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2019/01/08

みなさん、イマルハンをもっと聴いてくれませんか

一時期70分超もあたりまえだった音楽新作 CD の収録時間が、ここ最近ぐっと短めになってきていると思いませんか。ぼくは鈍感だから、ようやく気がついた。昨年暮れのマライア・キャリー新作もブラジル三題もそうだった。今日話題にしたいイマルハンの2018年作『Temet』も約41分間。やっぱりこれくらいが集中して聴きやすく、気軽になんどでも聴けるし、いいね。レコード時代への回帰?

イマルハンは、サハラのトゥアレグのギター中心の、いわゆる砂漠のブルーズに分類されるバンドだけど、以前書いた一作目からして、ぼくのなかではティナリウェン以上に魅力的だった。二作目になる2018年新作『Temet』で、ますますその感を強くした。ひょっとしたらこの手のあまたあるトゥアレグ・ギター・バンドのなかでの、ぼくの最大の好物かもしれないとすら思う。

いくつか理由をぼくなりに考えてみたので、整理してみよう。

・ドラム・セットが使われている
・ビート感がとても強く、アップ・テンポで激しくグルーヴするものが多い
・リード・ヴォーカリストの発声や歌いかた、というかコブシまわしが浪曲〜演歌的で好み
・っていうかつまりアラブ歌謡ふうだ
・それらの結果、強い高揚感がある

この五点は密接に関連している。四点目までを総合した結果五点目があるわけ。決定的なのが、ぼくにとってはヴォーカルのこと。ティナリウェン他とここが決定的に違っている。ティナリウェンのイブラヒムらは、うつむいてポツポツ落としていくようなフラグメンタリーなことばの発しかたなんだけど、イマルハンのサダム(Iyad Moussa Ben Abderahmane)は強く朗々と声を張るスタイル。ここが好き。いわばアメリカのソウル・ミュージックや、だから浪曲や演歌の歌手にも近い。

それでありかつ、曲のもとからのメロディにアラブ歌謡ふうというか、ムスリム音楽的というべきか、そんな粘っこさがあるんだよね。サダムのフレイジング、コブシまわしにもそれがあるかも。それをドラム・セットなども使いながら強く激しいリズムに乗せてグイグイやるっていう、つまり米ファンク・ミュージックにも通じるような、そんな高揚感だってあるじゃないか。

新作『Temet』にもアクースティック・ギターを使ったフォークっぽいもの(7、10曲目)があったり、またトゥアレグ・ハリージ(ハリージとはペルシャ湾岸ポップスのこと)みたいなというべきか、リズムがヨレてつっかかるような9曲目「Zinizjumegh」 があったりもするけれど、あくまで中心はストレートなハード・グルーヴ・ナンバーだ。

たとえば地を這うような重厚なエレベのリフではじまるトゥアレグ演歌の1曲目「Azzaman」もそう。シングル・トーンのエレキ・ギターの小さめの音で反復リフが入っているのも印象的だ。また3曲目「Ehad wa dagh」、6「Tumast」なんかのビートの強さ、グルーヴの激しさは特筆すべき。しかも聴きやすいポップさだってあるから、米英のポピュラー・ミュージックに最もなじみがあるぼくだってすんなり入っていける。たぶん、多くのみなさんがそうじゃないだろうか。

そうかと思うと、トゥアレグ・グナーワとでも呼びたいような雰囲気のものもあったりして、なかなか多彩なイマルハンの新作『Temet』。ここまで書いたような傾向は、それまでの(いわゆる)砂漠のブルーズのバンドにはなかったものだと思うんだ。ここまで実力が高く、楽しくおもしろく、聴きやすく、しかも CD が簡単に買え配信でだってすぐ聴けるトゥアレグ・ギター・バンド、イマルハンが、どうしてここまで話題にならないのか、不思議でならない。

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