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2018/10/18

Crucially, the Stones, unlike Jimmy Page and Robert Plant, always showed their workings, ensuring that heroes like...

嫌いなのじゃない。好きだからだ。

まず、具体例から列挙しておく。ぜんぶやるとキリがない音楽家なので、再確認せずともいま瞬時にパッと思い出せるものだけ。作者名記載がどうなっているかはレッド・ツェッペリン作品の最新盤(2014、2015年)附属ブックレットを見た。以下「自作」と書くものは、すべて剽窃、盗作だ。

・Babe I’m Gonna Leave You("Led Zeppelin")〜 ジョーン・バエズ・ヴァージョンのアン・ブリドゥン作「ベイブ・アイム・ゴナ・リーヴ・ユー」から。自分たちの名前の横に "Bredon" との記載あり。

・Dazed And Confused("Led Zeppelin")〜 ジェイク・ホームズ「デイズド・アンド・コンフューズド」から。自分たちの名前の横に ”inspired by Jake Holmes” との記載あり。

・Black Mountain Side("Led Zeppelin")〜 バート・ヤンシュ・ヴァージョンのアイリッシュ・トラッド・フォーク「ダウン・バイ・ブラックウォーターサイド」、デイヴィ・グレアム・ヴァージョンのケルト民謡「シー・ムーヴズ・スルー・ザ・フェア」から。自作とのクレジット。

・How Many More Times("Led Zeppelin")〜 ハウリン・ウルフ「ハウ・メニ・モア・イヤーズ」、アルバート・キング「ザ・ハンター」、その他。自作とのクレジット。

・Whole Lotta Love("Led Zeppelin II")〜 マディ・ウォーターズ(ウィリー・ディクスン作)「ユー・ニード・ラヴ」から。自分たちの名前の横に "Willie Dixon" との記載あり。

・The Lemon Song("Led Zeppelin II")〜 ハウリン・ウルフ「キリング・フロア」、ロバート・ジョンスン「トラヴェリング・リヴァーサイド・ブルーズ」、アルバート・キング「クロスカット・ソー」その他。自分たちの名前の横に "Burnett" との記載あり。

・Bring It On Home("Led Zeppelin II")〜 サニー・ボーイ・ウィリアムスン II(ウィリー・ディクスン作)「ブリング・イット・オン・ホーム」から。自作とのクレジット。

・Hats Off To (Roy) Harper("Led Zeppelin III")〜 ブッカ・ワイト、ミシシッピ・フレッド・マクダウェル「シェイク・エム・オン・ダウン」その他無数のパッチワーク。Trad. Arr. Charles Obscure とだけの記載だから、盗作とは言えない。

・Rock And Roll([4th album])〜 リトル・リチャード「キープ・ア・ナキン」から。自作とのクレジット。

・When The Levee Breaks([4th album])〜 カンザス・ジョー・マッコイ&メンフィス・ミニー「ウェン・ザ・レヴィ・ブレイクス」から。自分たちの名前の横に "Memphis Minnie" との記載あり。

・Custard Pie("Physical Graffiti")〜 ブッカ・ワイト「シェイク・エム・オン・ダウン」、ブラインド・ボーイ・フラー「アイ・ワント・サム・オヴ・ユア・パイ」、ブラウニー・マギー「カスタード・パイ・ブルーズ」など。自作とのクレジット。

・Kashmir("Physical Graffiti")〜 デイヴィ・グレアム・ヴァージョンのケルト民謡「シー・ムーヴズ・スルー・ザ・フェア」が大元。自作とのクレジット。

・Boogie With Stu("Physical Graffiti")〜 リッチー・ヴァレンス「ウー・マイ・ヘッド」から。自分たちの名前の横に "Mrs. Valens" との記載あり。

・Nobody's Fault But Mine("Presence")〜 ブラインド・ウィリー・ジョンスン「イッツ・ノーバディーズ・フォールト・バット・マイン」から。自作とのクレジット。

・In The Evening(”In Through The Out Door”)〜 剽窃ではないけれど、リロイ・カーの「イン・ジ・イヴニング」(ウェン・ザ・サン・ゴーズ・ダウン)に関係しているかもしれない。自作とのクレジット。

・We're Gonna Groove("Coda")〜 これは Ben E King、James Bethea にだけクレジットされていて、自分たちの名前は書いていないので剽窃とか盗作ではないけれど、最初1982年にレコードが発売されたときはどうだったんだっけ?


レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジとロバート・プラント。もうおじいちゃんなんだから、人生の残り時間を数えたほうが早いんだから、そろそろちゃんとしたらどうか?というようなことを、こないだ2018年8月に、音楽サイト『ラウダー』から名指しで言われていたぞ。今日の記事題は、その一節から拝借したもの。英語なので、ひょっとしたら本人たちだって読んだかも。
ふだんから繰り返しているが、1960年代デビューの英国ブルーズ・ロック勢のことが大好きなのは、それじたいが楽しくおもしろい、カッコイイ、気持ちいいというのが最大の理由だけど、あるいは、アメリカ黒人ブルーズはじめブラック・ミュージックへの最大の道案内人役を果たしてくれたからだということのほうが大きなことかもしれない。

『ラウダー』の言うように、そういった UK ロッカーたちは、たったひとつのバンドを除き、出典、原作者、権利者、じゃなくてもその時点で判明している拠り所をクレジットしてくれていた。だからこそ、ぼくのように最初はなにも知らなかったリスナーだって、そんな原作者名記載を手がかりにして黒人ブルーズの世界へと分け入ることができたのだ。ああいったロックの世界には、ひとそれぞれ、ご感想がおありだろうけれども、間違いない事実、功績だと思う。

しかし、それら原作者名クレジットがなければ、なにも知らない人間が未知の世界へ足を踏み入れるきっかけがつかみにくい。最初からアメリカ黒人ブルーズに親しんでいるかたがたは問題ないだろうけれども、そうじゃない人間のほうが、一般の多くの(日本の)洋楽リスナーのなかには多いんじゃないだろうか。となればやはり、音楽家が敬意と感謝を示す意味でも、出典クレジットは必須だ。なにより、法を犯しちゃいかん。気持ちの倫理にだってもとる。

それがどうだ、ツェッペリンのばあいは。違法行為だらけじゃないか。『ラウダー』の言うように、いや、ずっと前からみんなが言ってきたように、ジミー・ペイジとロバート・プラントは、アメリカ黒人ブルーズ・メンや、同時代の英ロッカーや、トラッド・ミュージシャンたちの作品から無断で借用し、つまり、原作者名や権利者名のクレジットなしで、自分たちの名前だけを作者としてレコードや CD に記載し、そのまま知らん顔をしてきた。

違法行為だから、とうぜん裁判沙汰となる。ほかの音楽家でも同種の訴訟になるケースは多々あれど、ツェッペリンほどひどくはない。なにより、ジミー・ペイジとロバート・プラントには罪の意識がない。自分たちがなにをしてきたかの自覚がないんだ。だから、現在の最新リマスター盤(2014、15年発売)のブックレットに申し訳程度に書き添えてある原作者名(上記)は、裁判で負けて命令されたから、というだけのしるしなのだ。

1994年だったか95年だったかの、例のジミー・ペイジ&ロバート・プラント名義のコラボ作品『ノー・クォーター』が発売されたころは彼らの活動が近年では最も活発だった時期で、二名もいろんなメディアに登場していた。そのなかに、日本の地上波テレビで放送されたプラントのインタヴュー映像があって、それを見たぼくは耳と目を疑った。プラントはこう言ったのだ:

「あのころは、だれだってみんなやっていたし…」

ウソつけ!アンタらだけじゃないか。ほかはローリング・ストーンズもだれもかれも、みんな、ちゃんと原作者名か権利者名か参照元の名をしっかり記載していたよね。ツェッペリンのばあい、権利者から訴えられて敗訴し、申し訳程度に権利者名を添えてあるものだけじゃない、もっとあるんだと、みんな知っている。

こういったことは、法的に適正でなければならないというだけじゃない。音楽でもなんでも作品を創り出す人間がはたすべき最低限のマナーじゃないだろうか。(主に)アメリカ黒人ブルーズが、レッド・ツェッペリンにとっても最大のインスピレイション源だったんだろう。その名前を記載しておくことは、なにも恥ずかしいことじゃなかったはずだ。明記しないでここまで来ていることのほうがはるかに恥ずかしいよ。

ある時期以後、ちゃんとすると決心したぼくは、実際ぼくなりにそうしてきているつもり。蟻がなにか言っても、いずまいをただそうとも、巨象に微塵の影響も与えることはない。だけど、この音楽家の大ファンだからこそ、だんだんと恥ずかしくなって、言わずにおられなくなった。だから、今日記して公開しておくことにしたのだ。

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