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2018/08/28

特に JJF 的キャッチーなギター・リフのない『ブラック・アンド・ブルー』だけど、最高だ

 

 

すごくいいよね、ローリング・ストーンズのこのアルバム『ブラック・アンド・ブルー』(1976年4月発売)。アメリカン・ブラック・ミュージックへの捧げもの的な側面が強いし。レゲエ要素だって濃く、しかもそれがファンクと合体していたりして、だからまあレゲエ・ファンクだとか、あるいは二曲のシティ・バラードのうち一個はニュー・ソウル・バラードでそれもいいし、な〜んだこれ、最高じゃないか。

 

 

『ブラック・アンド・ブルー』はロニー・ウッド初参加作品だけど、次代ギタリスト・オーディションのさなかに録音セッションが進行したから複数名が…ってことは、この際、どうでもいい。ギター・ソロらしいソロが少ないということは、この事実が影響しているのかもしれないが、そんなことよりも、ミック・テイラー時代のラストになった前作『イッツ・オンリー・ロックンロール』で退廃と死の香りを漂わせていたようなストーンズだったのがこの再生ぶりはどうだ。

 

 

『ブラック・アンド・ブルー』にあるファンクというと、まず1曲目の「ホット・スタッフ」だけど、このジェイムズ・ブラウン流儀のギター・カッティングをキース・リチャーズがやっているなんて(キースだよねこれは?)。途中でキーが変わってサビみたいになるところで、ヴォーカル・コーラスに重なってギター・ソロっぽいものが聴こえる。が、キースはずっと同一のファンク・リフを刻み続けているのがすばらしい。ここまでできるんじゃないか。あっ、その後いちおうのソロがあることはあるなあ。

 

 

「ホット・スタッフ」でのヴォーカルは、ミック・ジャガーの単唱パートよりも、「はぁ〜っとすた〜っふ!」と(多重録音)コーラスでリピートしている部分のほうが大きい。しかし単唱パートでは歌わないでしゃべっているかのようで、ジャマイカのレゲエ DJ のトーストみたいにも聴こえる。「ホット・スタッフ」という曲の創りにだってレゲエ・ビートが含まれている。そんなノリが確実にある。

 

 

『ブラック・アンド・ブルー』で聴ける似たようなレゲエ・ファンク orファンク・レゲエというと、5曲目の「ヘイ・ネグリータ」。間の多いスカスカなビート感と裏拍を強調したリズム・セクションの演奏がレゲエ由来だけど、ジェイムズ・ブラウンふうなファンク・チューンでもある。ミックはやはり「歌わ」ない。DJ スタイルでしゃべったり叫んだりで、このヴォーカリスト、むかしからそうだったが、こういうジャマイカン・ファンクみたいなものと、生来の相性がいいんだぁ。

 

 

3曲目「チェリー・オン・ベイビー」はふうつのレゲエ他作カヴァーなのでおいといて。いかにもオールド・ファッションドなストーンズ流ロックンロール、2「ハンド・オヴ・フェイト」、8「クレイジー・ママ」もストーンズ好きとしては聴き逃せないが、今日は話題の外におく。

 

 

ほかは二曲のリリカル・ナンバー、4「メモリー・モーテル」、7「フール・トゥ・クライ」。どっちもアメリカン・ソウルなバラードになっていて、ある時期以後のストーンズでは毎作必ずといっていいほどあるようなあたりまえのものになった。しかしふりかえってみると『ブラック・アンド・ブルー』のこの二曲が、このバンドにおけるそんな本格路線の初だったかも。ジャジーな雰囲気すら持つ都会的なソウル・バラードっていうのはさ。次作『サム・ガールズ』の「ビースト・オヴ・バーデン」なんかがこの系列の大傑作だ。

 

 

ジャジーと来れば、もちろんアルバム6曲目の「メロディ」。2018年現在のぼくにとって『ブラック・アンド・ブルー』のなかでいちばんグッと来るのがこれだ。ブルージーでもあって、というかビッグ・バンド・ジャズ・ブルーズ楽曲みたいで、しかも第二次大戦前然とした曲想だって持っている。いいなあ、これ。なんでもないルーズなジャムみたいなものかもしれないが。物憂げで、都会の深夜といった雰囲気横溢だ。ここでのピアノとオルガンもビリー・プレストンなのかな。

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