フィクションは、生きるよすが
また、これはぼくはならないんだけれど、ひとによってはもう死んでしまいたいみたいな気持ちになることだってあるのかも。
そんなとき、すくなくともぼくには音楽がある。音楽が救ってくれる。手を差し伸べて、こちらのしんどい気持ちに寄り添ってなぐさめてくれて、撫でてくれる。結果、癒されて、また気を取りなおして前向きに生きていこうっていう気分になれる。
それが音楽。すくなくともぼくにとって音楽とはそういうものだ。生きていくための必需品だから、ある意味、酸素とか水分とか食べものとか、そういうものと同質な面だってある。だから、自室にいるとき、寝ている時間以外は音楽を「絶え間なく」流している。だってぇ〜、空気のない場所にいたら死んじゃうでしょ〜。
そんな目にも見えず、ふだんは意識すらしないほどの、ある意味「食べて」いる人命必需品という面もあるのがぼくにとっての音楽だ。でもそうじゃない意味で、音楽によって生かされていると言えることだってある。それは、あのすばらしい音楽をもう一度聴きたい、あるいはまだ出会っていないけれど楽しく美しい音楽がきっとあるはずだ、それを耳にするまでは…、みたいなことで、死なないでいられるみたいなさ。
べつに音楽でなくたっていい。どなただってそういった、なんというかアンカーみたいなものがそれぞれおありのはずだ。多くのばあい、それは実人生の現実世界で接することのできる人間関係であることが多いんじゃないかと思うんだよね。
ぼくのばあい、ここが決定的に欠落している。ぼくにとっての生きるよすが、生きがいは、人間ではない。というと言いすぎか、音楽も(多くのばあい)人間が歌ったり演奏したりするもので、それを聴くひとがそこになんらかの意義を、生きるためのアンカー的なものとして認識するのも、音のなかにある人間的意味合いを感じとっているからだと言えるのかもしれない。
以前も書いたが音じたいが好きで、あの記事のときそうは明言しなかったが、世間でいういわゆる音楽に分類されないサウンドのなかにも、ぼくは「音楽」を感じとっている。なんでもない日常音のなかに楽しさや美しさ、意味があるなあと、これはホントそう思うんだ。そんなばあいも、そんな音楽には分類されないサウンドのなかにヒューマンな意味を感じているかもしれない。うんまあ、わからないのだが。
ってことは、ぼくが音楽を聴くのは擬似的人間体験なのだろうか?ここはつい今この瞬間までまったく自覚がなかった。ただたんにリズムがファンキーで強靭でダンサブルでいいなあ、楽しいなあ、メロディやハーモニーが、あるいはサウンドが美しいなあ、きれいだなあ、いいなあと感じているだけだ。意味なんか読みとらず、音だけが好きな、「純」な音楽愛好志向のつもりだ。
だんだんわからなくなってきた。音楽好きの人間嫌い、なわけではなく人間が好きなんだけどだれともうまくやれないから結局すべてのことを諦めるしかないだけなんだけど、だから結果的には人間的つながりを極力持たないようにして生きていて、結果的にそれで音楽にのめり込んでいる。
音楽にのめり込むのは、だから人間だとだれにも触れられず触れてもらえず極度にさびしくて、孤独で、その点ではなんの楽しみも幸せもなく、そこにリアルな実感もなく、ごくまれに浮いてくるけれど石鹸泡だからすぐに消えて沈んでしまう、悩みを打ち明けたり相談したりする相手も、だれひとりとしていない、それで消えることのない確固たるものとして、音楽を必要としているってことなのか?
つまり、人間では許されないけれど、なにかこう肌に触れるものとして、ぼくの心に近づいてきてくれて、拒絶もされずあたたかいままでいてくれる存在で、楽しくてきれいで美しく、決して見捨てられることもなく、だからそれさえあればそれが人生の非常に強いリアリティとなるものとして、ぼくの音楽狂いがあるのかなあ。
いずれにせよ、意味合いなど、つまり人生をともに歩む唯一の伴侶としての意義みたいなことは、ふだんほとんど意識もせず、ただたんに聴きたいだけだから聴いている音楽。ほんと〜っに好きだ。音楽を聴いてさえいれば、そこにぼくのすべてがある。美しいもの、楽しいもの、快感、苦しくつらく哀しいもの、なにもかもすべてが音楽を聴くなかにある。
音楽なしでは生きられない。音楽を聴いているあいだだけ、ぼくは生きている実感がある。まあでもみんなそういった部分があるのかもしれないと思うことだってあるよ。音楽に限らず創作物は、人間の命をこちら側につなぎとめるアンカーではないかと思うときがあるんだ。かろうじて死なないでいられる。
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