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2018/09/17

原田知世の、なんて楽しくなんて美しい世界

鈴木慶一がプロデュースした原田知世のアルバムが、いつの間にか Spotify で聴けるようになっているじゃないか。昨晩(2018.9.6)深夜11時半過ぎまでウッカリ気づかずにきたぼくががおろかだった。だから、昨年12月の記事で書くことを諦めた知世マイ・ベスト・セレクションを、そのまま Spotify のプレイリストとして作成することができたのでやっておいたのが上のリンク。昨年12月の記事とはこれ↓
おっと、こっちこそしっかりアルバム音源のリンクを書いておこう。鈴木慶一プロデュースの知世ちゃん二作、『GARDEN』と『Egg Shell』。伊藤ゴローがプロデュースしたものは前からぜんぶある。

・原田知世と鈴木慶一の世界(1)〜『GARDEN』
・ムーンライダーズな原田知世 〜 原田知世と鈴木慶一の世界(2)
これら二作、それぞれ昨年10月と12月にこのブログで文章を書いたものだけど、そのリンクは恥ずかしいから書きません。CD でお持ちでないかたも、この Spotify にあるやつで<知世+慶一>の音楽を聴いていただければそれで充分幸せです。どうか、よろしくお願いします。

鈴木慶一プロデュース作も Spotify で聴けるようになったのでシェアできる知世マイ・ベストのプレイリストは以下。もし興味をお持ちになって CD でも買ってみたいとおっしゃるかたでもいらっしゃればと思い、収録アルバム名を付記しておく。

1) September(恋愛小説2 - 若葉のころ)
2) 月が横切る十三夜(Egg Shell)
3) さよならを言いに(GARDEN)
4) 中庭で(GARDEN)
5) 夢迷賦(GARDEN)
6) UMA(Egg Shell)
7) キャンディ(恋愛小説2 - 若葉のころ)
8) 年下の男の子(恋愛小説2 - 若葉のころ)
9) SWEET MEMORIES(恋愛小説2 - 若葉のころ)
10) ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ(音楽と私)
11) うたかたの恋(音楽と私)
12) 天国にいちばん近い島(音楽と私)
13) くちなしの丘(音楽と私)
14) ときめきのアクシデント(音楽と私)
15) 時をかける少女(music & me)

ぼくがこういったプレイリストをつくるばあいのくくりは、多くのばあい CD-R に焼く際一枚におさまるか、ということだ。この知世マイ・ベストも1時間10分だから可能。もちろんその限りではない二時間超のセレクションもあったりするが(たとえば「プリンス 30」)、レコード片面とか CD 一枚という尺は、やはり意味のある時間の長さだったという気がする。

1「September」の歌詞内容はつらく苦しい失恋だけど、アレンジとプロデュースの伊藤ゴローは楽しく快活なジャンプ・ナンバー、言ってみればファンク・ミュージックっぽいグルーヴァーに仕立ててあるのがとてもいいよね。沁み込みすぎない中庸の、楽しくやわらかい、そしてなにより爽やかな情緒を持たせることに成功している。

同じグルーヴァーでも、2「月が横切る十三夜」、6「UMA」などと聴き比べれば、伊藤ゴローと鈴木慶一との持ち味の違いが鮮明になってくる。ロック・ファンなら鈴木慶一の手がけた曲のほうに共感度が高いかも。しかしそうでなくとも、「月が横切る十三夜」のこのノリなんかは文句なしに最高じゃないか。知世のヴォーカル資質とも合致していて、も〜う、たまら〜ん!

2〜6曲目の鈴木慶一&知世作品群には、エスノ・ポップ/ロックという趣を持たせるという意図もぼくにはある。ムーンライダーズ的でもある。3「さよならを言いに」では沖縄音階を使いつつダブ(ジャマイカのレゲエから発展したひとつ)ふうな音処理を施してあるという絶妙な逸品。4「中庭で」は無国籍アンビエント。5「夢迷賦」は中国音階だけど、人声やパーカッション(デジタル・サウンド?)の使いかたはホルガー・シューカイっぽい?

7曲目以後の伊藤ゴロー・プロデュース楽曲については昨年あれほど書いたので、繰り返さない。7〜9がカヴァー・ソングで、10以後は知世自身の過去レパートリーに新しい衣をまとわせて歌いなおした再演。すべてがとても美しい。ゴローのサウンド・メイクが絶品だけど、知世の声と歌いまわしがやはり大きな落ち着きと豊かな表情を獲得している。ゴローもそんな歌手としての知世を最大限に活かすべくペンをふるっている。あるいはゴローの表現したい世界に知世の声がよく似合っているというべきか。

なかでも特に9「SWEET MEMORIES」(松田聖子)。ここでもソプラノ・サックスが聴こえるのが伊藤ゴロー・アレンジの目立った特色だと思うんだけど、それ以外にはほぼ弦ハープ一台だけ。それに乗って知世がこの、失った恋を想う哀しく切ない歌を、しっとりと綴るのがたまらない美しさ。歌詞は松本隆。

10曲目以後のオリジナル楽曲再演篇でもきれいな知世だけど、ことに坪口昌恭のピアノ伴奏だけで歌う12「天国にいちばん近い島」なんか、絶品美。泣きそうになっちゃうよ。坪口はどうしてこんな和音を弾けるんだろう?これは坪口のスタイル?伊藤ゴローの指示?どっちにしても、愛を美しく語るこの知世のヴォーカルでトロトロに蕩けてしまう。

セレクション・ラストの15「時をかける少女」。2007年のアルバム『music & me』のラストに収録のヴァージョンで、それは昨2017年8月リリースのベスト盤『私の音楽 2007-2016』のトップをも飾っていた。知世最大のヒット曲で知名度があまりにも高いが、昨年に縁あってはじめてちゃんと聴いてみた知世の音楽のうち、まず最初「September」でガンと感動し、このボサ・ノーヴァな「時をかける少女」で完璧に骨抜きにされてしまった。

あぁ、なんて美しい世界、このまま溶けてしまいたい。

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