マイルズの『ラバーバンド』、ついに9月6日のフル・リリースが決定!
https://open.spotify.com/album/4iHtBFo4si4ke896dw2yHJ?si=x7fl3UNDQ36esupSqq5OMA
https://twitter.com/milesdavis/status/1139171874460581890
https://store.rhino.com/rubberband-2lp-1.html
マイルズ・デイヴィスの失われたアルバム『ラバーバンド』が、とうとう11曲のフル・アルバムとしてリリースされるとアナウンスされました。2LP、CD、デジタル配信の三種類。曲目は以下のとおり。
01 Rubberband Of Life (Feat. Ledisi)
02 This Is It
03 Paradise
04 So Emotional (Feat. Lalah Hathaway)
05 Give It Up
06 Maze
07 Carnival Time
08 I Love What We Made Together
09 See I See
10 Echoes In Time / The Wrinkle
11 Rubberband
これらのうち、同じソースである1曲目と11曲目はすでに公式リリースされていますね。上のリンク最上段がその音源です。それは昨2018年4月のレコード・ストア・デイ限定で12インチ・アナログ EP が発売されていたもので、その後 Spotify などデジタル配信でも聴けるようになっています。だから、フル・アルバムとしてのリリースへ向けての準備はその前からはじまっていたんでしょう。ライノのサイトでは、2017年に開始されたとありますね。
マイルズの『ラバーバンド』とはなにか?それは以下の過去記事でかなりくわしく解説しましたのでご一読ください。簡単にいえば、マイルズが1985年にコロンビアを離れワーナーに移籍した直後にロス・アンジェルスのスタジオで取り組んでいたレコーディング・セッションで誕生した曲の数々です。当初それをワーナーでのデビュー・アルバムとする予定だったはずですが、なぜかお蔵入りし、次いで完成した『ツツ』が、マイルズの初ワーナー作品となりました。
https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2018/04/post-b4d9.html
この記事は「そして、フル・アルバムとしてはいまだ失われたままの『ラバーバンド』だけど、いつの日か、見い出される日が来ることを期待したい。」と結んでありますね。とうとうそれが実現することとなってうれしいかぎり。こんな気分になったのもひさしぶりです。そうそう、12月にはこんな文章も書きましたよ。
https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/down-blue-7ca8.html
この記事は、オリジナル・セッションの「ラバーバンド」からリワークされた「ラバーバンド・オヴ・ライフ」が、実に2018年的今様のコンテンポラリー・サウンドに仕上がっていて感心するという趣旨です。しかし、来たる九月リリース予定のフル・アルバム『ラバーバンド』にそこまで求めてはいけないのかもしれません。
今回も発売プロデューサーはランディ・ホール、ゼイン・ジャイルズ、ヴィンス・ウィルバーンの三人です。来たるアルバム『ラバーバンド』フィジカルのライナー・ノーツをお書きになったジョージ・コールさんと昨晩二往復ほど直接お話をさせていただきました。フル・アルバムをお聴きになったジョージさんによれば、三人はすごくよくやっている、1985年のマイルズ・サウンド、オリジナル・レコーディングになるべく近づけるように、それを忠実に再現しようと腐心していて、しかしいくつかコンテンポラリーに響いたりもするものもある、とのことです。
具体的には、「カーニヴァル・タイム」「ザ・リンクル」「ギヴ・イット・アップ」「エコーズ・イン・タイム」「シー・アイ・シー」「ディス・イズ・イット」は、オリジナル・レコーディングのサウンドに本当にとても近いもので、いっぽう、ヴォーカリストがゲスト参加している「ラバーバンド・オヴ・ライフ」「ソー・エモーショナル」はもちろん、「パラダイス」もリワークめざましく、現代的なサウンドに仕上がっているとの、ジョージさんのお話です。
また、「メイズ」「カーニヴァル・タイム」「ザ・リンクル」の三曲は1986年ごろからマイルズ・バンドのライヴ・ツアーで定番レパートリーとなりましたので、公式盤でもブート盤でも当時のライヴを収録したものがいくつかありますよね。スタジオ・ヴァージョンもそう大きくは変わらないんでしょう。三曲ともぼくだって東京の生現場で聴きました。
だから、マイルズの『ラバーバンド』、2019年9月に発売するという事実に同時代的な意味合いや意義を大きく求めることはむずかしいかもしれません。といっても一般人のぼくはまだフルには聴いていませんけれど。そういったことよりも、とうとう日の目を見る偉大な発掘ものとして意味を見出すべきものなんだと、いまはそう思うんですね。なんたってぼくもマイルズの1980年代ものが大好きですし、もしそうだったならきっと『ラバーバンド』はお気に入りになるはずだ、とジョージさんも太鼓判でしたよ。
なんにせよ、期待は大きいと言えます。9月6日を待ちましょうね。ジャケット絵はマイルズ本人の筆によるものです。
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