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2019/05/17

ロベルタ・サーの新作が心地いい

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リリースされたばかりのロベルタ・サーの最新作『Giro』(2019)。とてもいいよね。目玉はやっぱりジルベルト・ジルとジョルジ・ベン・ジョールが参加した4曲目かな。もちろんすばらしい出来だ。この曲だけ、アルバム中ほかの曲とはグルーヴ・タイプが異なっているのも注目点。なんというかビートがタイトでシャープ。鋭角的な切り込みも聴かせているよね。とても好きだ。バイーアふうサンバだしね。

 

でもこれはアルバム全体の色調からしたらやや異色と言えるはず。全体的には、やわらかく丸いソフト・タッチな音楽をロベルタはこころがけているのがわかる。それは4曲目「Ela diz que me ama」に続き流れてくる5曲目「Nem」でもわかる。こののどかさ。これですよ、心地いいのは。決して肩肘張らないリラクシングなムード、それがいいと思うんだよね。ほんわりあたたかくて。

 

そう考えると、そんなあったかやわらかいロベルタふう新サンバは、アルバム中ほかでもいっぱい聴ける。1曲目「Giro」はサンバかどうかわからないが、シンガー・ソングライターとしてのロベルタの世界を端的に表現したもの。続く2曲目「O Lenço e o Lençol」はややシャープかなと思わないでもないがソフト・サンバで、こういうのがいいと思うんだよね。ロベルタの声も女性ならではのやわらかさがあって、聴いていて癒される気分。

 

心地よく癒されながら、アルバムのトータル41分間を聴き終えるというのが正直なところ。全体的にとがっていたりハードだったりタイトだったりすることがほぼなくて、サンバ・ミュージックの持つ人間味、あたたかみだけを取りだしたような音楽なのがいいよ。6曲目「Fogo de Palha」の、エコーがやや深めにかかったロベルタの声とこのバックのサウンドのあったかやわらかさとか、これもサンバな8曲目「A Vida de um Casal」の弾き語りの親密なムードとか(後半のフリューゲル・ホーンも実にいい)。

 

9曲目「Xote Da Modernidade」ではハーモニカが活きているし、ヒューマンなぬくもりを感じるサウンドだよねえ。サンバとはいえないが、現代ブラジル音楽の持つ人間らしさをよく表現できていて、音楽的姿勢としてはサンバのそれに相通ずるものがあると言えるかも。ハーモニカを入れようというのはロベルタのアイデアだったのかなあ。

 

アルバム・ラストの「Afogamento」がこれまたよくて、この新作『Giro』でロベルタがとっている姿勢というか音楽性、つまりヒューマンなあったかみ、ソフトで丸いぬくもりといったものを典型的に表現したような、まるでそばに座って彼女がギターで語りかけてくれているかのような親密さも感じる、そんな音楽で、フリューゲル・ホーンとテナー・サックス二管の入りかたもうまいし、ホッとするねえ。

 

41分間という長さも適切で、なんどもなんどもくりかえし聴くロベルタ・サーの新作『Giro』。聴いても聴いても飽かず、あったかさにほだされて、こっちのメンタルまで適温になっていくような、そんないい音楽だなあ。実はかなりの深みと凄みをも同時に帯びた作品だしね。いやあ、実にいいですよ。

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