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2018/11/05

somebody, scream! make some noise!

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ライヴ・コンサートの際、観客に極度の静寂を求める音楽家がある。どんどん歓声をあげろ!踊れ!と積極的にうながす歌手もいる。どっちが音楽ライヴのありようとして健全なのか?みたいなことはない。どっちもそれぞれ正常だ。音楽の種類、ありようが異なっているだけだ。だから、まあどっちでもいい話ではある。

東京時代に二度、クラシック音楽のコンサートに出かけたことがある。一度はカザルス・ホールで弦楽四重奏を、一度はサントリー・ホールでシンフォニーを、聴いた。自分が行きたかったからというよりも、当時は結婚していたので、妻の熱心な誘いに OK したというのが実情。二度とも、演奏中の客席は実に静かだったなあ。

キース・ジャレットらのああいった態度は、そういうクラシック・コンサートと同様の鑑賞芸術にジャズを持ち上げたいという、だから聴衆にも高度な静寂を求めるという、そういうことなのかもしれないね。なんでもジャレットのばあい、開演前に場内アナウンスみたいなのがあって、演奏中は決して咳払いひとつしてはいけません、だったかなんだかそんな注意事項が客に告げられるらしい。そして物音がすると、チッ!という態度で演奏を中断するそうだ。

現場で体験したわけじゃなくマスコミを通し伝え聞くだけだから軽はずみなことは言えないが、かりにこの情報が正しいものだったとするならば、ジャレットは頭オカシイのではないだろうか。みずからどんな心境でピアノに向かっていらっしゃるか、あんな超一流演奏家の内面をうかがい知るなど不可能でございますけれども、アホや。だってお金払って聴きにきてくれているオーディエンスに無用の緊張を強いて、それで自分の音楽を楽しんで帰ってもらえると思っているのだろうか?

こんなことがあった。大学生のころの現場での実体験だ。愛媛県松山市の小さなライヴ・ハウス、そう、満席でも50人は入らないだろうという程度の場所で、ある日本人ジャズ・ピアニストとベーシストのデュオ・ライヴがあって、聴きに出かけていったのだ。正確なことは憶えていないが、1980年前後だ。そのジャズ・メンがどなただっかのかは忘れてしまった。

しかし絶対に忘れられない事件が発生した。そのピアニストは、後年のキース・ジャレット同様の指示を、司会者を通し客席に出していた。演奏中は気が散るといけないから決して席を立たないでください、どんなことがあっても、と。それを聞いた瞬間、アホかいなと思いつつ、しかし我が身に関係ないことだからと、まあ右から左へと流しておいたのだ。

ところが演奏中に、隣席の知らない若い女性の様子が尋常ではないことになってしまった。着席したままオシッコをもらしてしまったのだ。あまりの恥ずかしさでとてもその場にいられないという感じだったけれど席を立ってはいけないとの指示だからそうまでなってもジッと座ったまま顔は真っ赤だった。さすがに慌てた会場関係者がその場をとりなしたけれど、強い尿意を感じても「演奏中は決して席を立たないように」との指示を守ろうとした、つまり音楽家の言うとおりにしようとした結果だ。

キース・ジャレットのオーディエンスには女性も多いと聞く。ジャレットはこんなおもらし行為を客に強いているのと同じなんじゃないだろうか。演奏の邪魔だと無用の超静寂を客に強い、しかし人間たるもの生理的反応や発音は避けられないのだがそれも我慢しようとし、結果、たいへんなことになってしまう(かどうか、ジャレットのコンサートでなにかがあったかどうかは知らない)。そうなれば、演奏家本人にとっても本末転倒のはず。

ひるがえってブラック&ラテン・ミュージックやアイドル歌手のライヴ・コンサートでは、事情が正反対だ。ステージ上の歌手たちも声をあげ手を振り、客席に反応を求める(ばあいによっては強いる、笑)。客席で体を動かし揺するばかりか激しくダンスすることも日常茶飯で、演唱中だろうが前だろうが終了後だろうが、客席から大きな歓声と拍手と怒号と…、つまりなんでもかんでもにぎやかに音を出し声をあげ、ステージへレスポンスする。

そう、コール&レスポンスだよね、こういったブラック&ラテン・ミュージックやアイドル歌手のコンサートはね。相互通行の作用で両者ともに一体化し、高まっていく。興奮し、快感を得、楽しんで、カタルシスに至り、満足して帰っていく。クラシック音楽やジャレットさんのコンサートが一方的におしいただくものであるのとは真逆だ。

ステージ上も客席も、わいわいにぎやかでやかましい、相互両方向の呼びかけがさかんである、おたがいが叫び合って手を振りあってにこやかにやる、激しくダンスする、ステージ上の音楽家たちはそれをうながすべく積極的に発言し動く 〜〜 そんなライヴ・コンサートこそが<タダシイ>音楽生現場のありようだ、などとはつゆほども思っていない。だけど、ぼくはすくなくともそういうのが好きだ。

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