フレディ・ハバード『ストレート・ライフ』
(ずっと使ってきたデザイン・テーマが終了するので、これにしました)
https://open.spotify.com/album/1r66S2fnO8T8QWaVGWp2jo?si=jZtP_LKkQHacWnsY3zX8KA
ねえ、この Spotify にあるフレディ・ハバードのアルバム『ストレート・ライフ』(1970年録音71年発表)は1曲目のタイトル・ナンバーがグレイ・アウトしていて聴けないですが、どうしてぇ〜?こんなの意味ないじゃ〜ん。そのほかいくつかあたってみると、どう〜も CTI レーベルの作品はネット聴きに問題があるみたいで、なんとも時代錯誤はなはだしく、残念なかぎり。というわけで、フレディ・ハバードの曲「ストレート・ライフ」は、これでお聴きください↓
https://www.youtube.com/watch?v=a4xwNHUyz1Q
あっ、というかそもそもアルバム丸ごとぜんぶ YouTube にあるやないですか。これでええやないですか。
https://www.youtube.com/watch?v=gUiL-xG_Aos
それはともかく。フレディ・ハバードの『ストレート・ライフ』は、このジャズ・トランペッターがフュージョン路線をとって CTI に残したアルバムのなかでぼくのいちばんのお気に入りなんですよね。この音楽の、特に1曲目のタイトル・ナンバーの、鍵を握っているのは、フレディ本人というよりエレクトリック・ピアノ(フェンダー・ローズじゃないかも)を弾くハービー・ハンコックですね。ハービーがこの曲の影の主役なんです。
いきなり無伴奏でフレディがプレリュードを吹きはじめますけど、リズムが入ってテーマ吹奏となったら、すでに主役はホーン二管じゃなく、ハービーとドラムスのジャック・ディジョネットだってわかりますよね。この二名がガチャガチャと演奏するファンキー・ビートこそ、曲「ストレート・ライフ」のキーなんですね。
だから、まずテナー・サックスのジョー・ヘンダスン、次いでフレディとソロをとりますけれど、輝かしい音色でソロ内容も抜群であるとはいえ、ぼくはいつも背後のリズムを聴いているんですね。三番手でそのハービーのソロ、次にギターのジョージ・ベンスンのソロと続きますが、なかでもギター・ソロ部背後でのハービーの動きは特筆すべきものです。ハービーのエレピこそがリズムをつくっていると思うからなんですね。
そしてギター・ソロ部後半からハービーは一定の同じリフ・パターンを弾きはじめ、そのままずっと、ラスト・テーマ吹奏に入るまでずっと、その同じフレーズを弾き続けています。ギター・ソロが終わってから二管テーマまで、しばらくだれのソロでもない時間が流れていますが、そこはハービーのそのエレピ・パターンを、というかリズムを、聴く時間だと思うんです。実際、ファンキーで気持ちいいですし。
2曲目(から旧 B 面)もファンク・ジャズ路線ですが、ここからの主役はハービーじゃなくジョージ・ベンスンですね。「ミスター・クリーン」では「ストレート・ライフ」よりもタイトで、グッと重心を落とした、ややヘヴィなソウル/ファンク寄りのリズムとサウンドになっているのが注目点でしょう。ここでもぼくはソロ内容もさることながら(ギター・ソロは相当いいけど)、やはりリズムを聴いているんです。
意外な良品がラストの「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」。ベースのロン・カーターの音も聴こえるものの、伴奏者はジョージ・ベンスンひとりといっていいデュオ内容で淡々とフレディが綴っているジャズ・ナンバーです。なんといっても感心するのはジョージのギター・サウンドですね。箱物エレキじゃないと絶対に出しえない、この丸く暖かみのあるふんわりした和音の響き。なんてやわらかいんでしょう。たまりませんねえ。それにこんなふうに歌伴できるなんて、いや、フレディは実質歌っているようなもんだと思いますから、ジョージって本当にうまいギターリストなんだなあって、舌を巻きますね。
蛇足ですけれど、「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」というのは天候のことを言っているんじゃありませんよ。失恋の歌なんです。rainy day とはそういう意味ですから。歌入りヴァージョンでこのポップ・ソングの歌詞内容を確認してくださいね。
https://www.youtube.com/watch?v=vCB9A6Eji8o
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