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2019/07/02

サオダージの魅力

A3606111364_10https://open.spotify.com/album/5QB5byBZc0vuQYKoPKQlpx?si=iWZmKjbaQi-d4VPY1cMu4Q

 

http://elsurrecords.com/2019/04/24/saodaj-pokor-ler/

 

ミニ・アルバム『pokor lèr』(2018)をリリースしたサオダージ(Saodaj)。このまったく知らないレユニオンのバンド(ユニット?)の CD を買ったのは、エル・スールのホーム・ページに載ったアルバム・ジャケットの魅力と原田さんの紹介文のおかげです。これは絶対おもしろいに違いない!と感じて買ってみたら、正解。いまのところ日本語で話題にしているかたが(原田さんふくめ)三人くらいしかいないですけど、ちょっと聴いてみてほしいのです。

 

サオダージは打楽器担当の男性三名とヴォーカル担当の女性二名の五人で構成されていて、それでライヴ活動なども行なっているみたいですが、アルバム『pokor lèr』のレコーディングにはもう一名男性が参加しているのがブックレットに記載されています。しかし聴いた感じ、五人だか六人だかは判別できません。また女性も打楽器をやって、男性も歌っています。

 

レユニオンの音楽ということで泥臭いマロヤなどを連想しているとサオダージはかなり違います。もっとグッと洗練された様子なんですね。その洗練とはレユニオンでアフリカとアジアがブレンドされたことのうち、とりわけアジア、なかでもインド音楽成分がもたらしているものなんじゃないかと思えます。『pokor lèr』でもマロヤ系かなと思える曲がないでもないですけど(たとえば2曲目)、基本的には別物でしょう。

 

1曲目のアルバム・タイトル曲はインドの両面太鼓ドールのサウンドが印象的で、それにハンド・クラップや金属系パーカッション類がからんでいきます。それらでグルグルと回転するような打楽器リズムを形成しているんですね。そんな前傾的なビート・メイクに交わる女性ヴォーカルの鮮烈さ、はつらつとした感じも特筆すべきものです。男性も声を出しています。ほぼ全曲でリズムは前衛的な変拍子を使ってあって、そんな点もインド音楽的と言えるかも。

 

ヴォーカル・アレンジメントという面で聴くと、サオダージの『pokor lèr』の中心はあくまで女性二名で、男性はある種の下支え、通奏低音的なボトムスを形成する役目であるばあいが多いみたいで、決してリードでは歌いません。しかし男性ヴォーカルの歌いかたには、台湾先住民のそれや、あるいはときどき仏教の声明を思わせる部分もあるんですね。楽器演奏でも実はそうなんです。

 

考えてみれば、レユニオンにたどりついたアジア系文化のうち、最大はインドだとしても、また何割かは中国由来だったり台湾由来だったりするでしょう。オーストロネシア音楽を意識しているとはサオダージの本人たちが発言していることなので、アルバム『pokor lèr』について書くひともみんなそれを言っていますが、音楽を聴くとむべなるかなと思うんです。

 

まだまだ完成品というよりは、スケールの大きな意欲作という域かもしれませんが、この意匠で充実のフル・アルバムが完成したらいったいどんなものができあがるのか、想像しただけでもワクワクする末恐ろしいサオダージ。太古の軌跡に残されたオーストロネシア人の共通感覚を音楽に探るといったこのバンド(ユニット?)、要注目です。

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