ぼくのビートルズ購入履歴は『パスト・マスターズ Vol. 2』ではじまった
(今日の話は19曲目から)
20年近く前に表題のような意味のことをネットで発言して、るーべん(佐野ひろし)さんにずいぶんと笑われた(バカにされた?)けれど、あれはほかになにか意味があったのかなあ?とにかく、この会議室メンバーで、その世代で、1988年にはじめてビートルズを買ったなんていうのは JJ さん(とあのころは呼ばれていた)がいちばん遅い!(おかしい?)と断言されちゃった。
渋谷東急プラザ内新星堂で買ったんだけど(ビートルズの公式 CD はぜんぶここで)、どうして『パスト・マスターズ Vol. 2』をまず最初に買ったのかは、理由をはっきりと憶えている。おなじみの知っている有名曲ばかり並んでいるぞと思ったからだ。ジャズ・アルバムでスタンダードが多いものを選ぶのと同じ気分だった?ここは記憶にない。
ところで2009年のリマスター盤発売の際に『パスト・マスターズ』は二枚組になったけれど、かつて1988年にはじめてビートルズの全公式音源が公式 CD リイシューされた際には、オリジナル・シングル盤発売時期の早いものを収録した『パスト・マスターズ Vol.1』(1965年7月のものまで)と『同 Vol. 2』の二枚バラ売りだったんだよね。ぼくはまず Vol. 2のほうだけ買った。Vol. 1に知った曲は少なかった。
ジャケット・デザインは、基本同じものをベースに Vol. 1が黒地、Vol. 2が白地と、ごらんのとおり。
そんなこともあって、現在では二枚組ワン・セットになっているとはいえ、ぼくのなかではいっしょに話題にするのがむずかしい面もあるから、Vol. 1、Vol. 2 と一日一枚づつとりあげて、思い出と、いま聴いての感想をチョコチョコっとメモしておこう。自分自身のために。先に買って、これでビートルズに本格的にはまった Vol. 2のほうから。これら二枚(組)は、アルバム未収録のシングル・ナンバー集で、アナログ時代にはまとめられていなかったから、バラバラにいろんなのを聴くしかなく、ぼくもそうしていた。
『パスト・マスターズ Vol. 2』にはかなりの有名曲が多いと上で書いたが、実際、このなかにあるたとえば「ヘイ・ジュード」「レット・イット・ビー」「ゲット・バック」あたりは(「イエスタデイ」とあわせ)ビートルズに、いや、音楽に興味がないというみなさんだって耳にしたことがあるはず。口ずさめさえするだろう。
だから今日ぼくも言うべきことはなにもない。ひとつだけ書いておくと、ぼくの場合この『パスト・マスターズ Vol. 2』が、自分でお金を出して買って聴いた初ビートルズだったから思い入れが強く、したがってオリジナル・アルバムに収録されている曲「レット・イット・ビー」も「ゲット・バック」も「アクロス・ザ・ユニヴァース」も、こっちのシングル・ヴァージョンになじみがある。アルバム『レット・イット・ビー』収録ヴァージョンは、いま聴いてもイマイチだったりするかも。
ところで脱線するけれども、アルバム『レット・イット・ビー』のなかでは、むかしもいまも「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」がいちばんのお気に入り。ほ〜んと好きなんだよね、あのラヴ・バラード?かなにかよくわからないけれど、とにかく到達しがたいむずかしいものへなんとか近づかせてくださいというあの歌が、むかしから、好き。歌のメロディや、それから当時は本人から批判された瀟洒なアンサンブルも、ぼくはかなりお気に入り。「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」ばかりリピート再生していた1990年ごろのぼく。
『パスト・マスターズ Vol. 2』。かつていちばん好きだったのが4曲目の「レイン」(1966.6)で、ジョンの曲だけど、ぼくがいつも聴いていたのがベースとドラムス(特にスネア)。サイケデリック・サウンドって感じかなあ。よくわからないがとにかく好きで、1991年に開始してその後長く非常勤講師を続けていた明治大学で、なにかビートルズ物語みたいなマクミラン・ランゲージ・ハウスの教科書を選んだ年も、「レイン」を大音量で教室で流し、やかましいと学生は耳をふさいでいた。
「レイン」で聴ける、ほんと、ポールのベースとかリンゴのドラミング、特にスネア・ワークなんか、かなりすごいものがあると思うけれど。ポールのほうはみんな言うけれど、リンゴのほうは言うひとが少ないよね。どうしてだろう?「レイン」の前、3曲目の「ペイパーバック・ライター」でもかなりいいじゃん。こっちは特にベースを弾きながら歌っているポールが超人だとしか思えない。
6曲目「イナー・ライト」で、ジョージのこういった路線をはじめてちゃんと聴いた。実を言うと、ジョージのインド楽曲でいまでもいちばん好きなのがこれ。でもビートルズのなかにあるインド音楽要素は、ジョンもポールも、ある時期は、表現していたばあいも、すこしはあったなあと最近気づくようになっている。また違う話になるので、別の機会に。
ビリー・プレストンというアメリカ黒人鍵盤奏者のことも、9曲目「ゲット・バック」、10曲目「ドント・レット・ミー・ダウン」ではじめて知った。それにしても「ドント・レット・ミー・ダウン」とか、ほかにも、いい曲がアルバムに入っていなかったんだなあ、ビートルズって。かといって「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」とかは、『マジカル・ミステリー・ツアー』に入れてほしくなかったとか思っているから、ぼくも勝手なもんだ。
『パスト・マスターズ Vol. 2』だと、その次の11曲目「ザ・バラッド・オヴ・ジョン・アンド・ヨーコ」もかなり好き。この曲ではリズムのシンコペイションがラテン音楽ふう、というかカリビアンなものなのがイイ。そこをいまではハッキリ自覚できるようになったけれど、1988年にだって汲み取ってはいた。なぜかといえば「この感じ」というフィーリングが当時もいまも同じだから。
アルバム・ラストの15曲目「ユー・ノウ・マイ・ネーム(ルック・アップ・ザ・ナンバー)」こそが、ここ二、三年のぼくがいちばんおもしろく感じる一曲。しかしこれ、1995年にネット活動をはじめて、音楽関係のいろんな場所に顔を出すようになった当初、ビートルズ専門部屋で複数のかたがたが「この曲楽しい」と言っていたのが当時のぼくには理解できず。アホだった。いまもって、基本、アホだけど、微々たる成長でもしているのだろうか?
「ユー・ノウ・マイ・ネーム」はお芝居音楽だよね。英国の古いミュージック・ホール・ナンバーみたいに仕立ててある。『ザ・ワイト・アルバム』についての文章でも、あるいはもっと前にも、こういった曲が本当に好きになっていると書いたんだけど、本心だ。どうしてそうなっているのか、自覚はない。が、マジで楽しい。これも中間部の劇みたいな部分の前半は、リズムがアバネーラふうに跳ねている(後半はジャジーな2/4拍子)。あの19世紀ごろの英国ミュージック・ホールにもセバスチャン・イラディエールがいた?
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