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2018/10/22

これが NY トップ・セッション・マンの実力だ 〜 ラルフ・マクドナルドの太鼓の音

Unknown

打楽器奏者ラルフ・マクドナルド。このひとの名前は、1970年代の(いわゆる)クロスオーヴァー、フュージョン・ミュージックを身近なものとして青春を過ごした人間には、絶対に忘れることなどできないものだ。そんなラルフの初ソロ作、1976年の『サウンド・オヴ・ア・ドラム』(マーリン)。ニュー・ヨークのファースト・コール・パーカッショニストとはいったいどれほどの実力の持ち主なのかを思い知る傑作と言える。

 

 

まずは、ラルフ・マクドナルド『サウンド・オヴ・ア・ドラム』、全六曲の音源リンクを貼っておこう。

 

 

1「サウンド・オヴ・ア・ドラム」

 

 

 

2「ウェア・イズ・ザ・ラヴ?」

 

(ロバータ&ダニー https://www.youtube.com/watch?v=MBT1neIA0tc

 

 

 

3「ジ・オンリー・タイム・ユー・セイ・ユー・ラヴ・ミー」

 

 

 

4「ジャム・オン・ザ・グルーヴ」

 

 

 

5「ミスター・マジック」

 

 

 

6「カリプソ・ブレイクダウン」

 

 

 

1曲目のアルバム・タイトル曲は、グローヴァー・ワシントン Jr.のサックスが爽やかに香る雰囲気で、いかにもな1970年代中期ジャズ・フュージョンの趣。ラルフ・マクドナルドが参加することもあった同時期の渡辺貞夫さんの音楽に通じるものがある。貞夫さんのばあいは西海岸系のセッション・メンを起用することが多かったけれど、ニュー・ヨークでも同じような流れだったんだろうね。

 

 

ニュー・ヨークのセッション・メンを起用…、という点で、このラルフ・マクドナルドの『サウンド・オヴ・ア・ドラム』を支えている中核は、チャック・レイニー(ベース)、エリック・ゲイル(ギター)、リック・マロッタ(ドラムス)の三人。曲によってリチャード・ティー(鍵盤)やアーサー・ジェンキンス Jr(クラヴィネットなど)なども参加。まさに当時のフュージョン・シーンを反映、レコーディング時にはすでにトップ・セッション・マンの評価を確立していたラルフの周辺といった人脈だね。

 

 

さらにラルフの周辺人脈というよりか、ハリー・ベラフォンテのバンド以来ラルフにぴったり寄り添ってきていた二名、ウィリアム・ソルター&ウィリアム・イートンも当然のように参加し、やっぱりこのトップ・パーカッショニスト初のソロ作品なんだから…という気持ちの盛り上がりを感じる立派なプロダクションだよね。

 

 

1曲目はいかにもなフュージョン・サウンドで、聴くひとによっては時代を感じて「古っ!」って思っちゃうようなものだけど、2曲目以後は現代的な意味や訴求力、さらにリズムやサウンドのひろがり&普遍性をも感じるトラックが並び、2018年に聴いてじゅうぶんイケる音楽だと思うなあ。すくなくともぼくはかなり好き。しかもフュージョンというより、やっぱりインストルメンタル・ソウル/ファンクだしね。

 

 

2曲目の「ウェア・イズ・ザ・ラヴ」は、上記のとおりロバータ・フラック&ダニー・ハサウェイに提供したものだったけれど、自身で解釈しなおしたラルフ・マクドナルドは、同じ曲だと判別しにくいかも?とすら思える部分もある多様性で長めにひろげて展開、特にパーカッション・サウンドで汎カリビアンなグルーヴをも表現している。ハーモニカはトゥーツ・シールマンス。ポップでいいね。

 

 

それでも個人的にラルフ・マクドナルドの『サウンド・オヴ・ア・ドラム』でオオ〜ッ!ってなるのは3〜6曲目のハード・グルーヴァーだ。ときにスウィートでメロウな雰囲気すら漂っていたりもするけれど(特にストリングスのサウンドが、それはアーサー・ジェンキンスの編曲指揮)、ボトムスはタイトでグルーヴィだ。しかもハードに刻み込んででいるのがいい。

 

 

1990年代以後的な意味を最も強く発散しているのは、たぶん4曲目の「ジャム・オン・ザ・グルーヴ」だろう。たしかにクラブ DJ が使いやすい感じがするよね。ぼくも大好き。特に後半部、繰り返しブレイクが入って、その間ラルフのパーカッション・ソロをフィーチャーしているようなパートは、サウンドやリズム・メイクも、打楽器パフォーマンスの腕も、な〜んてうまいんだ!と感心しちゃうよね。曲全体のグルーヴもすばらしい。

 

 

3曲目「ジ・オンリー・タイム・ユー・セイ・ユー・ラヴ・ミー」の、この細かく刻みながら大きくゆったりと乗って波のうねりのような心地いいグルーヴを生み出しているのなんかは、さらにもっと快感なんだよなあ。ぐわ〜っとからだを揺すって、そのワン・グルーヴの最後にシャッ!と手か指を動かしてキメる、そんなふうに部屋のなかで聴きながらダンスできて楽しい。ちょうどいいノリだ。いやあ、心地いい!クラヴィネットも粘っこくてサイコー!しかも背後でラルフはかなり高度な芸を、それと気づかれないほどのていねいさで繰り出している。これぞ、職人芸、まさにトップ・セッション・マンというものだ。

 

 

5曲目「ミスター・マジック」のサルサなノリや(ヴァイブ=デイヴッド・フリードマンが効いていていいね)、6曲目「カリプソ・ブレイクダウン」の、テーマはいちおうカリプソだろうけれど(ラルフは両親ともトリニダード・トバゴ出身)音楽としてカリプソがあるかどうかはよくわからない曲の、スケールの大きなリズム展開にも大いに納得し、感心する。エリック・ゲイルのギターがカリビアン香。

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