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2019/09/26

2ビートは跳ねる

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まず実例をちょっと聴いていただきたいと思います。これはつい最近リリースされたばかりのダヴィーナ・アンド・ザ・ヴァガボンズの新作『シュガー・ドロップス』1曲目「ボーン・コレクション」。

 

https://open.spotify.com/track/2SD4YlWHQw4YGeJwzaw097?si=GuMJj7gMRu-yOen1wo6e_Q

 

レトロなグッド・タイム・ミュージックを得意とするダヴィーナのこの「ボーン・コレクション」という曲のリズムは、2/4拍子ですよね。一小節に四分音符が二つ並んで、1と・2とで強弱・強弱と。それをくりかえすものです。さて、こういった2ビートを聴いていて感じるのは、わりと大きく跳ねているなということです。

 

1&2でボンとこの曲ではコントラバスが音を置いていますが、そのあとの「と」のところが空いていますよね。空間、スペースが生まれています。その空けられたスペースで大きく跳ねているようなフィーリングをぼくは感じるんですね。「と」でスネア・ロールでも入っていれば完璧です。

 

2ビートの、この空間でポ〜ン!と跳ねる感覚は、たとえばジャズ・ミュージックなんかで聴ける、その後の4/4拍子と比較してみればいっそうよく理解できると思います。4ビートの曲の実例をあげる必要はないでしょうけど、4ビートだとこういった跳ねるスキマはなく、もっとスッと平べったく、一直線に進むような、そんなフィーリングですよね。

 

言い換えれば、2ビートは流れず、大きくポン、ポンと跳ねる感じ。4ビートは平べったくズンズン進む、流れる感じ。4ビートはびっしり敷き詰める感じで、逆に2ビートは空間が空いて、そのスキマでボンと大きく跳ねることができているような、そんなふうに聴こえませんか。

 

2ビートと4ビートのこの、リズムがジャンプする感覚の違いはおもしろいですよね。一般に、アメリカン・ミュージックがリズムにシンコペイションが効かせ跳ねるようなフィーリングを持ちはじめるのは、ジャンプ・ミュージックやリズム&ブルーズ(やその後のロック)など、8ビート・ミュージックが一般的になってきてからと考えられているのではないでしょうか。

 

シンプルに考えて、アメリカン・ミュージックのビートは、2拍子→4拍子→8拍子→16拍子と細分化されてきたと言えるでしょう。しかし、最初のころ、19世紀末〜20世紀初期の2ビートにこそ強く跳ねる感覚があって、実はそれが8ビート・ジャンプの感覚に近いものだったんじゃないかという気も、最近しているんです。

 

今日はたまたま最近聴いたもので、素材は新しいほうがいいかもと思って、いちばん上でダヴィーナ・アンド・ザ・ヴァガボンズの2019年最新作から一曲とりあげました。でも、こういったことはこのダヴィーナの曲に限った話じゃなくて、一般に2/4拍子のなかにずっと感じているものなんです。2ビートというと、アメリカン・ミュージックではごく初期のジャズやジャズ系のポップ・ソングで主に使われていてものだという気がしますよね。気がするというよりそれが真実だろうと思います。

 

2ビートを主体とする、ジャズなど初期のアメリカン・ミュージックは、カリブ海地域の音楽とかなり密接な関係があったんですけど、そのことも関係あるような気がしますよね。カリビアン・ミュージックのリズムの特色は、跳ね・シンコペイションにありますから。

 

4ビート・ジャズの、あのフラットに(平坦に)ずんずん進む感覚は、ぼくの見るところアイリッシュ・ミュージックのリールにそっくりで、たぶんその影響も強かったと思うんですけど(アメリカにはアイルランド移民が多い)、跳ねる2拍子の感覚がどこから来たのかというと、どう考えてもカリブ海地域の音楽からだとしか思えないです。

 

ジャズなどが、最初期はそんな跳ねる2ビートの感覚を持っていたにもかかわらず、時代が進むにつれその感覚を(いったんは)消して、跳ねずにフラットにスッと進む4ビートに移行したのはどうしてだったのか、そのあたりは社会文化的な側面もあわせて考えてみないとたぶんわからないことだろうと思うので、今日のところはこのへんでやめておきます。とにかく2拍子はおもしろいですよ。

 

(written 2019.8.27)

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