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2019/01/21

「どんな気分だい?」なんて言わないし 〜 マイ・フェイヴァリット・ディラン

 

 

ぼくのいちばん好きなボブ・ディラン、それは『ジョン・ウェズリー・ハーディング』(1967)と『ナッシュヴィル・スカイライン』(1969)の二枚だ。とても雰囲気が似ている。コンサヴァティヴ、というと拒否反応を示すロック・ファンもいそうだけど、そんなおやだかなムード、衣装がぼくはとても好き。落ち着いているし、ゆっくりくつろいでいるような、そんな音楽じゃないか。とがったところや激しさや攻撃性がない。だから、いま、この二枚がとっても好き。

 

 

曲のつくりもバンドの楽器編成や演奏スタイルも、この二枚ではよく似ている。基本カントリー(・ロック)なテイストで、ペダル・スティールやエレキ・ギターも隠し味的に入るけれど、根本的にはアクースティック楽器で編成されたおだやかサウンドだ。『ジョン・ウェズリー・ハーディング』のほうでは、ディランがハーモニカもたくさん吹く。

 

 

シンプルなラヴ・ソングがたくさん含まれているのも特色で、ぼくがこの二枚がとても好きだと感じる要素。たとえば、『ジョン・ウェズリー・ハーディング』にある「今宵ぼくは君のもの」(I'll Be Your Baby Tonight)、『ナッシュヴィル・スカイライン』にある「君とふたりっきり」(To Be Alone With You)、「今夜は君とずっといっしょにいるよ」(Tonight I'll Be Staying Here With You)などなど。

 

 

こんなわかりやすい恋愛曲を、おだやかでやさしくソフトな演奏と歌い口でディランがやってくれる。挑発的で好戦的な衣を脱いで、普段着のやわらかさを出した彼が、人生や生活で傷ついた聴き手のささくれ立ったつらいメンタルを、そっと慰撫してくれているかのような、そんな心地がする。

 

 

だから、今後もなにかあったら、この二枚を一個にしたプレイリストの、約1時間4分を聴こう。繰り返し繰り返し、聴こう。それで生きていける。

 

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