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2019/09/11

アイリッシュ・フィドル・ミーツ・インディ・クラシック 〜 マーティン・ヘイズ

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https://open.spotify.com/album/2iGUlszOxQeRFb7x31UiP0?si=JO_ndURjQbymyvLPymoPvQ

 

これってクラシック音楽のアルバムかと思っちゃいますけど、実際そういった側面はあるかと思います。アイリッシュ・フィドルの演奏家マーティン・ヘイズの新作『ザ・バタフライ』(2019.8.9)。共演しているのがブルックリン・ライダーという、ロック・バンドみたいな名前ですけど、インディ・クラシック界の弦楽四重奏団なんですね。ジャケットで正面向いているのがマーティン、横向きの四人がブルックリン・ライダーで、『ザ・バタフライ』はオール・インストルメンタル作品です。

 

バンド名のとおりニュー・ヨークはブルックリンを拠点に活動しているらしいブルックリン・ライダー。ヨーヨー・マと関係があるみたいですけど、ふだんは現代音楽のフィールドに身を置きながら、同時にフィールド外の、世界のさまざまな音楽にチャレンジし共演したりしてきているようなので、だから今回のマーティン・ヘイズとの共演もブルックリン・ライダー側から持ちかけたアイデアだった可能性があるのかも。

 

アルバム『ザ・バタフライ』でとりあげられているものは全12曲中ふたつだけを除きアイリッシュ・トラッドばかりです。だからこの点ではブルックリン・ライダー側がマーティン・ヘイズ側に寄った内容かもしれませんが、しかしそれらのアレンジはいずれもブルックリン・ライダーのメンバーがやっているので、まあそれは内容を聴けばわかることですけど、ということはアダプト、解釈では現代音楽側にあるような作品なのかもしれないんですね。

 

実際、このアルバムはやや不思議な肌ざわりを持っていますよね。以前からくりかえしていますようにアイリッシュ・フィドル(の特にスウィング感)が大好きなぼくで、『ザ・バタフライ』もアイルランド人フィドル奏者の作品ということじゃなかったら聴かなかったろうと思うんですけど、インディ・クラシック界の弦楽四重奏とはこんな感じなのか、というのは実は今回はじめて知ったんですね。しかし上に乗っているというか、マーティンのフィドルはどこまでもアイリッシュ・スタイルを貫いています。

 

そんなマーティンのアイリッシュ・フィドルとブルックリン・ライダーの調性感のうすいストリング・カルテットがうまく混ざり合っているのかどうか、よくわかりませんが、わりと相性はいいんですね。聴いていてとくに違和感がないです。アイリッシュ・トラッドの持つ独特の土着性、泥くささみたいなものはとことん薄められ、イメージが180度くつがえっていますが、ハナからこういう音楽が存在するんだと思わせる説得力はあります。

 

またアイリッシュ・トラッドをそのままアイルランドのバンドが演奏するときのようなスウィング感もほぼありません。でもここはブルックリン・ライダー側も腐心して、曲によってはけっこうスウィンギーに聴こえるばあいもあります。というかそんなものをインディ・クラシックに求めるのはおかしいのかもしれませんが、なにしろマーティン・ヘイズがアイリッシュ・スタイルを崩さず弾いていますから。

 

泥くさいアイリッシュ・トラッドの世界と透明感の強いインディ・クラシックの世界とのちょうど中間あたりに着地したように聴こえるアルバム『ザ・バタフライ』。融通のきくマーティンが、それでもこのスタイルを貫いていなかったら個人的にはイマイチだったかもしれませんが、伝統的なアイリッシュ・フィドルが聴こえるおかげでうまくインディ・クラシック入門できたかもしれないです。

 

(written 2019.9.8)

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