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2019/01/12

ヴォイシズ・オヴ・ミシシッピ(2)〜 ゴスペル篇

 

 

2018年のダスト・トゥ・デジタル盤『ヴォイシズ・オヴ・ミシシッピ:アーティスツ・アンド・ミュージシャンズ・ドキュメンティッド・バイ・ウィリアム・フェリス』二枚目のゴスペル篇もビル・フェリスみずからの採取で、録音時期は CD1のブルーズ篇とほぼ同じ1966〜78年。

 

 

収録されているゴスペル・ソングは、教会での合唱(マス・クワイア)もあれば、教会のサーヴィス現場での音楽を録音したのかと思えたりするものもあり、また少人数編成(しばしば家族グループなど)による、いわゆるカルテット・スタイルにやや近いようなものもあり、さらにひとり(かごく少人数)での弾き語りブルーズと区別しにくいような、すなわちギター・エヴァンジェリスト的スタイルでやっているものもある。

 

 

実際、かなり大きな歓声と拍手が飛んだりするトラックも多いし、そうでなくとも音響があきらかに教会でのそれだとわかるものだってあるので、そういったものはやはり教会やどこかの集会場みたいなところでのゴスペルの現場録音なんだろうね。と思ってからブックレットを読んでみたら、やはりそうだった。ぜんぶ録音場所や教会名が記載されてあるじゃないか。最初から見ておけばよかった。

 

 

『ヴィイシズ・オヴ・ミシシッピ』CD2収録のゴスペル録音も全体的に大いに楽しめるものだけど、ものがものだけに、うんまあ CD1のブルーズだって日常生活での現実的効用があったと思うんだけど、CD2のゴスペル篇だとそれがより一層顕著だと、聴けばわかる。

 

 

まったく救われないだとか陽がささないだとかあなたの罪だとか、そういった歌もたくさんあるが、そう歌うことにより、ある種のカタルシスを得るものなんだろうし、もっと違った種類の、前向きの肯定感、生きる意味を強く再確認して喜びを歌いあげているようなものは、激しいビートをともなっていてもいなくても、強く高揚する。そういった直截的にポジティヴなゴスペル・ソングが、ぼくは本当に好きなんだ。

 

 

南部ミシシッピの黒人民俗共同体内部でも、やはり同じような高揚があって効用が働いていたはずだ。『ヴィイシズ・オヴ・ミシシッピ』CD2収録の、教会や集会場、公民館みたいな場所での現場録音ものなどだと、それがクッキリと伝わってくる。それに、そんな<ゴスペル>の意義なんか抜いても、たんに、純に、ビートの効いた音楽として、聴いて踊れば快感だ。そう、実にダンサブルなんだよね。

 

 

この一枚のなかで、ぼくにとって特に高揚するやつが、以下の五曲。

 

 

・You Don't Know Like I Know

 

・So Glad I Got Good Religion

 

・I Know The Lord Will Make A Way (Yes He Will)

 

・We're So Glad To Be Here

 

・Glory, Glory (Lay My Burden Down)

 

 

なかでも二曲、「ユー・ドント・ノウ・ライク・アイ・ノウ」「グローリー、グローリー(重荷をおろす)」だなあ、カッコイイのは。なんなんだこの昂まりは。実際、このふたつを聴くと、自室のなかでぼくはどんどん激しく腰や膝や肘、腕、指を動かしてダンスしている。こうやって(アメリカ南部黒人も)日常の辛苦を忘れていくのだな。

 

 

いずれも伴奏楽器は必要最小限しかなく、だいたいがヒューマン・ヴォイスとハンド・クラップで構成されているサウンドも、素朴なようでいて、実は21世紀的にも卑近なアピール力を持っているかのように聴こえる。「グローリー、グローリー」のほうなんか、現場会衆はもちろん CD(や配信)で聴くだけの聴衆をも、有無を言わさず納得させるだけのものがあるなあ。

 

 

ものすごいのひとことだけど、南部黒人フォーク・ライフのなかにある説得力が普遍性を持つということなんだろうなあ。すなわち、生きるということ。それが持つパワー。

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