ババ・コマンダント二作目が心地いい
一作目がかなりおもしろかったブルキナ・ファソのババ・コマンダント&ザ・マンディンゴ・バンドだから、二作目リリースを知って飛びついて買ったんだけど、その『Sira Ba Kele』(2018)はこりゃまただいぶ感じが変わったよねえ。サイケデリックだった面影は消えて、サウンドも整理され、グッと聴きやすくなって、いいのやらイマイチなのやらわからないが、でもぼくはけっこう好き。それに二作目は一聴目の第一印象がかなりよかった。これも聴きやすさのおかげってこと?
変化を強く実感するのは2曲目「Siraba Kele」だろうか。サウンドの中心になっているのはバラフォンと司令官の弾くンゴニで、エレキ・ギターも聴こえるものの質感はアクースティック。ナチュラルっていうかオーガニックなテイストで、それはアルバム全体をとおしてそうなのだ。オーガニックですよ、ババ・コマンダントがさ。あ、いや、こういう言いかたはよくないな。いいほうへ変化したと。
2曲目もそれ以外も、ンゴニやバラフォン(やエレベなどのこともあり)が弾く同一パターン反復の上に音楽が成り立っていて、まるで西アフリカ音楽のクラシカルな典型に立ち戻ったかのよう。アクースティックなサウンド質感だって伝統的だし、聴きやすく整理されていてあまりゴチャゴチャしていないし、司令官の野卑にしゃべるようなヴォーカルはそのままの迫力で、いいねえ、こりゃ、この二作目。
第一印象がよかったというのは3曲目「Bobira」と4曲目「Siguisso」 、特に4曲目のこと。3曲目ではバラフォンの音が目立っていて、そうだからだと思うんだけど、このアルバムの音楽はさわやかで軽快な味をバンドのサウンド全体にもたらしている。一作目になかったバラフォンをくわえたのは大正解だったと言える。大好きな4曲目では、全速力のリズムの疾走感がいいね。やはりそれをバラフォンが主に表現しているのがポイント高し。それに司令官のンゴニがからみ、エレキ・ギターはあくまでエフェクト程度。ファンクっぽいしね。これもいいなあ。
5曲目「Keleya」のエレベ・パターン延々ループも快感だ。しかもエレキ・ギター・ソロがちょっぴりカルロス・サンタナっぽいし、なかなかおもしろい。あ、サンタナっぽいといえば、この新作ではエレキ・ギターのシングル・ノート弾きがわりとどの曲でもそうなんだよね。これはいったいどうして?なんていう問いも無意味だろうか、ああいったラテンなギター・スタイルは全世界に波及している。
いやあ、ホント聴きやすくノリやすいし、聴いたあとくちもサッパリさわやかだし、ババ・コマンダントの二作目『Sira Ba Kele』、なかなかのオススメ品です。呪術を思わせるようなジャケット・デザインは逆効果かも。体をあまり表現していない。
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