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2018/10/03

アラブのプリンス 〜 あのころのロック

 

 

1) Around The World In A Day(Around The World In A Day)

 

2) The Cross(Sign O' The Times)

 

3) 4 The Tears In Your Eyes(The Hits/The B-Sides)

 

4) Thunder(Diamonds And Pearls)

 

5) 7([Love Symbol])

 

6) Rave Un2 The Joy Fantastic(Rave Un2 The Joy Fantastic)

 

7) The Greatest Romance Ever Sold(Rave Un2 The Joy Fantastic)

 

8) Glam Slam(Lovesexy)

 

9) Anna Stesia(Lovesexy)

 

10) Lovesexy(Lovesexy)

 

11) Positivity(Lovesexy)

 

 

今日こそはいまいちど言わせてほしい。プリンスの『ラヴセクシー』、一曲づつトラックが切れたのを発売してほしいぞ。ワーナーがそれを持っているのは、何種類かのベスト盤に単独で収録されているのが数曲あることからわかっている。こだわりにこだわった本人も、そろそろ許してくれるんじゃないだろうか。『ラヴセクシー』のトラックを切ってほしいというのは、個人的には自分で勝手にオーディオ・エディターを使ってやっているから困らないのだが、ネットでシェアするのが目的のプレイリストにできないじゃないか。

 

 

それなもんだから、今日のこのプレイリスト、『ラヴセクシー』からは一曲単位で抜き出せないのでしかたなくアルバムをそのまま丸ごと置くしかなかった。このアルバムにアラブ/インドなプリンスがいちばんたくさん入っているから、もしお時間とお気持ちのあるかたは、ちょっと覗いてみてください。ほかのものは一曲単位でピック・アップして並べた。

 

 

この Spotify プレイリストでは、だから1時間17分と表示されるけれど『ラヴセクシー』が丸ごとぜんぶ入っているからで、曲を切っているから抜き出せる自前の iTunes では計56分程度。アラブ〜インド音楽ふうなプリンス楽曲を探して抜き出して、聴いて楽しいような曲順で並べたもの。旋律展開がアラブふうというものだけでなく、シタールやタブラなどインド楽器を使ってあるだけのふつうのロック/ポップス・ナンバーも選んでおいた。

 

 

それはある意味、1978年レコード・デビューのプリンスがやる<あのころの>ロック/ポップスという意味合いも持っている。説明不要だが、1960年代後半〜70年代初期のロック(など)・ミュージックのなかには、アラブ/インド要素、特にタブラとシタールを混ぜ込むのがごくごくあたりまえなことだった。どんなアルバムにも最低一曲はあったというような感じだよね。

 

 

世代的に見て、プリンスもちょうどそのあたりのロック/ポップス/ジャズなどのレコードに親しんで思春期を過ごし、それが音楽家としての自己を形成する際の大きな素地となっていたに違いない。メインストリームなアメリカ大衆音楽のなかからはその後消えてしまったが、プリンスの音楽のなかには溶け込んでいて、ときおりひょっこり顔を出しているってわけ。

 

 

今日のこのプレイリスト、探し漏れはもちろんあるだろう。自分でもすでにいくつか気づいているが、もうこれで充分だ。あるいはこの曲を入れるのはちょっと…、というセレクションだってあるかも。そこはぼくなりのアラブ/インドなプリンスというプライヴェイトな楽しみなので、みなさんにご納得いただける客観性はもとから目指していない。

 

 

1曲目「アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ」が無国籍なエキゾティック・プリンスだっていうのは、しかしある程度多くのかたにアピールできるわかりやすさじゃないかな。言い換えればサイケデリック・ミュージックということで、アルバム『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』が精神旅行をテーマとしていたのを象徴している。

 

 

2「ザ・クロス」はキリスト教への言及。曲もゴスペルっぽいニュアンスがある。そしてイエス・キリストは、いまでいう中近東地域の人間だ。キリスト教というとヨーロッパ(と、その諸国が植民地支配した地域)のイメージがあるかもしれないが、もとからユダヤ/アラブ世界と密接なつながりがある。プリンスはそこを踏まえて曲創りをしたかのようだよね。そんな一曲。

 

 

3曲目「4 ザ・ティアーズ・イン・イン・ユア・アイズ」も似たような曲想だからいいとして、4「サンダー」、5「7」あたりは、ちょっと個人的妄想が過ぎるかもしれない。たしかにシタールなど入っているが、まあふつうのアメリカ音楽だよなあ。でも使用楽器のもたらす響きのおかげで、やや国外に出ているようなニュアンスも付いていると勝手に思っている。

 

 

ぼくはまだそんなに熱心には聴きこんでいないアルバム『レイヴ・アン2・ザ・ジョイ・ファンタスティック』から持ってきた6、7曲目には間違いないアラブ音楽香味がある。隠し味的に中近東要素が忍び込んでいるのは間違いないと思うんだよね。特に恋愛名曲「ザ・グレイテスト・ロマンス・エヴァー・ソールド」のほう。もちろん音楽家本人はしっかり計量して加えている。

 

 

その次の8〜11曲目『ラヴセクシー』からのセレクションが、今日のハイライトのつもり。以前も書いたが、アラブのミューズを呼び寄せまじわりたいというのがテーマのようになっているアルバムで(というのがぼくの見方)、それがプリンスの持つファンクネス、ポップさ、ロッカー要素などとあわさって渾然一体となっている大傑作だ。

 

 

選んだ四曲のなかでも、宗教儀式みたいな「アナ・ステシア」はことさらアラブのミューズ(との音楽家の関係)ということをはっきりと表現したものだし、またアルバムのラスト・ナンバーだから今日のプレイリストのクロージングでもある「ポジティヴィティ」なんか、なんだこりゃ〜、すごいなあ、まるで完璧なアラブ・ポップスじゃないか。クネクネうねりまくる旋律が幻惑的で、すばらしく妖しい魅力を放っている。

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コメント

プリンスの『ラヴセクシー』、2〜3年前、持ってなかったのでamazonで買ったのですが、最近のディスク(輸入盤)はトラックが1曲がづつ切れてましたよ。

情報ありがとうございます。じゃあちょっくら買いなおしてみますかねぇ〜。

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