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2019/01/24

すごい、このンゴニの音!〜 タラウィット・ティンブクトゥは振動がすべて

タラウィット・ティンブクトゥ(Tallawit Timbouctou)の2018年リリース作『Hali Diallo』。見開きジャケットを開いた左側に記載の情報によれば、録音は2011年のものらしい。どうして七年間も眠らせてあったのかはぜんぜんわからないが、この音楽、すごいぞ。マリ北部の砂漠のトゥアレグの、と書くとギター・バンド、砂漠のブルーズ、とリプが来そうだけど、ここではギターじゃない。ンゴニ(ここでの名、テハルディン)だ。それも激しく電気アンプリファイドされている。そ〜れが!しびれるほど魅力的!!

それで、このアルバム『Hali Diallo』は、いちおう10個にトラックが切れていて、曲名もつけられているが、これたぶん「一個の」演奏なんだよね?そう、たぶん間違いない。メドレーのノン・ストップ状態というよりも、一つ、一曲の演奏だからこうなっているんだと思う。たぶん、なんらかの現場、儀式かなにかで延々とやっているような、そんな音楽なのかもしれない。だから45分間ずっと一個なんだろう。モロッコの儀式グナーワなんかと同じで。

『Hali Diallo』のタラウィット・ティンブクトゥは三人編成。テハルディンだけど便宜上ンゴニと呼ぶが、それが二台。うち一台はベース役。そのほか一名が打楽器カラバシを担当している。アルバムの音を聴くと、おそらく多重録音などいっさいなしで、このトリオだけによる現場での即興演奏をそのまま録音したものなんじゃないかと思う。

そのインプロヴィゼイションも、聴くひとによっては単調だとかワン・パターンだとかとらえられてしまうかもしれないものだけど、とんでもない。こんなシビれる音楽の反復形式はないんだよね。アフリカ音楽だとこういった高揚や興奮があたりまえのものだ。特にカラバシのサウンドがズンズン、バシバシ決まって、ビートでまいっちゃう。

でもしかし、ぼくにとってのこのタラウィット・ティンブクトゥ『Hali Diallo』は、メイン・パートを弾き歌う Aghaly Ag Amoumine の魅力がほぼすべて。特にンゴニだなあ、シビれちゃうのは。ヴォーカルのほうは、全45分間でほぼ出てこないと言いたいほどあまり入らないし、歌っているあいだもどうってことないんじゃないかな。でもちょっと典型的な砂漠のブルーズ・バンドのヴォーカリストっぽいトーキング・スタイル。

それよりなにより、このンゴニの音だよ、このアルバムは。こんなンゴニの音、聴いたことありましたっけ?電気アンプリファイドされているけれど、激しくひずんでいる。間違いなくなにかのエフェクターをかませてあるよなあ。ファズとかディストーション系かオーヴァードライヴかを。それで、こんな、まるでハード・ロック/ヘヴィ・メタルのエレキ・ギタリストが出しそうなンゴニ・サウンドになっている。

こういったひずみまくった音が、も〜う!大好物だから、ぼくは。喩えて言えば、まるでマラハティーニのあの声そのままをンゴニに移植したような、そんなサウンドでビリビリ空気が振動して、こ〜りゃ快感だ。しかもアルバム『Hali Diallo』の全45分間、まったくやむことなく、こんなディストーティッド・ンゴニがビリビリ鳴り続けているんだもん。快感すぎて、もう一気に駆け抜けて、聴き終えたら爽快感すらある。

ビリビリっていう振動がすべてのタラウィット・ティンブクトゥ『Hali Diallo』。いわゆる砂漠のブルーズ愛好家にもアピールできる内容だし、ハード・ロック好きにもいけるし、西アフリカのンゴニが好きなかたには、それがここまでの音に化けているのか!と、興味本位で入っていけるかもしれないし、なんたってこのひずみまくった音のノン・ストップ状態45分間でイキっぱなしになるし、こんなに気持ちいい音楽がほかにあるのか。

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