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2019/07/14

これまたグラント・グリーンのファンク・ライヴ

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https://open.spotify.com/album/4NL6PN6GkMqI7Ztz4iGPU6?si=skjpcCOXS966RYu-lJANfw

 

どうしてこんなにカッコイイんだぁ〜、グラント・グリーン1970年のライヴ盤『アライヴ!』。完璧なるジャズ・ファンクですよね。もともとが真っ黒けな資質のギターリストであるとはいっても、70年代のグラントはなにかに取り憑かれたかのようにリズム&ブルーズ/ファンク/ソウル・ジャズ路線を突っ走っていました。ライヴでもそうでした。『アライヴ!』もまたそんな一枚。

 

『アライヴ!』は1970年8月15日、ニュー・ジャージーでのパフォーマンスで、編成はボスのギター、クロード・バーティーのテナー・サックス、ウィリアム・ビヴンズのヴァイブラフォン、ニール・クリークかロニー・フォスターのオルガン、イドリス・ムハンマドのドラムス、ジョゼフ・アームストロングのコンガ。

 

やっている演目も、数曲のグルーヴ一直線などファンク一路線からハービー・ハンコックの新主流派「処女航海」までと幅広いんですけど、でもやっぱりアルバム・オープナーがクール&ザ・ギャングの「レット・ザ・ミュージック・テイク・ユア・マインド」であることに、このアルバムの音楽性が典型的に象徴されていますね。いやあ、ションベンちびりそうなほどグルーヴィでコテコテです。

 

その「レット・ザ・ミュージック・テイク・ユア・マインド」もカッコイイし、続く2曲目「タイム・トゥ・リメンバー」(ニール・クリークのオリジナル)もメロウ R&B みたいなバラード調。ヴァイヴラフォンがいい感じで効いているのも甘美なムードをもりあげたり、それとグラントのギターがユニゾンで進むところにテナー・サックスがからんだり、もうタマランですよ。メロウでソフトでデリケートで、夜の音楽ですね。

 

3トラック目のバンド・イントロダクションに続き、4曲目の「スーキー、スーキー」(ドン・コヴェイ)が、たぶんこのアルバム『アライヴ!』最大の目玉にして白眉、聴きものでしょう。このグルーヴのキメかたったらないですね。イドリス・ムハンマドのファンク・ドラミングは全曲で見事ですが、特にこの「スーキー、スーキー」では抜きに出ています。グラントのギター・ソロもファンキーでかっちょええ〜。ワン・リフ反復で演奏の土台ができていることに最注目しないとですね。

 

この『アライヴ!』でも、演目やリズムやグルーヴはソウル/ファンク・ミュージックのそれで、ビシバシきめているけれど、なんだかんだ言って楽器ソロの時間が長く、それがギター、テナー・サックス、ヴァイブ、オルガンと続きまわすというのが中心ですから、そこはジャズ・マナーだといえばそうです。でもこんなねえ、クール・アンド・ザ・ギャングだとかドン・コヴェイだとかギャンブル&ハフだとかロナルド・アイズリーだとかの曲を、しかもこんなにファンキーにコテコテにやってみせたジャズ・マンが、1970年時点でほかにいましたか?!グラント・グリーンだって、どうして1970年代はここまでのことになっていたのか、60年代も黒っぽかったとはいえああだったのに?と思うと、まあ快哉を叫ぶしかないわけですよ。

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