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2019/05/30

これがサリフの到達点だった 〜『ムベンバ』

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サリフ・ケイタの最高作はデビュー作の『ソロ』(1987)だと長年考えていて、この意見を譲る気はちっともなかったのだが、最近、2005年の『ムベンバ』のほうがいいかもと思いはじめている。迫力を持って力づくでねじ伏せてしまうような激烈さに代わって、ゆっくりじっくりと語りかけ余裕をもって説得していくような、そんなサリフの境地に強く共感するようになったのは、やはり自分自身が高齢化しつつあるからだろうか?

 

ともかく『ムベンバ』がいま心地いい。サリフの声の迫力は、やはり『ソロ』のころと比較すれば落ち着いたかなと思うんだけど、円熟のうまみがくわわって極上のものとなっているし、あまり暴れないこんなヴォーカルもいいんじゃないだろうか。しかもアルバムのトータル・サウンドともよく合致していて、サリフ自身、クリエイトしたい音楽の総合体としてサウンドと自身のヴォーカルを一体化できていたと思う。

 

アルバムのサウンドは、これの前作『モフー』(2002)から続くアクースティック路線。エレキ楽器はたぶんベースだけじゃないのかな(ベースではミシェル・アリボがいると、いま発見。2005年当時はだれなのか知らなかった)。それ以外はぜんぶアクースティック・ギターやンゴニを中心とするオーガニック・サウンドで構成されている。エレベはごくごく控えめで目立たないし、入っていない曲も多い。

 

ギターはサリフ自身やカンテ・マンフィーラをふくむ四人程度のアンサンブル。それ+ンゴニ+ヴォーカル・コーラスが、アルバム『ムベンバ』を支配するサリフのバック・サウンドだ。パーカッション(ミノ・シネル)が入ることがあってもドラム・セットはなし。電子・電気鍵盤楽器もホーン・アンサンブルもなし。派手なエレキ・ギターも聴こえない。

 

だから地味で渋く落ち着いているといえばそうなんだけど、『ムベンバ』で聴ける音楽はきわめて躍動的だ。地に足をつけたしっかりしたそれを感じるよね。個人的には、コラが大きくフィーチャーされている(ぼくはどうしてこうまでコラの音色が好きなのか)9曲目「ムベンバ」と、続く10曲目「モリバ」が大のお気に入りで、ぼく的にはアルバムの白眉。サリフのヴォーカルの安定感は終始一貫しているけれど、バックのサウンド(ふくむヴォーカル・コーラス)がすごく好きなんだ。

 

快活な3曲目「カルキュレ」のグルーヴもいいし、アルバム『ムベンバ』はたんに熟したサリフの境地を示すというだけでなく、音楽家として一段とスケール感を増した深みを感じる作品だよなあ。それでもときどきはやっぱり『ソロ』の咆哮を聴きかえすけれど、いまは『ムベンバ』のしっとり感のほうがフィットする。

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