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2018/12/11

2018年ジャズ最高傑作かも 〜 イチベレ・ズヴァルギ

このアルバム、これも、またしても、bunboni さんに教えていただきました(こんなことばっかでいいのか?ごめんなさい)。ありがとうございます。ぼくもたぶん2018年のジャズ最高傑作かなと思っています。
ブラジルのジャズ・ベーシスト、イチベレ・ズヴァルギ(Itiberê Zwarg)。といってもぼくは今回のこの2018年新作ではじめて出会った人だけど、その2018年新作『intuitivo』がすばらしすぎる。なにがいいって、まずアンサンブル主導で進むところ。これ、譜面は、たぶんイチベレがぜんぶ書いているんだろうなあ。それが複雑高度で難度が高いんだけど、グルーポのメンバーは全員平気な顔をしてサラリとこなしているのが、またすごい。ばんばんキメまくるのが超快感だ。

楽器ソロも当然あるけれど、ソロまわしを音楽展開の軸には据えていない。ソロはあくまでチェンジ・オヴ・ペースっていうか、ほんの彩り程度に添えられるだけで、そのへんも従来型のジャズ・マナーとは大きく異なっている。ソロに充てられている時間だってかなり短い。アンサンブルのあいだを縫うようにしてすこし走る程度なのが、音楽全体の構築美とテンションを高く維持する結果となっていて、とってもいいね。

この点では、このバンドの名前を出すと抵抗を受ける可能性もあるけれどウェザー・リポート。特にジョー・ザヴィヌル体制が固まった時期以後のウェザーに相通ずるものがあると、ぼくは聴く。事前に完成品となっていた作編曲譜面があって、それをバンド・リハーサルで練りこんでいって、あくまで音楽のメインはアンサンブル、ソロは脇役程度でちょっぴり、全体の緊張感あふれる構築美重視で、難度の高い演奏をバンド全員がキメまくってこなす 〜 どう?イチベレとウェザーにはかなり共通項が多いよ。メロディ・ラインに湿り気のある情緒性が薄く、だから歌心もなく、メカニカルに上下することがほとんどだっていうのも同じ。

あっ、こう書くと、フランク・ザッパの音楽にも似ているよなあ、イチベレ・ズヴァルギ。イチベレのこの新作で、ウェザー・リポートやザッパを連想する音楽ファンがどれだけいるのかわからないが、愛好家であるぼくの感触では間違いないように思える。っていうか、イチベレのこの新作についての文章ををたくさんはちゃんと読んでいないから、みなさんどうお感じなんだろうかわからない。ちょっぴりビ・バップ・ミュージック的でもあるよね。あ、そういえばザッパとビ・バップは…、いや、今日はやめときます。

中身の音楽がどんなものなのか、具体的なことはいちばん上でリンクした bunboni さんの文章に書いてある。ぼくは同感で、付け加えることがないように思うから、そちらをお読みください。『イントゥイチーヴォ』でのイチベレは、ベースだけでなく、ピアノ、クラヴィネットなど複数楽器を担当。声も出している。演奏メンツは曲によって大きく変わるが、ホーン・アンサンブルはリード楽器で構成されているみたいで、金管の参加はない模様。

色彩感がアルバム全体のなかではやや異なっているかなと思うのが5曲目「ノイビーラ」。これはイチベレ(ピアノ)とマリアーナ(フルート)両ズヴァルギの完全デュオ演奏。アルバムのなかではこの曲にだけ湿ったぬくもりのある歌心が感じられ、ちょうどピシンギーニャが自分の曲を吹いているのにやや似た印象を持った。そう、この5曲目だけ、ややショーロっぽい。大好きだ。

でもこんな感じは、アルバム『イントゥイチーヴォ』のなかでは例外。ほかは乾いて硬質な難度の高いジャズ・アンサンブルを、そのあいだにほんの短いソロがはさまりながら、メンバーがビシバシとキメまくり、聴いているこっちまで快感のめまいを起こしそうなほどスリル満点の音楽に仕上がっている。イチベレやメンバーのヴォイスの使いかたも効果的。いやあ、気持ちいいったらありゃしない。

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