すばらしく完璧だった岩佐美咲、新曲発売イヴェント、2 days in 東京
すでに聴いちゃったようなといえば、でも実際そうなんです。それも美咲のなま歌でね。とくに美咲ファンじゃないかたもお読みになる可能性をふまえ、いちおう書いておきます。美咲のニュー・シングル「恋の終わり三軒茶屋」が、ついこないだ2019年2月13日に発売されました。美咲のためのオリジナル新作曲「恋の終わり三軒茶屋」と、カップリングで四曲「別れの予感」「あなた」「お久しぶりね」「恋の奴隷」が収録されています。
それで発売記念のイヴェントというかキャンペーンがどんどん行われるわけですが、そのうち最初の二日間、四回に参加したというわけです。今回はなにかあるぞと、1月26日のソロ・コンサートで新発売予定の五曲を聴いたときから、なんらかの勘が働いていました。それで急遽参加しなくちゃ!という気持ちになったのです。これに行かずしてどれに行く!?とね。以下は現場におき自分でメモしたセット・リストです。
2月13日
・音のヨーロー堂(浅草)
1. 鯖街道
2. 瀬戸の花嫁
3. お久しぶりね
4. 恋の終わり三軒茶屋
・アキバ・スクエア(秋葉原 UDX)
1. 無人駅
2. 恋するフォーチュンクッキー(演歌 ver)
3. 別れの予感
4. 恋の終わり三軒茶屋
2月14日
・音曲堂(小岩)
1. 鯖街道
2. 東京のバスガール
3. あなた
4. 恋の終わり三軒茶屋
・タワー・レコード浦和店
1. 初酒
2. 虹をわたって
3. お久しぶりね
4. 恋の終わり三軒茶屋
まだ聴けていないんだから新作 CD の話はできません。がしかし、新曲発売にあわせ都内や近郊で行われている岩佐美咲のキャンペーンの初動に駆けつけて、実際に美咲のなま歌で、「恋の奴隷」以外をすべて体験できましたので、その姿を記しておくとします。いやあ、マジほ〜んとすんばらしかったんですよ〜。やはり年に一回の(カウントされる)ソロ・コンサートと、それからこれも年一回の新曲発売記念イベントは、美咲自身の気持ちが乗っていますね。すばらしさがまったく違います。
結論から言って、上記16歌唱はほぼすべて完璧な絶品でした。こないだ1.26のソロ・コンサートのへんから実感していたんですが、美咲は最近グンと大きく成長しました。どこにそれを感じるかというと、なによりもその声の質です。いままではわりとアイドル出身歌手らしい素直なキュートさがメインだったと思うのですが、2.13、2.14に聴いたら、可愛らしさはそのままなんですが、大人らしい落ち着きと色気と艶と張りと伸びがグンと増していました。
しかも、ナチュラルさはまったく失っていないどころか、そんな自然体歌唱法にいっそう磨きがかかったという印象の二日間でした。特にワン・コーラス終わりで声を伸ばしながらスーッとデクレッシェンドしていくあたり、これ以上ない声の美しさでした。過去楽曲で大きな進歩を聴かせ(だから、いままでのヴァージョンでは物足りなく感じてしまうと、ホテルの部屋で聴きながら思っています)、新発売楽曲ではまだ聴いていないので楽しみがふくらみました。いやあ、ここまでの歌手になっているとはねえ。
歌唱技巧という点でも、もはや現在の日本歌手のなかでもトップ・ランクにまで到達しているのは間違いないと、これも二日間で実感しました。まず、計16歌唱、音程を外すということが一瞬たりともありませんでした。ライヴでですよ。ふらつきやあいまいさすらぜんぜんなく、あらゆるすべての瞬間でピッチが正確でした。いくら美咲でもなま現場ではいままで揺らぐこともあったのです。それがきれいに消えていました。
音程がきわめて正確なばかりか、たとえばワン・コーラスの歌い終えで高音部になるとき、あれはファルセットに移行しているときがあると思うんですが、「思うんですが」というのは、一瞬そうとは気づかないんです。これはすごいことですよ。地声とファルセットはふつうの歌手では声の色が異なりますからね。ところがこの二日間の美咲は、ファルセット移行時に声のトーンをほぼ変えずに、きわめてスムースにすっと上昇するのです。最高級の巧さじゃないでしょうか。美咲を聴き慣れていないかたなら、ファルセットだと気づかないと思います。
2.13、2.14では、フレイジングにも特に誇張も強調もなく、抑揚も大きくなく、ふつうに歌メロをナチュラルに歌っていて、だからわざとらしさがぜんぜん感じられず、きわめて素直で自然なフィーリングで美咲は歌っていました。それなのに、客席にいるぼくたち聴き手のメンタルにこれ以上ないしっかりした印象を残すあざやかさだったんです。こんな芸当ができる歌手が、いま現在の日本で、ほかにいるのでしょうか?美咲こそナンバー・ワンじゃないでしょうか?
