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2018/09/08

ストリーミングで聴く『ベスト・オヴ・ヒバ・タワジ』

 

 

Spotify で(ほぼ)同じものをつくっておいた↓

 

 

 

ストリーミングで音楽を聴くときのぼくのメインは圧倒的に Spotify。その次が Apple Music で、三番目が Amazon Music Unlimited かな。それに Anghami と AWA をあわせて、これらでぼくの使っているぜんぶ。deezer も覗いてみたことはあるが、いまのところお金は払っていない。そして、アラブ圏の音楽は、やはり Anghami が強いのだ。

 

 

だからヒマなときに Anghami も徘徊しているのだが、ついこないだヒバ・タワジのベスト・セレクションみたいな謹製プレイリストを見つけて、悪くないなと思ってときどき流している。そう、こういうのはジックリ対面するように聴き込むとしんどいが、BGM 的に流しておけば快適なのだ。それに、ヒバでしょ、粘って重たい部分もある歌いかたのひとだから、ヒバ好きなぼくでもいつも正対しているわけじゃない。

 

 

ネット配信(CD があるものはぜんぶストリーミングで聴けるが、CD が入手困難な?存在しない?ものがネットにある)で聴けるヒバのアルバム・フォーマット作品は、リリース年記載順に以下の五つでぜんぶのようだ。五つとも Anghami と Spotify の双方にある。ぼくは三つまでしかフィジカルで持っていない(ってか、それ以外は CD あるの?)。持っているものは * 印。

 

 

『Oussama Rahbani with Hiba Tawaji & Wadih Abi Raad (Live)』(2011)

 

『Ya Habibi』(2014)*

 

『La Bidayi W La Nihayi』(2015)

 

『Live In Byblos』(2016)*

 

『Hiba Tawaji 30』(2017)*

 

 

Anghami 公式『ベスト・オヴ・ヒバ・タワジ』は、基本、ビブロス・ライヴを除く四作品からのチョイスみたいだ。Spotify でほぼ同じものを作成できたが、一つだけ Spotify になかった曲が「Wehyat Elli Rahou」。Anghami のでは2013と記されている。それはどうやらスタジオ録音のようだけど、Spotify にはない。代わりにというか、ビブロス・ライヴで同じ曲をやっているのでそれを入れておいた。

 

 

違いはこの一個だけ。だからもし聴いてもいいよと思ってくださるかたは Anghami、Spotify、どっちのプレイリストでもいいんじゃないかと思う。Anghami のがサーヴィス公式のプレイリストなのに対し、Spotify のはそれを見ながらぼくが勝手に真似て自己作成したものだっていう点だけ。

 

 

どの曲がどのアルバムに…、なんてことは書く必要がない、というかそんなことを意識しないで楽しむのがいいんだよね、こういうのは。それに長い。二時間以上あるし、だからなんとなく部屋のなかで流して雰囲気をつくって、なにかお料理でもお掃除でも、読書でも仕事でもなんでも、やっていればそれでオーケー。ヒバのような濃いめな持ち味の歌手でも、そうやればあっさりと楽しめる。ヴォリュームはすこし下げて。

 

 

個人的に『ヒバ・タワジ 30』に思い入れが強いもんだから、それの収録曲は流れてきた瞬間にアッ!と思うんだよね。でも事実上のデビュー作『ヤ・ハビビ』収録ナンバーでもさほどの大きな違いはなかったと、この混ぜこぜプレイリストを流していて気がついた。それは主にウサマ・ラハバーニの手がけるオーケストレイション・サウンドが一貫しているおかげだ。うんまあやっぱりヒバのヴォーカルは変化して深みを増しているね。

 

 

そんなことで、『ヤ・ハビビ』のこともあらためて見直したのだった。いい作品だった。あのころ、2014年か、あまりそんなに強い印象は受けず、なかなかいいポップ良作だよねといった程度の感想だったのだけど(あと、ぼくの大好きなマライア・キャリーのフォロワーだなというのは強く響いた)、いっしょくたに流れてくると、『ヒバ・タワジ 30』で結実する芽をたしかに感じる。間違いない。

 

 

この点では、CD があるのかないのかわからないが2011年の『Oussama Rahbani with Hiba Tawaji & Wadih Abi Raad (Live)』収録曲は、まだまだイマイチ。イマニ、イマサンだったりするかも。なかでもアストール・ピアソーラの「リベルタンゴ」をやっているが、出来はどうもちょっと…。ピアソーラ云々ではなく、意気込みが先行してヴォーカル表現がついていっていない。ウサマの選曲だったんだろうけれど。

 

 

これもフィジカルをぼくは見つけられない『La Bidayi W La Nihayi』のものとなると、リリースが『ヤ・ハビビ』の翌年との記載だし、だいぶよくなっているよね。このアルバムの CD があるならぜひほしいんだけど、ないのかなあ?ジャケットもいい雰囲気だしと思うんだけど。いいものだから CD でほしいという発想が、もはや時代遅れだろうけれどさ。

 

 

『ベスト・オヴ・ヒバ・タワジ』プレイリスト全体では、アラブ古典もいいけれど、印象が強くて耳に残るのは、個人的嗜好品だからということなんだろう、ジャジーな曲や、ラテン・タッチなもの(アフロ・キューバンだったりアバネーラだったりボサ・ノーヴァだったり)だ。アラブ歌謡のなかにジャズやラテン・ミュージック要素が溶け込んでいるのは常識だが、ヒバ&ウサマのタッグは、フェイルーズ&ラハバーニ兄弟のそんな表現よりも、ぼくはいっそう好き。

 

 

ヒバのヴォーカル・スタイルの目立った特色も印象に残る。一言にして「重く、濃い(すぎる?)」。だけど、ちょうどこう、そうだなあ、日本の演歌歌手の一部によくあるものじゃないか。似通った歌唱法だよね。ヒバは声の出しかたも強いし、またフレーズ終わりフレーズ終わりで母音をグリグリグリ〜ッと重ねこねくるようにしながら伸ばす。アァアァアァ〜とかイィイィイィイィ〜とかさ。

 

 

また良くも悪しくも、ヒバはドラマティックだ。盛り上がりかたが激しい。盛り上がらなくても、声と表現が強い。それらが過ぎるように感じるばあいも、リスナーによってはあるんだろうと納得できる。アラブ古典歌謡の典型の一つだろうとは思うんだけどね。アメリカのジャズ・シンガーのなかにもいるかな。日本の演歌界には、書いたように、たくさんいる。

 

 

ヒバの活動のトータル・プロデューサーとなっているウサマ・ラハバーニのアレンジも、そういったヒバの持ち味を生かすべく書かれているし、というか、これはウサマの薫陶よろしきを得てヒバがこうなったということなのか、相互作用で両者ともにこういうふうに歩んできているのか、よくわからないが、21世紀に出現した類稀なる音楽コンビ、傑出した女性ポップ歌手であるには違いない。

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