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2019/02/17

抒情的な、どこまでも抒情的な、レー・クエン 2018

 

 

 

(ぜんぶ聴けます)

 

 

ここのところレー・クエン(ヴェトナム人女性歌手)は、ずっとだれかのソング・ブックを歌っている。一枚の新作につき一人といった具合で。いつからそうなったんだっけ?2014年作『Vùng Tóc Nhớ』がヴー・タイン・アン曲集だったあたりから?もう忘れちゃったけど、この路線でほぼずっと来ている。しかもその2014年作を最後に、CD パッケージが豪華なトール・ボックス仕様となった。

 

 

2018年新作『Trịnh Công Sơn』ではさらに、前作同様、一曲につき一枚づつ歌詞が印刷された綺麗なポスト・カードのようなものが封入されていて、それにはレーの美しい姿もプリントされたカラフルさで、(CD パッケージ全体も)豪華で贅沢のひとこと。『Trịnh Công Sơn』は12曲だから12枚。なかにはここで歌われている作家の写真を見上げているショットもある。

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2018年新作『Trịnh Công Sơn』で取りあげられた作家はチン・コン・ソン。そのままアルバム題になっている。このこともずっと続いている傾向だ。続いているといえば最大のものは、レーのこのあまりにも濃厚で抒情的な歌い口だ。これこそレーをレーたらしめている最大の特長。このおかげで、悪く言えばどのアルバムも同じ重苦しさに聴こえ、いっぽうファンにとっては変わらぬ情け深い味わいを楽しめて極楽となる。

 

 

サイゴンで活動したチン・コン・ソンには反戦歌などプロテスト・ソングみたいなものもあるそうだけど、レーがそういった歌をやるわけないので、2018年作『Trịnh Công Sơn』でとりあげているのは、もちろんラヴ・ソングばかりだろう。ヴェトナム語の歌詞の意味は聴いてもわからないが、そうに違いないというフィーリングは、聴けば全世界が納得する。

 

 

2014年作以来ずっと変わらないレーのこの濃厚抒情歌謡路線、ヴェトナムではボレーロと称される種類のもので、必ずしもキューバやスペインのボレーロと関係なさそうだけど、同国の女性歌手がこんな感じのラヴ・ソングを雰囲気を出してやっているのをくくってそんな言いかたになっているのだろう。レーの2018年作『Trịnh Công Sơn』でも同じ。

 

 

この重たく湿度の高い空気感、高域よりも中低域で漂ってひきずるようにフレーズをひっぱりまわす歌いかた。レーはなにも変わっていない一貫性で、ぼくみたいなレーのファンはこれが聴けたら大きく安堵のため息をつき、この世界観にどっぷりと身をひたすことができ、快感だ。反面、苦手とするかたがたは苦手だろうなあ、こういったちあきなおみのような濃厚抒情歌謡世界は。

 

 

このへんはたんなる好みの問題だから、いい悪いなんてない。ぼくはレーのこのハスキーなアルト・ボイスが低音域中心で重たく湿って漂うように歌いまわすのがたまらない好物なんだ。気持ちいいんだよね。でもこの2018年作、軽いラテン・タッチだってなかにはある。たとえば7曲目「Dấu Chân Địa Đàng」はわりと鮮明なラテン・リズムを使ってある。

 

 

それでも軽妙な感じにはつながらず重たいまななのがレーのレーらしさだけど、ぼくは好きだよ、こういった持ち味とフィーリングと表現法。ラテン・リズムはほかにも随所で(隠し味的にでも)活用されていて、はっきり言えばキューバの特にアバネーラと、ブラジルのボサ・ノーヴァのふたつの応用だけど。う〜ん、この二種の全世界的拡散浸透力には驚くねえ。

 

 

全体的には、やはりやや大げさな大映の昼ドラのサウンドトラックみたいなレーの2018年作『Trịnh Công Sơn』なんだけど、「サイゴン暮色とでも言いますか、抒情と憂いが混じり合ったようなチン・コン・ソンのスロー・メロに乗せ、ゆったりと弧を描くような歌声を、いつものあの節まわしを、独特なアルト・ヴォイスで聞かせる」(© エル・スール原田さん)ということになるだろうか。クオリティの高さは安定して維持しているしね。

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