ストーンズのブルーズ10
クラシック・ロック愛を掲げる音楽サイト『ラウダー』の、おととい8月28日付の下掲記事。ローリング・ストーンズのブルーズ・ソング10曲を選ぶというもの。
これを真似てぼくもちょっとやってみた。ただしカヴァーは外しストーンズ・オリジナルにこだわって、しかし必ずしも12小節3コード云々のレギュラー・フォーマットには拘泥せず、ブルーズ・フィールのあるもの、曲の本質としてブルーズであるものという大きなくくりで10曲選んでみた。プレイリストにおける10曲の並びはリリース順とは限らず、続けて聴いて楽しいか、という審美性に配慮したつもり。
5、6以外はオリジナル・ヴァージョン。
1 Honky Tonk Women
2 If You Can't Rock Me
3 Get Off Of My Cloud
4 No Expectations
5 The Spider And The Fly ("Stripped")
6 Midnight Rambler ("Get Yer Ya-Ya's Out!")
7 I Got the Blues
8 Tumbling Dice
9 Melody
10 Shattered
「ホンキー・トンク・ウィミン」がブルーズであるのはいいとして、次の「イフ・ユー・キャント・ロック・ミー」「ゲット・オフ・オヴ・マイ・クラウド」あたりがブルーズ・セレクションに出てくるのに違和感があるかたがいらっしゃるかも。
個人的には「サティスファクション」も入れたかったし、その関連で「ストレイ・キャット・ブルーズ」(『ベガーズ・バンケット』)だって選びたかった。ここはたんに10個という制限を設けたから泣く泣く外しただけ。ロックンロール=ブルーズだということ、たとえそれが変形されて見えにくくなっていても本質にあるんだということだと思っている。
その点でおもしろいのが4「ノー・エクスペクテイションズ」。『ラウダー』の言いかたを借りれば、まるでロバート・ジョンスンとハンク・ウィリアムズが曲創りセッションでコラボしたかのような(これまたトレイン・ピース)、そんなブルーズ+カントリー・ミュージックの両要素が半々に溶け合った一曲だ。見事。ブライアン・ジョーンズ最期の華となったスライド・プレイも美しい。
5「蜘蛛とハエ」は、1995年『ストリップト』ヴァージョンのほうが好きだし、出来もいいんじゃないかと思っている。オリジナルにあった米南部ふうカントリー・ブルーズ・テイストを増幅し、イナタいフィーリングを強調。ミックのハーモニカは、しかし戦後のシカゴ・スタイルだ。っていうか、このヴァージョンは全体的にダウン・ホーム感のあるシカゴ・ブルーズなのかな。
6「ミッドナイト・ランブラー」は『ラウダー』が一位に選んでいるし、ぼくもこれがストーンズのやったオリジナル・ブルーズ最高傑作と思う。ハイド・パーク・コンサートのヴァージョンはたしかにシニスターでデンジャラスだけど、LP や CD で長年入手しやすかった同じ1969年のパフォーマンス『ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト!』のものをぼくは選んだ。これに強い親しみがある。
7「アイ・ガット・ザ・ブルーズ」でちょっぴり泣きのサザン・ソウルふうにもりあげて、8「タンブリング・ダイス」でしっとりまろやかに。「ダイス」のほうは、これまたブルーズじゃないぞと言われそうだけど、まあいいじゃないの。ぼくの勝手な言い分だ…、ってだけじゃないかもよ〜。ストーンズのこういったコクのある味わいは米黒人ブルーズと同質のもので、それよりほかに見つからない。
9「メロディ」(『ブラック・アンド・ブルー』)が、ちょうど第二次大戦前のジャズ・ブルーズの趣だというのはわかりすいことだけど、10「シャタード」は UK パンク勢への古参ロック・バンドからの回答なんだから…と、これまた言われそう。でもぼくはワン(ツーだけどね)・コード・ブルーズみたいなもんだと思っていつも聴いているよ。サビのような部分でだけコードが開く。最後のシンバル残響音がしめくくりにピッタリ。
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