アメリカン・ポップ・ヴォーカルなトリオ・レスタリ
https://open.spotify.com/album/3ttimZXZQMkxufn0YWUeet?si=7VBphVlZQ62gjqK5x0szCA
(ジャケットが違いますが、Spotify にあるこれがたぶんオリジナル・アルバム分で、ぼくの持つ CD はこれに三曲のシングル盤音源を加えています)
インドネシアの男声ヴォーカル三人組、トリオ・レスタリの『ワンギ』(2014)。エル・スールから届いたこれ、しかし、届いたってことは自分でお願いしてあったということですよねえ。記憶にないんですけど、最近は自分でもオーダー・メモを残すことにしてあるので、間違いありません。エル・スールのホーム・ページで見たときに、なにかひっかかってピンと来ていたということなんでしょう。しかしどうして憶えていないんでしょうか。
それはいいとして。聴いてみたらまさしくビンゴ、これは完璧にぼく好みのヴォーカル・ミュージックです。しかも都会派で、洗練されていて、さらにアメリカン・ジャズ/ポップ/ソウル・ミュージックのエッセンスが詰まっているんですね。どんな三人組だかちっとも知らなかったのに、う〜ん、われながら勘が冴えています、いやマジで(ドヤ顔)。
その意味では、以前書いた同じインドネシアのサンディ・ソンドロに相通ずるところがありますが、トリオ・レスタリのうち一人はサンディなんですね。へえ〜、そういうことですか。ほか二名はトンピ、グレン・フレドリ。サンディふくめ、ぼくはなにも知らないので(サンディだって一枚聴いただけ)、アルバムで次々ソロをとりマイク・リレーを聴かせるのがだれなのか、ちっともわかりません。
トリオ・レスタリのこの『ワンギ』の音楽は、基本、1980年代ふうの米ブラック・コンテンポラリーですね。だから(ジャズ・)フュージョンとも関係が深いと思います。エル・スール HP 掲載の原田さん解説ではラテン風味ということがくりかえされていますが、ぼくはほとんど感じません。5曲目の「Nurlela」(イラーマ・ジャズのあれのカヴァー)だけじゃないでしょうか、インドネシア・ラテンは。全体的にはもっとド直球のストレートなアメリカン・ミュージックじゃないかと思います。
クインシー・ジョーンズとかがやった、あのへんの音楽を強烈に、というかもろストレートに意識させる、というかそのまんまなトリオ・レスタリの『ワンギ』。エル・スールで買った CD は全12曲ですが、いちばん上で書きましたように、原田さんの解説文によっても、オリジナル・アルバムは九曲で、それにシングル盤音源三つを加えたものが2014年にリリースされたということみたいですね。
それらシングル・ナンバーは、アルバム『ワンギ』のリリースよりも前の発売だったのか後なのかわかりませんが、アルバムに加えてなんの違和感もなく、スムースに違和感なくすっとつながります。言われなかったらこういうアルバムなんだと思う一体感がありますから、トリオ・レスタリとはこんなアメリカン・ヴォーカル・ミュージックの三人組なんだと思うんですね。
シングル盤音源三つは Spotify では聴けませんのですこし書いておくと、「Sabda Rindu」「How Could We Not Love」「Menghujam Jantungku」の三曲。「Sabda Rindu」はかなりジャズ・フュージョンっぽいですね。アメリカのフュージョン・バンドもよくヴォーカリストを迎えてやっていたでしょう、それと同系の音楽です。さわやかなシティ・サウンドですよね。アクースティック・ピアノを中心とするサウンド・メイクも、まるでスタッフみたい。ギター・ソロがエリック・ゲイルっぽいし、ソロのあとのヴォーカル・パートでパッと転調するのだって、いかにもですね。
https://www.youtube.com/watch?v=H76SpHWx8Tg
「How Could We Not Love」(Superstar)はもっと黒っぽくて、1980年代的ブラック・コンテンポラリーのサウンドとヴォーカル・スタイルです。これ、だれが歌っているんだろうなあ。知りたいです。サンディかなあ。歌詞も英語だし、まるでアメリカの黒人ソウル〜R&B シンガーそのまんまですよねえ。また、アレンジを、というかサウンド・メイクを、だれがやっているのかもすごく知りたいですよねえ。オルガン(ふうの音を出すシンセサイザーだと思う)を基本に据えたファンキーかつブルージーな音が気持ちいいです。YouTube でさがしましたがありません。が、こんな曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=Ood7tJ0Jn1A
アルバム『ワンギ』本編の収録曲もまったく同傾向で、アメリカの黒人ソウル系ジャズ歌手、そうですね、ナンシー・ウィルスンあたりを男性にして三人揃えてコーラスでやって、その伴奏をスタッフあたりがやれば、まさしくトリオ・レスタリのこの音楽とぴったり同じになるという、そういったものですね。ぼくもそういった音楽が大好きなんで、トリオ・レスタリも完璧に好物になりました。聴いていて、楽しいですもんね。
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