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2018/12/09

どう聴いても、マンハッタン・トランスファー・シングズ・カルメン・ミランダで、最高だ

このアルバムを教えてくださったのは、またしても bunboni さんです。感謝します。年齢やキャリアでものごとを判断することをぼくはしませんが。ありがとうございます。
通算二作目らしいオルジナリウス(Ordinarius)の『Notável』(2017)。これが楽しいことこの上ない。楽しいことしかない、そればかりっていう作品で、いいなあこりゃ〜。オルジナリウスというブラジルのヴォーカル・コーラス・グループのことは今回はじめて知ったけれど、CD 附属のリーフレットには男女七人が写っている。ハーモニーの組み立てはきわめてオーソドックス。それでとりあげているのが、新作ではカルメン・ミランダのレパートリーなんだなあ。聴くしかないっしょ、こりゃ〜。そして、降参しました、あまりの楽しさに。

このオルジナリウスというヴォーカル・グループは、ぼくの聴くところ、現代ブラジルのマンハッタン・トランスファー(アメリカ合衆国)だね。男女混成で、ハーモニーの組み立てにちょっとでも前衛的なところはなく、きわめてオーソドックス。その国のポップ・ソングの伝統にのっとって、古い曲もストレートかつきれいにカヴァーして、あくまで楽しく、わいわいがやがやとにぎやかに、ときどき切なくしんみりと、ポップにわかりやすく楽しく聴かせる 〜 なにからなにまで同じじゃないか:マンハッタン・トランスファーとオリジナリウス。

CD パッケージにはパーカッショニストだけ楽器奏者がクレジットされている。実際音を聴いても伴奏はそれだけだね。でも生演奏の打楽器だけでなく、コンピューター・サウンドも混ぜてあるみたい。間違いないと思うんだけど、でも100%伴奏はそれだけ。あとはぜんぶがヴォーカル・コーラス。それも(bunboni さんの言葉をお借りすると)シャバダバっていう例のあたりまえなふつうのやつ。ポップでわかりやすく、聴きやすく、そして(たぶん)世界のいたるところにある。

ああいったヴォーカル・ハーモニーの重ねかたが全世界で聴けるのは、たぶんキリスト教会音楽のおかげってことかなあ。クラシック音楽界のものだってそうだしね。以前、インドはゴアのヴォーカル・コーラスのことを書いたけれど(葡トラジソン社の例のシリーズ)、やはり同じようなものだった。あれは植民地支配したポルトガルの教会コーラスが持ち込まれたんだと思うけれど、ブラジルでこうやってオルジナリウスみたいなのが聴けるのもポルトガル由来?あるいはアメリカン・ポップ・コーラスも入り込んでいる?

そのへんの理屈は、でも今日はいらないね。ただたんに聴けば楽しい、気分ウキウキで上々に陽気でいられるオルジナリウスのカルメン・ミランダ曲集。たったの35分程度しかないけれど、この短さもこじんまりした宝石の輝きを思わせて、とてもいい。でもこれ、商品のどこにも Carmen Miranda の文字は一個もない。だから気づかないひとがいるかもだけど、それでもオッケーだと思う。楽しんでもらえさえすれば、それでいいと思うんだよね、こういう音楽は。

でも随所にピリっとした工夫は施してある。たとえば大好きな7曲目「サンバとタンゴ」は、メイン・メロディが出る前にヴァースみたいなのがくっついているし、その後も(たぶんタンゴつながりということで)カルロス・ガルデルの「Por Una Cabeza」が出てくる。9曲目「Touradas Em Madrid」の最終盤では、ベートーヴェンの「歓喜の歌」(交響曲第九番)が歌われる。

これまた大好きな8曲目「Adeus, Batucada」では女性がおやすみで、男声コーラスのみ。10曲目「O Que É Que A Bahiana Tem」では、やはりリズムの感じがサンバというよりアフロ・バイーアな雰囲気なのも楽しい。曲じたいはアルバム中いちばん古い、有名な11「Tico Tico No Fubá」では、ちょっぴりエキゾティックに、でもカルメン・ミランダが持っていた愉快な軽みさをうまく再現できている。

パッとすぐぜんぶ聴けるし、聴きやすくわかりやすく楽しいし、オススメのポップ・アルバム!

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