9」、また個人的にはかなりの愛好品である「グラス・オニオン」「サヴォイ・トラッフル」なども、やはりいまでも大好きだけどね。

 

 

だけど、『ザ・ワイト・アルバム』ほどビートルズの諸作中アクースティック・サウンド+オールド・ポップスに傾いた比率が高いものはないと思うんだよね。そこにこの二枚組にしかない独自価値があるのかもしれないと、ぼくなら思う。といってもベースだけはエレキだ。さすがのマルチ楽器奏者ポールもコントラバスは弾かないんだろう?『ザ・ワイト・アルバム』のなかにはベースすら入らずの完全アクースティックな曲もありはするので、その話もするつもり。

 

 

『ザ・ワイト・アルバム』から、そんなアクースティック・サイドとオールド・ポップスを抜き出すと、以下のようになる。

 

 

ディスク1

 

 

Dear Prudence

 

Ob-La-Di, Ob-La-Da

 

Wild Honey Pie

 

The Continuing Story Of Bungalow Bill

 

Martha My Dear (エレキ・ギターもあるが、レトロな流行歌だ)

 

Blackbird

 

Piggies

 

Rocky Racoon

 

Don't Pass Me By

 

Why Don't We Do It In The Road?

 

I Will

 

 

ディスク2

 

 

Mother Nature's Son

 

Sexy Sadie (はアクースティック・ナンバーなのに、なんだかちょっとそんな気がしない)

 

Long, Long, Long

 

Revolution 1(はエレキ・ナンバーだけど、アクースティックな雰囲気があるよね?)

 

Honey Pie

 

Cry Baby Cry

 

Good Night

 

 

これらぜんぶ好きだけど、相対的にイマイチかもな?と感じないでもないものが含まれている。たとえば「ディア・プルーデンス」「セクシー・セイディ」「ロング、ロング、ロング」「クライ・ベイビー・クライ」がそう。あれれっ?「ロング、ロング、ロング」(ジョージ)を除き、どうしてかジョンの曲ばかり。ジョンのことがイマイチだなんてこと、ないのになあ。

 

 

倦怠感あふれているところが好きじゃないのかな?でも同傾向のエレキ・ナンバー「ハピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン」はめっちゃ好きなんだから、自分で自分の好みを理解することができない。やっぱり「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」みたいな陽気で楽しいラヴ・ソングや、自然のなかに溶け込みながら愛を歌った「ブラックバード」「マザー・ネイチャーズ・サン」とかが、ぼくはいいのかなあ。ところで、ポールの弾き語り二曲のギターはむずかしそう。

 

 

リンゴが歌うカントリー・ナンバー「ドント・パス・ミー・バイ」(フィドル入り)もいいし、それからそれからなんたって『ザ・ワイト・アルバム』には第二次世界大戦前というか、もっとずっと古い19世紀末〜20世紀頭ごろの流行歌をよそおったレトロなポップ・ソング「マーサ・マイ・ディア」「ハニー・パイ」「グッド・ナイト」の三曲があるのがスペシャルだ。う〜ん、も〜う、大好き!

 

 

ジョンが書いてリンゴが歌う「グッド・ナイト」はそんなには古くないのかな、もっと新しいハリウッド映画音楽ふうか。子守唄というか、でも親が子供に歌っているんじゃなくて「ぼくたち」って歌詞にあるので、二人でベッドに入るってこと?わからないが、ジョンはジュリアンのために書いたらしい。じゃあ父子ふたり?ともあれ、この瀟洒なストリングスの響きが最高だ。いわゆるロック・バンドで使われる楽器はいっさいなし。きれいだなあ。

 

 

「マーサ・マイ・ディア」「ハニー・パイ」の二曲がレトロ・ポップスでいいっていうのはずっと前にも書いたので、詳しいことは省略。「マーサ・マイ・ディア」ではチューバがベース・ラインを吹き、その後のホーン・アンサンブルもオールド・ジャズ・スタイル。

 

 

「ハニー・パイ」のほうにはヴァースまで付いているという凝りよう。しかもその途中で SP レコードを再生するスクラッチ・ノイズが入る。リフレイン部分でのスムースなアンサンブルがあまりに流麗だからストリングス?と勘違いしそうだが、クラリネット・トリオによるもの。いいなあ、こういうの。

 

 

ちょっと前にインドネシアの女性三人組ノナリアのアルバムが出たのを bunboni さんに教えていただいてぼくもすでに CD でも愛聴しているけれど、ノナリアのああいったレトロ・ポップ路線を、 UK ロック界でなら最初にきちんとかたちにしたのがビートルズ時代のポールだったのかもしれない。

 

 

 

バロック音楽ふうな「ピギーズ」から、その次「ロッキー・ラクーン」の流れもいい。っていうか『ザ・ワイト・アルバム』は全体的に構成や流れがとてもよく考え抜かれていて、通して聴くと実に気持ちいい。なかでも特にすばらしく感じるのが一枚目9曲目「マーサ・マイ・ディア」〜ラスト17曲目「ジュリア」までだ。

 

 

それら九曲のなかでアクーステック・サイドにないと言えるのは「アイム・ソー・タイアド」だけ。この気怠いジョンの曲もかなりいいんだよね。上で触れた「ハピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン」と同系だ。それ以後は一枚目ラストまでフル・アクースティック。

 

 

「ピギーズ」「ロッキー・ラクーン」なんて、むかしは再生をスキップしたい気分すらあったけれど、いまや真逆だ。愛おしくてしかたがない。クラシカルな「ピギーズ」最終盤で "one more time" とジョージが言ったらストリングスが転調し、豚ちゃんの鳴き声も入る。ジョージ・オーウェル的な主題なのか?

 

 

次の「ロッキー・ラクーン」なんか、もう最高だ。作者のポール自身がアクースティック・ギターを弾きながら歌い、ジョン・レノンのハーモニカ、ジョージ・マーティンの弾くホンキー・トンク・ピアノ&控えめに入るヴォーカル・コーラス 〜〜 といまのぼくが好きにならないわけがないっていう曲。ベースとドラムスはいっさいなし。ちょっとしたフォーク・バラッドふうなこの「ロッキー・ラクーン」、推しじゃないかな。

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