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2019/02/15

パリのブラウニー(3)〜 歌こそは君

 

 

(今日の文章は定説をなぞっただけになりましたので、お読みいただく価値はありません)

 

 

『ザ・コンプリート・パリ・セッションズ Vol. 3』の聴きどころは、やはりなんたって大半を占めるワン・ホーン・カルテットもの。それを Spotify でさがすと、これまたマスター・テイクしか見つからなかった。がしかしそれでじゅうぶんかもしれないね。ブラウニーほどの天才でも別テイクでさほどの差は聴けないからだ。じゃあチャーリー・パーカーみたいなのは天才というよりやっぱり分裂症?これは関係ない話だった。

 

 

ブラウニー1953年パリ・セッションのハイライトは、おととい書いたようにぼくのなかではビッグ・バンドによる「ブラウン・スキンズ」2テイクスなんだけど、一般的にはこのカルテット演奏六曲こそ白眉だろう。朗々とブラウニーが吹きまくるジャズ・トランペットの醍醐味をこれでもかと満喫できるんだから、ぼくだってこの見方に異論はない。

 

 

1曲目「ブルー・アンド・ブラウン」出だしの無伴奏パートから、はやくもこのブリリアントな音色がきわだっているが、その後リズムが入ってきてからでも、あるいはこのパリ・セッションに限った話じゃないけれどいつでもブラウニーのサウンドは、歯切れいい。きわめてよすぎると言いたいくらいなもんで、ちょうど滑舌良好なアナウンサーの実況でも聴いているような快感。ブラウニーのばあい、たぶん、タンギングが見事だからなんだろうなあ。

 

 

「ブルー・アンド・ブラック」は自作ナンバーだけど、このワン・ホーン・カルテットのセッションでは、このときの一連のパリ・セッションズの音楽監督だったジジ・グライスがいないためコンポジション/アレンジで頼れず、したがって有名スタンダードを選曲しているのもかえってなじみやすいところ。このへんもカルテット・セッションの人気が高い一因だね。

 

 

2曲目「アイ・キャン・ドリーム、キャント・アイ?」も文句なしだが、ぼくが好きなのはその次の「ザ・ソング・イズ・ユー」。これはたんにジェローム・カーンの書いたこの歌のことが大好きだからっていうだけのことかもしれないんだけど。それをブラウニーみたいなトランペット・シンガーがやってくれて、うれしいってだけかもね。でも、すごくいいじゃん、この演奏。まったく一毛の破綻もなし。完璧すぎる。

 

 

ファンが多いのは、その次の二曲「カム・レイン・オア・カム・シャイン」「イット・マイト・アズ・ウェル・ビー・スプリング」だよね。たしかにこのふたつも文句のつけどころがない。特にリチャード・ロジャーズの書いた後者かな、あまりにも見事な歌心の権化ぶり。まさに歌こそは君。これはブラウニーのためにあることば。

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