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2019/02/18

岩佐美咲「恋の終わり三軒茶屋」とカップリング四曲を聴く

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去る2019年2月13日に発売された岩佐美咲のニュー・シングル「恋の終わり三軒茶屋」。三種の CD に収録されているものを整理すると、新曲「恋の終わり三軒茶屋」と、カップリングのカヴァー曲が四つ「あなた」「別れの予感」「恋の奴隷」「お久しぶりね」となります。全五曲、ようやくしっかりと CD で聴けましたので、ぼくなりの感想をちょちょっと記しておきます。

オリジナル楽曲「恋の終わり三軒茶屋」は、いわゆる演歌ではありません。いちおうは演歌歌手という看板で活動している美咲ですが、キャリア初期から、わりと軽めの歌謡曲路線や J-POP テイストな感じはありました。主にカヴァー・ソングでのことですが、オリジナル曲でも「もしも私が空に住んでいたら」みたいな名曲がありましたよね。

しかし今回の「恋の終わり三軒茶屋」は、いままでのそれらどの美咲とも違っています。演歌ではなく歌謡曲テイストな楽曲というのは美咲自身も言うとおりで、それだけならいままでにもあったんですが、今回の新傾向はラテン・リズムを活用した跳ねるフィーリングを持っていて、しかもそれが快活陽気な雰囲気ではなく恋の切なさ、哀しみを表現するための媒介となっているということです。

「恋の終わり三軒茶屋」が跳ねる、つまりシンコペイションをともなうラテン・リズムだというのは聴けばわかることなんですが、実はまったく同じリズムを持つものが、いままでの美咲のなかにたったひとつだけありました。2013年のファースト・アルバム『リクエスト・カバーズ』2曲目の「つぐない」です。いうまでもなくテレサ・テンが歌った曲。

「つぐない」でも「恋の終わり三軒茶屋」でも、表現する楽器こそ違え、ひっかくようにしゃくりあげるこのリズム・シンコペイションのパターンは同じです。ぼくの勝手な想像ですが、今回の新曲プロデュースにあたり、過去の美咲を総ざらいした可能性があるかもしれないです。それで「つぐない」のこのパターンはなかなか魅力的だから同じパターンで新曲をやってみようじゃないかと。

お持ちのかたは、ぜひちょっと連続再生してみてください。「恋の終わり三軒茶屋」と『リクエスト・カバーズ』の「つぐない」。ねっ、同じでしょ。しかも「三茶」のほうはちょっぴりタンゴっぽくもありますよね。

あるいは、こういったラテン、というかはっきり言えばキューバ音楽ふうなリズム・ニュアンスを持つ歌謡曲はとっても多く、日本歌謡界の最大潮流といってもさしつかえないほどなんで、だから美咲の新曲がこうなっても特段どうっていうことないとも言えます。まあ実際ホント多いですよね。みなさん意識せずに耳に入れていると思います。

美咲の新楽曲「恋の終わり三軒茶屋」のぼくにとっての最大の魅力はこういった部分なんですね。テレサ・テン路線で、しかもラテン・テイストな、すなわち「つぐない」と同傾向であるっていう、そんなところです。リズムの色彩感がたまらなく大好きです。またさらに、テレサといえば、今回の美咲の新発売曲のなかには「別れの予感」がありますよね。

これはラテン・テイストな曲ではありませんが、別な意味でとても新鮮です。というのはさわやか J-POP みたいだなあとぼくは思うんですよ。テレサの歌だから J-POP じゃなく歌謡曲なんですけど、美咲ヴァージョンのフィーリングはきわめて21世紀的な最新 J-POP ソングにしあがっていると感じています。ちょうどあのあたりの歌手たちの…、あ、いや、具体名をあげることはよしておきますが、シンガー・ソングライター系の J-POP 歌手に近い「別れの予感」と言えます。

「恋の終わり三軒茶屋」と同系の楽曲は、今回、「恋の奴隷」と「お久しぶりね」ですね。二曲ともラテンな跳ねるリズム・シンコペイションを持っていますからね。美咲自身の心性は S じゃないのかと勝手に思っているぼくですが、それで真性ドM 女の告白みたいな「恋の奴隷」を歌うのはなかなかおもしろいですね。いや、リズムのフィーリングがマジでいいんです、この奥村チヨの曲は。

小柳ルミ子(ぼく好み)の「お久しぶりね」では、リズムの跳ねかた、シンコペイションが一層強調されていますね。美咲の今回の新発売五曲のなかでの白眉、出色の一曲がこれではないでしょうか。ホント〜に魅力的。特にサビに入って「もう一度、もう一度」と歌う部分は、現場ではパパンと手拍子できるもので、そのほか手拍子を裏拍で入れたり休符を入れたりしてリズムに陰影を付けられるのが最高に楽しいのです。

残る「あなた」はご存知小坂明子の曲。今回の五曲のなかではいちばん傾向の異なる、熱唱歌い上げ系ですよね。この曲、しかし熱愛カップル向けみたいに思われているような気がしますが、よ〜く歌詞を聴いてください。あなたが「いてほしい」「それがわたしの夢だったのよ」「愛しいあなたはいまどこに?」となっていますよ。つまりそこに至るまでの、ハッピー・ライフを綴ったような部分は、女性主人公の(失われて叶うことのない)妄想なんですなぁ。

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