ぼくにとってのサリフ『ソロ』
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サリフ・ケイタについても代表作『ソロ』(1987)についてもたくさんのことばが重ねられていますので、ぼくはぼくで自分の好きな部分についてだけ個人的なメモを記しておいたのでいいでしょう。まずは2曲目「ソロ(アフリキ)」。これ、も〜う本当に大好きな曲なんですね。たぶんアルバム『ソロ』のなかでのぼく的 No.1がこれですよ。
曲「ソロ(アフリキ)」は三部構成。出だしのパート1も好きです。このミディアム・スローなグルーヴがなんともいえず心地いいです。女声コーラスはいかにも西アフリカ的といえるもので、だいたいがマス・クワイア好き人間であるぼくには、最初からなじめた部分です。サリフのヴォーカルについてはぼくが書くことなどないはずです。バックでキーボードが細かく刻んでいるのが印象に残りますね。
もっと好きなのが、3:15 〜 3:18 のブレイク以後のパート2です。ホーンズがいきなり咆哮し、リズムが強くビートを打ちはじめます。そこからがマジで大好きなんですね。この強いビート感、グルーヴにぞっこん参っているわけなんです。終盤でもう一回曲想がチェンジして落ち着いた感じになりますので、その前までのこのパート2が、ぼくの大好物です。女声コーラスもサリフもいいですが、ぼくが好きなのは(キーボードをふくむ)リズム・セクションです。
リズム隊といえば、いまブックレットを見返していてはじめて気がついたんですけど、このアルバム『ソロ』でもエレベはミシェル・アリボーなんですね。ぜんぜん知りませんでした。当時見ていたはずですけど、だれだかピンと来るはずもなくそのままになっていたんでしょう。サリフの作品では後年の『ムベンバ』でもミシェルでしたし、関係が深いのかもしれないですね。
一曲飛ばして4曲目の「シナ(スンブヤ)」。この曲のリズムは、2曲目「ソロ(アフリキ)」のパート2のそれによく似ています。ほぼ同じといってさしつかえないでしょう。こういったビート・タイプは当時のサリフやマリ音楽、あるいは西アフリカのなかによくあったものなのでしょうか。もうホント快感で、聴いていて気持ちが昂まるのに落ち着いてリラックスするっていう、なんだかそんな不思議なフィーリングです。
そんなこのリズムは西アフリカ、マリといった部分だけでなく、かなりヨーロッパ的、西欧大衆音楽的であるとも言える気がするんですね。すくなくとも楽器編成やアンサンブル手法や、できあがりのサウンドを聴いての印象など、米欧ポップ・ミュージックのそれだと言えます。アレンジャーがヨーロッパ人なんですけど、しかし欧州的とも断定できないし100%アフリカ的でもないっていう、その中間的というか半々のせめぎあいのなかでできあがったものかもしれません。
また一曲飛ばしてアルバム・ラストの6「サンニ・ケニバ」。これはスローでゆったりしたグルーヴ・タイプを持つ曲ですけど、このリズムやサウンドも大の好みなんですね。サリフのヴォーカルも落ち着いた感じで、鋭く突き刺し威嚇するといった部分は小さいですけど、それでも彼ならではの威厳をまとった近づきがたさを聴かせていますよね。
こういった威厳、高貴な近づきがたさ、サリフだけでなく、たとえばアメリカのアリーサ・フランクリンなどにも感じるものなんですけど、だからこそかえっていっそう親近感が増すと言いますか、妙なことかもしれませんが、ぼくのなかでは尊敬が親愛に重なっていく部分が間違いなくあるんです。
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