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2018/11/13

ホレス・シルヴァーのカーボ・ヴェルデ・ブーガルー

 

 

なんだ〜こりゃ〜あ!すごいじゃないかホレス・シルヴァーの「ナットヴィル」(『ザ・ケープ・ヴァーディアン・ブルーズ』)!!恥ずかしながらさっきはじめて聴いたのだけど、ビックリしてしまった。タマゲちゃって、部屋のなかで瞬時に3メーターくらい飛んだよ。いやあ、すごいすごい!これを56年間も知らずの人生をやってきたなんて〜〜っ!!

 

 

そんでもって、ホレス・シルヴァーの父がカーボ・ヴェルデ生まれだということも、ついでにはじめて知った。シルヴァという姓らしいので、息子ホレスのシルヴァーはそれを英語ふうに曲げただけのものかもしれない。う〜ん、この出自のおかげで、かの傑作「セニョール・ブルーズ」(『6・ピーシズ・オヴ・シルヴァー』)とかが誕生したのかなあ。そのほかホレスにいくつもあるよね。

 

 

「セニョール・ブルーズ」その他はどうでもいい、今日はね。「ナットヴィル」と『ザ・ケープ・ヴァーディアン・ブルーズ』(ブルー・ノート、1965年10月録音、66年1月発売) のことだ。これは、かのレーベル公式プレイリスト『ブルー・ノート・ブーガルー』 #BlueNoteBoogaloo に入っていておかしくないワン・トラックだ。それには次作『ザ・ジョディ・グラインド』からタイトル曲が入っている。それもいいけれどもさ。

 

 

アルバム『ザ・ケープ・ヴァーディアン・ブルーズ』では、四曲、1「ザ・ケープ・ヴァーディアン・ブルーズ」、2「ジ・アフリカン・クイーン」、4「ナットヴィル」、5「ボニータ」が異様にカッコイイ。カッコよすぎるぞ、なんなんだこれは?!五人全員すごいけれど、いちばんはドラマーのロジャー・ハンフリーズだ。なんじゃこれ!?頭オカシイだろ〜、このものすごいドラミング、正気の沙汰じゃないよ。基本、ラテン調のものをやるときのアート・ブレイキーのパターンかなと思うんだけど、さらに大きく一歩、リズム&ブルーズ/ファンク方面へ踏み出しているよね。実際、その界隈の録音でも活躍した。

 

 

ボス、ホレス・シルヴァーのペンも冴えている。「ジ・アフリカン・クイーン」「ボニータ」はミドル〜スロー・テンポでのゆったり大きくうねるディープなグルーヴこそが命の曲かな。テーマ・メロディ演奏部のアンサンブルやテンポ設定&リズム・アレンジなどもいいけれど、ノリに身を任せ、各人のソロ、特にジョー・ヘンダスンとウディ・ショウの充実ぶりを聴いていればいいかなと。いや、でもこのノリはなかなか創れるもんじゃない。内側に折り込まれたスロー・ファンクだね。すごい。

 

 

もっとすごいぞと個人的に感じるのがアップ・テンポ・グルーヴァーのブルーズ二曲「ザ・ケープ・ヴァーディアン・ブルーズ」「ナットヴィル」だ。このアルバムでは後半三曲に J. J. ジョンスンがゲスト参加しているのだが、「ナットヴィル」のソロ一番手が JJ だ。しかしそれが出るまでのテーマ合奏部におけるロジャー・ハンフリーズのトチ狂ったようなドラミングで、はや興奮がピークに達してしまう。

 

 

JJ のトロンボーンも8ビート・ブーガルーなノリに見事ぴったり乗せてきている。背後でホレスが例によって跳ねるコードを弾くピアノ伴奏。ロジャー・ハンフリーズは狂ったまま爆進する。それらふたつは、二番手ウディ・ショウ、三番手ジョー・ヘンダスンの吹くあいだも同様にもりあげている。ちょっとだけ申し訳程度に4/4拍子のストレート・ジャズ・パートがあるが、無視してかまわない。ドラムス・ソロもあり。

 

 

アルバム・オープナーの「ザ・ケープ・ヴァーディアン・ブルーズ」は、同じく8ビート・ブーガルーなグルーヴ・オリエンティッド・ブルーズなんだけど、「ナットヴィル」よりもテンポを落とし身をかがめて、曲調にも哀愁感、言ってみれば(カーボ・ヴェルデふうな?)サウダージが漂っているじゃないか。ジャズ・オリジナル・ナンバーでこんなサウダージあふれるもの、ほかにあるのか?

 

 

ちょっぴりブラジル音楽っぽい部分も、曲「ザ・ケープ・ヴァーディアン・ブルーズ」にはあるので、テナー・サックスのジョー・ヘンダスンの旨味がとてもよく似合っているよね。ここでのウディ・ショウはアンサンブルにだけ参加、ソロはホレスとジョーだけ。しかし聴きどころはその内容というよりも、やっぱり曲調とグルーヴだよね。

 

 

いやあ、こんな「ナットヴィル」「ザ・ケープ・ヴァーディアン・ブルーズ」みたいなジャズ・トラック、聴いたことなかったよ。もんのすごいなんてもんじゃないね。音楽内容としてカーボ・ヴェルデ(ふう)なところがあるのかどうかちょっとわからないが、異様に鈍黒く光り輝いている大傑作に違いないと、一、二回聴いただけで確信できた。はっきり言ってショックだった。こんなすごいものがあったなんて。タマゲちゃったなあ。

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コメント

Stefon Harris Blackout の新作 "SONIC CREED" を買ったら、'The Cape Verdean Blues' 演ってました。ハチロクと4分の4のポリリズムがいい感じです。

あっ、それはぼくも買わなくちゃ!いつもながら、情報ありがとうございます。「ナットヴィル」も、だれかやってくんないかなあ。

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