昨年11月の四国での歌唱イヴェントの記事を書いた際、やはりこういったなま歌現場ではアピールしないといけないから気持ちが入って、フレイジングを工夫してやや大きめに抑揚をとったり表情が豊かになるんですね、という意味のことを書きました。しかしこの二日間、2.13、2.14ではまったく違ったイメージです。現場でのなま歌唱であるにもかかわらずナチュラル・メイクな(あるいはすっぴん?)歌表現で、素材(歌)のよさをそのまま活かすように自然に、ある意味軽くすっと声を出し歌っていましたからね。
そんな軽くすっと出した声に、あんなキラキラした色艶がこもっているのですから、これはもう、岩佐美咲という歌手本来の持ち味がそこまで上昇している、歌手として大きく成長しているというなによりの証拠じゃないでしょうか。ぼくはそう考えています。今2019年に入ったあたりから美咲は変貌しました。成長を遂げました。巧さと表現力に深みをグンと増しました。
観客の反応からもそれはわかりました。たとえば浦和でのイヴェントは、店内の小スペースでのもので、タワレコさんも営業中で関係ないお客さんもたくさんいるということで、いつものようにレスポンスできず、「わさみん」コールはなし、掛け声もほぼなし、拍手も控えめで、というものでしたが、美咲が歌い終えると、オオォ〜という反応が客席に自然に湧き、思わずという感じで自然発生的に拍手が起こっていましたからね。すなわちいつもの<応援>ではなく、歌があまりにもすばらしすぎたため拍手してしまうという感じだったんです。2.14 タワレコ浦和店での美咲は神がかっていましたねえ。
こんな美咲の歌の姿、2.13、2.14と二日間で計四回16歌唱聴けた岩佐美咲こそ、この歌手の真の姿、真のすばらしさなのか、しかもそれが普段着なのと思うと、愛媛に住んでいてなかなか足を運べないぼくはなんだか悔しい思いすらありますが、ここまで見事な美咲を聴いちゃったら、またちょくちょく、は無理にしても可能な範囲で上京せざるをえないでしょうね。やはりホーム・グラウンドでの歌はリラックスした状態で声のよさがすっと出せるんでしょうね。そんな気がしました。
さあ、もうすぐホテルをチェック・アウトしなくてはなりません。自宅に戻って新発売の CD 三枚を聴くのがおおいに楽しみです。特に「恋の奴隷」(奥村チヨ)はなま歌で聴けませんでしたしねヾ(๑╹◡╹)ノ。
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コメント
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神がかったわさみんの唄を聴きたかったです~
最近のわさみんは、歌唱そのものの成長も凄いですが、ソロコンサートやCDリリース日などの重要な日にピークを持ってくるのもうまくなりましたね。
人間なので、どうしても体調の好不調があるのですが、管理できるようになったと思います。
昔は大勢のお客さんの前で失敗して、謝って唄い直すこともありましたが、最近は安心して聴くことができますね。
投稿: わいるどさん | 2019/02/16 20:38
ぼくは約二年ほどのわさ民歴しかないので、むかしの姿を知りません。がしかし、たった二年間だけで比較しても、著しい成長を聴かせているなとよくわかります。生現場でも余裕たっぷりに感じられますし、こないだのソロ・コンでも序盤で MC の大失敗がありましたが、歌にはまったく影響なしでしたよね。
2/13、14は、昨年の四国や岡山で体験した生わさみんの生歌唱イヴェントとはまったく比較にならないすばらしさでした。地元関東だからなのじゃないか?と思うと、ちょっぴり悔しいですが。
投稿: 戸嶋 久 | 2019/02/16 20:44